“かす”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カス
語句割合
掠29.5%
微25.2%
幽20.2%
霞12.5%
滓4.1%
粕1.7%
糟1.5%
擦1.3%
嗄1.2%
翳0.6%
残滓0.3%
渣0.3%
眊0.2%
貸0.1%
借0.1%
徴0.1%
殘滓0.1%
下滓0.1%
仄0.1%
嫁0.1%
小言0.1%
掠奪0.1%
搦0.1%
擦過0.1%
椋0.1%
澱滓0.1%
烟0.1%
燃滓0.1%
盜掠0.1%
瞑0.1%
穢粕0.1%
絣0.1%
逃0.1%
遥0.1%
靄0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
霧は林を掠(かす)めて飛び、道を横(よこぎ)つて又た林に入り、真紅(しんく)に染つた木の葉は枝を離れて二片三片馬車を追ふて舞ふ。御者(ぎよしや)は一鞭(いちべん)強く加へて
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
その間に一種特別な、ひゅうひゅうと、微(かす)かに長く引くような音がする。どこかの戸の隙間から風が吹き込む音ででもあるだろうか。
心中 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
池へ山水の落ちるのが幽(かす)かに聞える。小母さんはいつしか顔を出してすやすやと眠っている。大根を引くので疲れたのかもしれない。
千鳥 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
取り替えてきた扇は、桜色の薄様を三重に張ったもので、地の濃い所に霞(かす)んだ月が描(か)いてあって、下の流れにもその影が映してある。
源氏物語:08 花宴 (新字新仮名) / 紫式部(著)
例えば、モリエールの作品は、読んで了った後に人生の滓(かす)が残る。「ユーモア小説」は読後に何んにも残らなくてこそいいのである。
大衆文芸作法 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
搾り取られた人間の粕(かす)はバタバタ死んで行くと、一方から新しく誘拐されて、タコ誘拐者に引率されてゾロゾロやって来る。
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
要するに廢(すた)れて放擲られた都會の生活の糟(かす)と殘骸(ざんがい)………雨と風とに腐蝕(ふしよく)した屑(くづ)と切ツぱしとが、尚(なほ)しも淋(さび)しい小汚(こぎた)ない影(かげ)となツて散亂(ちらば)ツてゐる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
源之助の屍体には、喜三郎の屍体に見られた様な打撲傷や擦(かす)り傷はなかった。只(ただ)、心臓の上に、同じ様な刺傷があるだけだ。
カンカン虫殺人事件 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
と云うのは、村次郎が云った逢痴の台詞のことですが、そう云えばなんとなく、嗄(かす)れたような声を、聴いたような気もするのです。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
取っつきのお美野の寝間には、有明行燈の灯がぼうっと障子に翳(かす)んで、何の異状もありそうに思えない。
もしこのとき滝人に憐情の残滓(かす)が少しでもあれば、父と子が声なく呼び合わしている、痛ましい狂喚を聴いたに相違ない。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
されば悟れるとは己れが迷を知ることにして、そを脱(だつ)せるの謂(いひ)にはあらず。哀れ、戀の鴆毒(ちんどく)を渣(かす)も殘さず飮み干(ほ)せる瀧口は、只〻坐して致命の時を待つの外なからん。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
霧のために眊(かす)める目をもて天堂の使者(つかひ)の中なる最初の使者の前にいづるはふさはしからず 九七—九九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
吹聽(ふいちやう)するに疑ひなし其上長屋中へ錢金(ぜにかね)用立家主へも金を貸(かす)故(ゆゑ)勘太郎を二無(なき)者の樣におもひ我々如き後生(ごしやう)大事(だいじ)と渡世する者は貧乏(びんばふ)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
事定りてのち寺に於て稽古(けいこ)をはじむ、技(わざ)熟(じゆく)してのち初日をさだめ、衣裳(いしやう)髢(かつら)のるゐは是を借(かす)を一ツの業(なりはひ)とするものありて物(もの)の不足(たらざる)なし。
この南九州の特徴で、東京のように寒くはなかったが、大陸的な気候の変化が激しかった。徴(かす)かに陽(ひ)ざしが洩(も)れてるかと思うと、もうまたたくうちに野づら一めん真ッ暗になってしまう。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
