“うめ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ウメ
語句割合
59.7%
13.3%
9.3%
呻吟4.3%
3.6%
2.5%
美味1.6%
梅花1.1%
1.1%
0.8%
0.3%
佳味0.2%
上手0.2%
0.2%
右馬0.2%
0.2%
呻唸0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
宇女0.2%
梅實0.2%
梅樹0.2%
注水0.2%
煩悶0.2%
0.2%
莵野0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
言葉も叫びもうめきもなく、表情もなかった。伊沢の存在すらも意識してはいなかった。人間ならばかほどの孤独が有り得る筈はない。
白痴 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
ればそこらじゅうが、きれいな草地くさちで、そして恰好かっこういさまざまの樹草じゅそう……まつうめたけ、そのがあちこちに点綴てんせつしてるのでした。
さけぶまでに、意識がはっきりすると、全身の痛みも、熱をおびて、彼を、うめかせた。大きく、何度もうなった。唸ると、楽である。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それ三聲みこゑめにると、くやうな、うらむやうな、呻吟うめくやうな、くるしもがくかとおも意味いみあきらかにこもつてて、あたらしくまたみゝつんざく……
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
道楽を一つするじゃなし、おめかけを一人置こうじゃなし、時たまうめえ酒を飲んで、旨え物を食ってみるくれえが関の山なんだ。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
もつともと一面いちめん竹藪たけやぶだつたとかで、それをひらとき根丈ねだけかへさずに土堤どてなかうめいたから、存外ぞんぐわいしまつてゐますからねと
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とすると何といっても、こっちとしちゃ年期のかかってるお前さんだけ、つまり美味うめえ汁粉のほうだけでたくさんだってこういう次第になってくる
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
「どうじゃ範宴、きょうは、わしにいてこないか」陽が暖かくて、梅花うめかんばしい日であった。庭さきでもひろうように、慈円はかろく彼にすすめる。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
丁寧にむしって出すのを、うめえ/\と喰うくらいの事じゃねえ、あんまり仲が好過よすぎてネ、遂々とう/\赤ん坊が出来た
「つまらねえ広告をしてやがる! だがあの乞食もうめえことを考えつきやがったな。」
掠奪せられたる男 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
彷徨さまよいあぐねてこの洞穴の一つのまえを通りかかった水無瀬女は、穴の中からうめき声に混ってこういうのを聞いた。
富士 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
婆奴等ばゝあめら、そつちのはう偸嘴ぬすみぐひしてねえで、佳味うめものつたら此方こつちつてう」先刻さつきくび珠數じゆずいた小柄こがらぢいさんが呶鳴どなつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
りや佳味うめえこたあ佳味うめえがあんまりあまくつておらがにやむねわるくなるやうだな」勘次かんじめた幾杯いくはいかたぶけた。勘次かんじ風呂敷ふろしきからふくろしておしな枕元まくらもといて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「あの白首ごけ、身体こったらに小せえくせに、とても上手うめえがったどオ!」
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
あそびうめかう作りたるを打こぼつをもあそびとし、又他のわらべのこれにちかくおなじさまに作りたるをしろをおとすなどいひてうちくるふもあり、そのまゝにおくもあり。
左樣で御座います。たしかに血に違ひありません。本多右馬うめ之丞樣は、塀を乘り越えて、こつちへ飛び降りようとしたところを
つれなくえし有明ありあけつき形見かたみそらながめて、(あかつきばかり)とうめきけんからず。
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『よしっ。貰うたぞ。今……生胆きもの買手をば連れて来るケニ、貴様あ今にも死ぬゴトうんうん呻唸うめきよれや』
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
談ここにいたりて、甲と乙とは、思わず同音にうめきぬ。乗り合いは弁者の顔をうかがいて、その後段を渇望せり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
空しく長きうめき声を洩すのみ、此有様も如何ように見て取る可きか、目科はすかさずついて入り
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
少ししらけた席の穴をうめるためか、昇がにわかに問われもせぬ無沙汰ぶさた分疏いいわけをしだして、近ごろは頼まれて、一はざめに課長の所へいって、細君と妹に英語の下稽古をしてやる、という。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
父と兄とが口早に話している隣の部屋から、娘の宇女うめが間のふすまを開けて現れた……面長のおっとりとした顔だちであるが、今は色もあおざめ、双眸ひとみにも落着かぬ光があった。
三十二刻 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
うすらぐべきよしもなくて、をうみ梅實うめおつおともそゞろさびしき幾日いくひ、をぐらきまどのあけくれに、をちかへりなく山時鳥やまほとゝぎすの、からくれなゐにはふりでねど
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
若者一個庭前にて何事をかなしつつあるを見る。こいし多きみちに沿いたる井戸のかたわらに少女おとめあり。水枯れし小川の岸に幾株の老梅並びてり、かきの実、星のごとくこの梅樹うめきわより現わる。
小春 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
医者は熱湯の中へ手を入れて、「もう少し注水うめましょう。余り熱いと火傷やけどでもなさるといけませんから」と注意した。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と云うのは河中に転落したお客が船舟べりにつかまりながら生命の危険なんかそっちのけにして、流れて行く一本の雨傘をとらえようとして手を延ばし焦心あせ煩悶うめいていたからさ。
赤げっと 支那あちこち (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そして自分は、母の帝が板蓋宮炎上のあとで、暫く仮宮に使つてをられた川原の古宮に黙々として起居しながら、妃の莵野うめ王女ひめみこの眼をぬすんでは通つてくるのだつた。
鸚鵡:『白鳳』第二部 (新字旧仮名) / 神西清(著)