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粕
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かす
ふりがな文庫
“
粕
(
かす
)” の例文
それも
粕
(
かす
)
みていな事を根に持ちやがってね、若衆は笑いも何もしねえのに、笑い方が気に喰わねえと、こうぬかしゃがるんですよ。
旗本退屈男:01 第一話 旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
搾り取られた人間の
粕
(
かす
)
はバタバタ死んで行くと、一方から新しく誘拐されて、タコ誘拐者に引率されてゾロゾロやって来る。
監獄部屋
(新字新仮名)
/
羽志主水
(著)
「ひどく醉つてゐるよ。
粕
(
かす
)
臭いぢやないか。だが、醉つただけぢやない、醉つたところでこの通り死ぬわけはない。八、耳の穴を覗いて見ろ」
銭形平次捕物控:319 真珠太夫
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
釘づけだろうが
粕
(
かす
)
づけだろうが、かもうこたアねえて。そいつをぶっこわしゃ銀の十字架かメダイが取れようってもんだ。そうすりゃそいつを
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
豆腐の
粕
(
かす
)
と
薩摩芋
(
さつまいも
)
の
蔓
(
つる
)
とが、山羊夫妻の大好物である。豆腐の粕はまだ三太が床のなかにいる時分豆腐屋から毎朝一個ずつ規則的に届けてくれる。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
▼ もっと見る
それからまた岱水では「
醤
(
もろみ
)
のかびをかき分けて」というのと、巻はちがうが「月もわびしき
醤油
(
しょうゆう
)
の
粕
(
かす
)
」というのがある。
連句雑俎
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
お杉は漆喰の欄干にもたれたまま片手で額を
圧
(
おさ
)
えていた。彼女の傍には、豚の骨や吐き出された砂糖黍の噛み
粕
(
かす
)
の中から
瓦斯燈
(
ガスとう
)
が傾いて立っていた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
前代の俳諧のごときは殊に読者を限定して、いわば
銘々
(
めいめい
)
の腹の中のわかる者だけで鑑賞し合い、今日存する
篇什
(
へんじゅう
)
はその楽しみの
粕
(
かす
)
のようなものである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
マゴマゴしているうちに
粕
(
かす
)
を絞らせられるような事になっては堪らぬと気が付いたので、すぐに一通の偽筆、匿名の手紙を書いて、面会の時日を東都日報
けむりを吐かぬ煙突
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
婆さんはその粉を
篩
(
ふるい
)
にかけて
粕
(
かす
)
を
除
(
と
)
り、それがすむと人形をはじめ農具を箱の中へ入れてしまった。
蕎麦餅
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
酒の
粕
(
かす
)
、それに釣り場のドロをこね合わせて、釣りの仕かけをする前に釣り場へ投げ込んでおく。
江戸前の釣り
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
描金
(
まきゑ
)
を
善
(
よく
)
して人の
粕
(
かす
)
をなめず、別に
一趣
(
いつしゆ
)
の
奇工
(
きこう
)
を
為
(
な
)
す。
破笠
(
はりつ
)
細工とて今に
賞
(
しやう
)
せらる。吉原の七月
創
(
はじめ
)
て
機燈
(
からくりとうろ
)
を作りて今に其
余波
(
よは
)
を
残
(
のこせ
)
り、
伝
(
でん
)
詳
(
つまびらか
)
なれどもさのみはとてもらせり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
その
粕
(
かす
)
に過ぎないところの稼ぎためなんぞは、思ったより淡泊に投げだしてしまうに違いない。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
粕共
(
かすごと
)
焼いて、いざ皿へ写すと云ふ時に、
粕
(
かす
)
を取らないと
味
(
あぢ
)
が抜けると云つて教へてやつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
こっとりつつんだ
粕
(
かす
)
の底からぱくりと
西瓜