撥條(ぜんまい)を卷かれた竹田人形のやうに、一座の人數は再び勇氣を取り戻して、歡樂の殘滓(かす)の追求に立ち直るのでした。
泡(あぶ)く銭(ぜに)の下滓(かす)を吸って生きている、低級無智な者の中にはさまれて暮していなければならなかった母君の、ジリジリした気持ち——(気勝者(きしょうもの))といわれる不幸(ふしあわせ)な気質は、一家三人の共通点であった。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「耳を、」肩を取って、口をつけ、二人は木(こ)の下蔭に囁(ささやき)を交え、手を組んで、短いのと、長いのと、四脚を揃えたのが仄(かす)かに見える。お雪は少し離れて立って、身を切裂かるる思いである。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「京都著名老鋪(ろうほ)財数十万戸主家系由緒身健品正風采紳士酒(さけ)不嗜(たしなまず)店雇人十数工場雇人数十母(はは)老(ろう)妹(いもうと)嫁(かす)弟分家無係累(むけいるい)」
嫁取婿取 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「成駒屋も正直やなあ、あれが仁左衛門(まつしまや)やつて見なはれ、稽古にかゝつてから、そない語り口やと乃公(わし)が出られへんと小言(かす)を食はせて、あべこべに雲の方から謝らせまんがな。」
「先にゃあ、去年の失敗(しくじり)がある。よもや今年は、のめのめ掠奪(かす)められるような凡(ぼん)くらを警固としては出かけまい」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
袴広太郎とかいう小童(こわっぱ)に、搦(かす)め取られたお前ではないか、もしその筋へ突き出されてみろ。島原の残党キリシタンとして、否応(いやおう)なしに火あぶりだ。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
黒地(くろぢ)に畫ける像の如し。座のめぐりには、新き炭を添へて、その煖氣は室に滿ちたり。われは客の、彈(たま)は脇を擦過(かす)りたり、些(いさゝか)の血を失ひつれど、一月の間には治すべしといふを聞き得たり。
遂に文化三年(千八百六年)より四年に亙(わた)り、露人来りて樺太(からふと)及び蝦夷(えぞ)を椋(かす)めぬ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
いずれにしても卵の殻、お茶の澱滓(かす)、その他すべての家の屑は、奇麗にどこかへ持って行って了うので、どこにも見えぬ。
日浮びて暉(ひかり)を重ね、雲散りて烟(かす)まず。柯(えだ)を連ね穗を并(あ)はす瑞(しるし)、史(ふみひと)は書(しる)すことを絶たず、烽(とぶひ)を列ね、譯(をさ)を重ぬる貢(みつき)、府(みくら)に空しき月無し。名は文命よりも高く、徳は天乙に冠(まさ)れりと謂ひつべし。
捲上場(まきど)、トロ置場、ボタ捨場、燃滓(かす)捨場に至るまで、新張炭坑構内に何千何百となく並んでいた電灯と弧光灯が、一時にイルミネーションのように輝き出して、広い涯てしもない構内を
女坑主 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
無論他人(ひと)のものを盜掠(かす)めることも知らない手
『なるほど山だ、どうですこの瞑(かす)かな色は!』とさも懐(なつ)かしそうに叫んだ。
小春 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
大都市は、海にむかって漏泄(ろうせつ)の道をひらいている。その大暗渠(あんきょ)は、社会の穢粕(かす)と疲憊(ひはい)とを吸いこんでゆく。その汚水は、都市の秘密、腐敗、醜悪を湛えてまんまんと海に吐きだす。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
白い雨外套(あまがいとう)を着た職工風の男が一人、絣(かす)りの着流しに八字髯(はちじひげ)を生(はや)しながらその顔立はいかにも田舎臭い四十年配の男が一人、妾(めかけ)風の大丸髷(おおまるまげ)に寄席(よせ)芸人とも見える角袖(かくそで)コートの男が一人。
寺じまの記 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
もう口じゃまどろっこしい、眼の廻る様な奴を鼻梁にがんとくれて逃(かす)んだのよ。何もさ、そう怒るがものは無えんだ。巡的だってあの大きな図体じゃ、飯もうんと食うだろうし、女もほしかろう。
かんかん虫 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
銀平これはと打驚き、脈を押えて候(うかが)えば遥(かす)かに通う虫の呼吸、呼び活けんと声を張上げ
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と云って、山向(やまむこう)へ逃げても行かぬ。風のない村の上に、いつでも落ちついて、じっと動かずに靄(かす)んでいる。その間に野と林の色がしだいに変って来る。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)