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呻吟
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うめ
ふりがな文庫
“
呻吟
(
うめ
)” の例文
なんだか二階で人の
呻吟
(
うめ
)
くような声をきいたと思った。するとトントンと二階から一階へ降りて行く人の
跫音
(
あしおと
)
がかすかに聴えてきた。
階段
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
其
(
それ
)
が
三聲
(
みこゑ
)
めに
成
(
な
)
ると、
泣
(
な
)
くやうな、
怨
(
うら
)
むやうな、
呻吟
(
うめ
)
くやうな、
苦
(
くるし
)
み
踠
(
もが
)
くかと
思
(
おも
)
ふ
意味
(
いみ
)
が
明
(
あきら
)
かに
籠
(
こも
)
つて
來
(
き
)
て、
新
(
あた
)
らしく
又
(
また
)
耳
(
みゝ
)
を
劈
(
つんざ
)
く……
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『モウ
呻吟
(
うめ
)
かんでもヨカ。御苦労御苦労。こちの方がヨッポド済まん。ところで済まん
序
(
ついで
)
にチョット待っとれ。骨休めするケニ』
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
今度の
驚愕
(
おどろき
)
は前の如きものではなく、その大きな眼を一杯に見開き、唇は
痙攣
(
けいれん
)
して引きつり、低い
呻吟
(
うめ
)
くような声が
咽喉
(
のど
)
から押し出されました。
鉄の処女
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
お国はまだ何やら、寝ぼけ声で話しかけたが、後は
呻吟
(
うめ
)
くように細い声が聞えて、じきにウトウトと眠りに
陥
(
お
)
ちてしまう。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
所が、しきりに子供が泣いて居る。それも病體ではあるしよほど久しく泣いてゐたものと見えその聲もすつかり勞れ切つて
呻吟
(
うめ
)
くやうになつてゐた。
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
彼は独居の部屋に閉じ籠り、頭を抱えて
身悶
(
みもだ
)
えして
呻吟
(
うめ
)
くより外なかった。それでいながら経巻や仏像の影を見ることには前より一層厭嫌の感情を増した。
宝永噴火
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
かなたにては
暴虐
(
しひたげ
)
の
呻吟
(
うめ
)
く處と再び合ふにいたるまで
水底
(
みなそこ
)
次第に深くなりまさるを汝信ずべし 一三〇—一三二
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
殆ど病人の
呻吟
(
うめ
)
き声かとも思われ、爾して続き方も以前ほど長くなく少しの暇に止んで了った、余の見当に由ると何うしても今の声は余の居間で発した者だ
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
さて男は
其処此処
(
そここゝ
)
と父を探して歩いた。
漸
(
やうや
)
く岡の蔭の熊笹の中に
呻吟
(
うめ
)
き倒れて居るところを尋ね当てゝ、肩に掛けて番小屋迄連れ帰つて見ると、手当も何も届かない程の
深傷
(
ふかで
)
。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
といって、それがそうならないからこそ、もろともに悩み
呻吟
(
うめ
)
くのではないか——
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
呻吟
(
うめ
)
き苦しみながら、のた打ちまわって浮浪しようと思う——恐らく、そのような女性の片鱗をさえ仰ぐことが出来ずに何処かの野末か陋巷に野垂死をすることになるだろう——そうなったら
浮浪漫語
(新字新仮名)
/
辻潤
(著)
マーキュ (笑って)
何
(
なん
)
と、かう
洒落
(
しゃ
)
れのめしてゐるはうが、
惚
(
ほ
)
れたの、
腫
(
は
)
れたのと
呻吟
(
うめ
)
いてゐるよりは
優
(
まし
)
であらうが?