(
すいか
)
の丸漬がでてきた。さもうまそうに太い
皺
(
しわ
)
がよってずっくりと酒の気がしみてるのを蓋のうえでほどよく切って皿につける。汁も煮えた。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
どうして拵えますかというと、
鋏
(
はさみ
)
を持って行って良い白馬の尾の具合のいい、古馬にならないやつのを頂戴して来る。そうしてそれを
豆腐
(
とうふ
)
の
粕
(
かす
)
で以て上からぎゅうぎゅうと次第〻〻にこく。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「山羊はお豆腐の
粕
(
かす
)
を食べるんでございますか。」とおくみは聞いた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
巴里は奈良漬の
樽
(
たる
)
のようなもので、あの中へ日本人をしばらく漬けておくとどんな下手でも相当の匂いにまで到達する。日本の現代にはまだ酒の
粕
(
かす
)
が充分国民全般にまで浸み込み行き渡っていない。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
呉
(
く
)
れたるは新酒にあらず酒の
粕
(
かす
)
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
たべるまでは、とても調子のいいだんなでしたが、あれからこっち、また少し気が変のようじゃござんせんか。奈良づけの
粕
(
かす
)
にまだ酔ってらっしゃるんですかい
右門捕物帖:08 卍のいれずみ
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「そうよ。この世に興味を
喪失
(
なく
)
してしまった人間の
粕
(
かす
)
みたいな人間が、みんな主義者になるのよ」
女坑主
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
描金
(
まきゑ
)
を
善
(
よく
)
して人の
粕
(
かす
)
をなめず、別に
一趣
(
いつしゆ
)
の
奇工
(
きこう
)
を
為
(
な
)
す。
破笠
(
はりつ
)
細工とて今に
賞
(
しやう
)
せらる。吉原の七月
創
(
はじめ
)
て
機燈
(
からくりとうろ
)
を作りて今に其
余波
(
よは
)
を
残
(
のこせ
)
り、
伝
(
でん
)
詳
(
つまびらか
)
なれどもさのみはとてもらせり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
と、ぷんと
粕
(
かす
)
の匂いがする。そうっと粕をはいでみる。下のほうにすばらしい
瓜
(
うり
)
の奴がうまそうに色づいて隠れている。奥にはまだなにかいる様子だったが楽しみにしてわざと見ずに瓜をだす。
島守
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
「釘づけだらうが
粕
(
かす
)
づけだらうが構ふ事アねえて。そいつをぶつこはしや、銀の十字架かめだいか取れようつてもんだ。さうすれやそいつを
潰
(
つ
)
ぶして銭にした上に褒美の
酒手
(
さかて
)
が貰へるつて訳だ。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
「神様が男の
粕
(
かす
)
から女を作った」の、「女は家庭の付属物」だのと心得ているのは、中世紀か封建時代の思想である。その粕が馬に乗って民衆運動の
先登
(
せんとう
)
に立った時代も過去の事である。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
そんな処を戦友に射撃してもらったり、自分で射撃したりして作った傷は、距離が近いために貫通創の附近に火傷が出来る。火薬の燃え
粕
(
かす
)
が黒いポツポツとなって沁み込んでいる事もある。
戦場
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
この世間知らずの山猿どもが。キングコングの
垂
(
た
)
れ
粕
(
かす
)
どもが……
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“粕(かす)”の解説
かす(滓、糟、粕、残渣)は、原料となる液体や固体などから目的の成分を取り除いた後に残る不純物やあまりの部分。絞り残りなど。転じて、良い部分を取り去って後に残った不用の部分。劣等なもの。つまらぬもの。
(出典:Wikipedia)
粕
漢検準1級
部首:⽶
11画
“粕”を含む語句
糟粕
粕漬
豆粕大豆
粕壁
粕谷
油粕
浦粕
酒粕
豆腐粕
粕谷市郎兵衛
粕谷御殿
粕谷治助
粕饅頭
茶粕
豆粕
粕理窟
邑智郡粕淵
醤油粕
餡粕
魚粕
...