かす)” の例文
彼が最愛の妻は、その一人を守るべき夫の目をかすめて、いやしみてもなほ余ある高利貸の手代に片思の涙をそそぐにあらずや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
霧のためにかすめる目をもて天堂の使者つかひの中なる最初の使者の前にいづるはふさはしからず 九七—九九
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
況して少しでも腦症なうしやうのあるものは、めうに氣がむで、みゝが鳴る、眼がかすむ、頭腦が惡く岑々ぎん/″\して、ひとの頭腦か自分の頭か解らぬやうに知覺ちかくにぶる。周三も其の通りだ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)