今日
(
けふ
)
こそは、つッともう
人好
(
ひとずき
)
のする
立派
(
りっぱ
)
なロミオぢゃ、
今日
(
けふ
)
こそは
正面
(
しゃうめん
)
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
平岡は
呻吟
(
うめ
)
く様な声を出した。二人は漸く顔を見合せた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それが
三声
(
みこえ
)
めになると、泣くような、怨むような、
呻吟
(
うめ
)
くような、
苦
(
くるし
)
み
踠
(
もが
)
くかと思う意味が
明
(
あきら
)
かに
籠
(
こも
)
って来て、
新
(
あた
)
らしくまた耳を
劈
(
つんざ
)
く……
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私とツン州と二人で感心して見ております前で、約束通りにウンウン
呻吟
(
うめ
)
きよる大惣の脈を取って、念入りに診察しますと病人の枕元で談判を初めました。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お銀が
琵琶
(
びわ
)
の葉影の蒼々した部屋で、
呻吟
(
うめ
)
き苦しんでいると、正一はその側へ行って、母親の手につかまった。その日お銀は朝から少しずつ産気づいて来た。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
次の
嚢
(
ボルジヤ
)
の民の
呻吟
(
うめ
)
く聲、あらき
氣息
(
いき
)
、また
掌
(
たなごゝろ
)
にて身をうつ音きこえぬ 一〇三—一〇五
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
私は悲しみのどん底に
呻吟
(
うめ
)
きながら、部屋の中をのたうち廻りました。
魂の喘ぎ
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
平岡は
呻吟
(
うめ
)
く様な声を
出
(
だ
)
した。
二人
(
ふたり
)
は漸く
顔
(
かほ
)
を見合せた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
別の声が
呻吟
(
うめ
)
いた。
キド効果
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
片耳ざくり、行って
御覧
(
ごろう
)
じろ、鹿が角を折ったように片一方まるで形なしだ。
呻吟
(
うめ
)
くのはそのせいさ、そのせいであの通りだ。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
葉子は息も絶えそうに
呻吟
(
うめ
)
いていたが、
面
(
おもて
)
を
背向
(
そむ
)
けていた庸三が身をひいた時には、すでに
創口
(
きずぐち
)
が消毒されていた。やがて
沃度
(
ヨード
)
ホルムの
臭
(
にお
)
いがして、ガアゼが当てられた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
『ええ。要らん事云うな。大惣……黙って
呻吟
(
うめ
)
きよれ』
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
白墨狂士は何とかしけむ、そのままどたどたと足を挙げて、苦痛に堪えざる
身悶
(
みもだえ
)
して、
呻吟
(
うめ
)
く声
吠
(
ほ
)
ゆるがごとし。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「皆さん御苦労でしたね。」と、その口から
呻吟
(
うめ
)
くような声も洩れた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
……キャッと叫ぶ、ヒイと泣く、それ、貫かれた、
抉
(
えぐ
)
られた……ウ、ウ、ウーンと、引入れられそうに
呻吟
(
うめ
)
く。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一度でも忘れると、
掌
(
たなそこ
)
をめぐらさず、田地田畠、陸は水になる、沼になる、
淵
(
ふち
)
になる。幾万、何千の人の
生命
(
いのち
)
——それを思うと死ぬるも死切れぬと、
呻吟
(
うめ
)
いて
掻
(
もが
)
く。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
賑
(
にぎや
)
かに
二階屋
(
にかいや
)
の揃った中の、一番
屋
(
や
)
の
棟
(
むね
)
の高い家へ入ったですが、私は
唯
(
ただ
)
幽
(
かすか
)
に
呻吟
(
うめ
)
いていたばかり。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
またどうも
呻吟
(
うめ
)
くのが、魘されるのとは様子が違って、
苦
(
くるし
)
み
掙
(
もが
)
くといった調子だ……さ、その
同一
(
おなじ
)
苦み掙くというにも、
種々
(
いろいろ
)
ありますが、訳は分らず、しかもその
苦悩
(
くるしみ
)
が容易じゃない。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
同一
(
おなじ
)
処で
蠢
(
うごめ
)
く処へ、宰八の声が聞えたので、
救助
(
たすけ
)
を呼ぶさえ
呻吟
(
うめ
)
いたのであった。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三百
人
(
にん
)
ばかり、
山手
(
やまて
)
から
黒煙
(
くろけぶり
)
を
揚
(
あ
)
げて、
羽蟻
(
はあり
)
のやうに
渦卷
(
うづま
)
いて
來
(
き
)
た、
黒人
(
くろんぼ
)
の
槍
(
やり
)
の
石突
(
いしづき
)
で、
濱
(
はま
)
に
倒
(
たふ
)
れて、
呻吟
(
うめ
)
き
惱
(
なや
)
む
一人々々
(
ひとり/\
)
が、
胴
(
どう
)
、
腹
(
はら
)
、
腰
(
こし
)
、
背
(
せ
)
、コツ/\と
突
(
つゝ
)
かれて、
生死
(
いきしに
)
を
驗
(
ため
)
されながら
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
枕頭
(
まくらもと
)
で、ウーンと
呻吟
(
うめ
)
くのが響き出した、その声が、何とも言われぬ……
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
山手
(
やまて
)
から
黒煙
(
くろけぶり
)
を揚げて、
羽蟻
(
はあり
)
のやうに渦巻いて来た、
黒人
(
くろんぼ
)
の
槍
(
やり
)
の
石突
(
いしづき
)
で、浜に倒れて、
呻吟
(
うめ
)
き悩む一人々々が、胴、腹、腰、背、コツ/\と
突
(
つつ
)
かれて、
生死
(
いきしに
)
を
験
(
ため
)
されながら、
抵抗
(
てむかい
)
も成らず
裸
(
はだか
)
にされて
印度更紗
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「何だね、どうしたのさ、あれ大変
呻吟
(
うめ
)
くじゃあないか。」
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「どこか
呻吟
(
うめ
)
くような声がするよ。」
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“呻吟”の意味
《名詞》
呻 吟(しんぎん)
苦しくてうめくこと。
(出典:Wiktionary)
呻
漢検1級
部首:⼝
8画
吟
常用漢字
中学
部首:⼝
7画
“呻吟”で始まる語句
呻吟声
呻吟中
呻吟聲
呻吟籠居
呻吟転輾