だる)” の例文
私もウイスキーがまわったせいか、何となくだるいような、睡たいような気持ちになりつつ、机の上に両肱を立ててあごを載せた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
来るべき猛暑もうしょを思わせて、何となくだるい日が八百八町につづいている頃、本郷は追分のさき、俗に鰻畷うなぎなわてと呼ばれるところに。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
その内に、身体中が、少しずつ、だるくなってきた。関節が、倦くて、堪らないから、揉みたい、と思ったが、もう、手を動かすのも、厭であった。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
彼女はうしろの方に身を引くと、いかにもだるそうな魅惑を見せながら長椅子のはしに腰をおろしました。
炉辺ろばたの洋燈は寂しそうに照していた。何となくお雪は身体がだるくもあった。毎月あるべきはずのものも無かった。もっとも、さ程気に留めてはいなかったので、炉辺でひとり横に成ってみた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)