取附とりつ)” の例文
実は身の置処おきどころがなくって饂飩屋になった又作だ、こゝで千円の資本もとでを借り、何か商法に取附とりつくのだ、君も又貸したって、よろしいじゃアねえか
かゝるかたきが、植物界しょくぶつかいにも、人間界にんげんかいにも、つねぢんどって相鬪あひたゝかふ……仁心じんしん害心がいしんとが……しかうしてしいかたつときは、たちま毒蟲どくむし取附とりつかれて、その植物しょくぶつ枯果かれはつる。
一向いっこう気のない、くうで覚えたような口上こうじょうことばつきは慇懃いんぎんながら、取附とりつのない会釈をする。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
どうか此の金で取附とりついてどんな商法でもひらきなさい、共に力に成ろうから、なんでも身体を働いてらなくっちゃアいけんぜ、君は怠惰者なまけものだからいかん、運動にもなるから働きなさい
是れでお瀧は茂之助へ面当つらあてしく、わざとつい一里と隔たぬ猿田村やえんだむら取附とりつきに山王さんのうさまの森が有ります、其の鎮守の正面むこうに空家が有りましたからこれを借り、葮簀張よしずばり掛茶店かけぢゃやを出し
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
其の千円で取附とりつくよ