“倦”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
61.7%
22.8%
うん3.1%
あぐ2.2%
1.8%
あき1.3%
だる1.1%
0.9%
うみ0.7%
たる0.7%
0.4%
もの0.4%
ものう0.4%
あか0.2%
うじ0.2%
うむ0.2%
うめ0.2%
くた0.2%
けだ0.2%
けだる0.2%
たゆ0.2%
0.2%
アグ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その中で学校の盛んな時も、衰えた時も、すこしも変らずに、いつでも同じように人を教えてまなかったのは呉くみ子さんでした。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
定雄は次男の足の届かぬように屏風を遠のけると、またかず眺めていた。しかし、火鉢ひばちに火のあるのに、ひどくそこは寒かった。
比叡 (新字新仮名) / 横光利一(著)
番頭漸くうんざりして熱い奴を少しばかり、湯の口にいた二、三人が一時に声を納めて言いあわしたように流し場へ飛出すと、また入れ代って二、三人
残されたる江戸 (新字新仮名) / 柴田流星(著)
待ちあぐんで引返してきたのだと声高に述べたてていたが、真一の突然の死をお手伝いさんから聞くと、驚いて離座敷に駈けつけてきた。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
又ゆるやかにつゞくそのるい音は、それにつれて聞いてゐる者に次々ととりとめもない考へを追ひかけさせ、立ちどまらせ、又流れさせた。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
また小奇用こぎようで、何一ツ知らぬという事の無い代り、これ一ツ卓絶すぐれて出来るという芸もない、ずるけるが性分であきるが病だといえばそれもそのはずか。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
私もウイスキーがまわったせいか、何となくだるいような、睡たいような気持ちになりつつ、机の上に両肱を立ててあごを載せた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
其でも、まずにさへ織つて居れば、何時イツか織りあがるもの、と信じてゐる様に、脇目からは見えた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
仕掛ながれの末には杜若かきつばたなど咲き躑躅つゝぢ盛りなりわづかの處なれど風景よし笠翁りつをうの詩に山民習得ならひえて一身ものうかん茅龕ばうがんに臥しうみて松にかへつ辛勤しんきんとつ澗水かんすゐおくる曉夜を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
足がけツたるいので、づいと伸ばして、寐がへりを打つ、體の下がミシリと鳴ツて、新しい木綿もめんかほりが微に鼻をツた。眼が辛而やつと覺めかかツて來た。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
そんな事を私が言っていたのを聞いた人々がもしいまの私を見たら、こうして明け方から日の暮れまでゆまずにお勤しているのを、まあ、どんなに笑止に思うことだろう。
かげろうの日記 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
近代生活思潮に刺戟しげきをうけながらも、その不安をごまかして、与えられる物質だけに満足して、ものうい日々をおくるのを、高等な生活のように思いこんだ婦人たちは、あなたが新しい女と目されて
平塚明子(らいてう) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「で、どうするの?」私はからだがものうくってたまらぬので、どうでもなれとおもって言った。
帰途 (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
思ひ出うきつもりてもしや又わづらひもせば何とせん思へばまづしくうまれ來て何にも知ぬ我が子に迄あかぬ別れをさするかやとをとこなみだ足元あしもと踉々しどろ蹌々もどろに定めかね子故に迷ふやみの夜に麹町を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ものうじがほにたゆたひつ、まよひつ、やが
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
も幾年の学びたる力一杯鍛いたる腕一杯の経験修錬しゅれんうずまき起って沸々ふつふつと、今拳頭けんとうほとばしり、うむつかれも忘れ果て、心はさえさえ渡る不乱不動の精進波羅密しょうじんはらみつ、骨をも休めず筋をも緩めず
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あそびうめかう作りたるを打こぼつをもあそびとし、又他のわらべのこれにちかくおなじさまに作りたるをしろをおとすなどいひてうちくるふもあり、そのまゝにおくもあり。
机の前に端座して生徒の清書を点検したり、作文をたり、出席簿を調べたり、くたぶれた時はごろりとそこに寝ころんで天井をながめたりしている。
郊外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
駝鳥だちょう羽扇おおぎが、けだるそうにゆらりと揺れて、香料の風を送る。どうあってもここんところは、プラス・ヴァンドウムかルウ・ドュ・ラ・ペエの空気でないと、感じがでない。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
家系に黒人の血でも混入しているのか、浅黒い琥珀色こはくいろの皮膚をしていて、それがまた、魅惑を助けて相手の好奇心をそそる。けだるい光りを放つ、鳶色とびいろの大きな眼。強い口唇に漂っている曖昧あいまいな微笑。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
あとはたゆまぬ勉強だけだ。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
いぬどもの、みゝにはて、きばにはみ、ほのほき、黒煙くろけむりいて、くるまともはず、ひとともはず、ほのほからんで、躍上をどりあがり、飛蒐とびかゝり、狂立くるひたつて地獄ぢごく形相ぎやうさうあらはしたであらう
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
博多から油照りの船路に、乗りアグねた人々は、まだ郷野浦ガウノウラ行きの自動車の間には合ふだらうかなどゝ案じながらも、やつぱりおりて行つた。
雪の島:熊本利平氏に寄す (新字旧仮名) / 折口信夫(著)