“其処此処”のいろいろな読み方と例文
旧字:其處此處
読み方割合
そこここ89.3%
そここゝ10.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
十二時にならないと店をけない贅沢ぜいたくな料理屋も其処此処そこここにある。芝居帰りの正装で上中流の男女なんによが夜食を食べに来るのださうである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
山が漸次に深くなり、山道を荷を負うて通う牛が其処此処そこここに群をなしている。道の両側の坂地をならして小さな麻畑がいくつも出来ている。
木曽御嶽の両面 (新字新仮名) / 吉江喬松(著)
高柳利三郎と町会議員の一人が本町の往来で出逢であつた時は、盛んに斯雪を片付ける最中で、雪掻ゆきかきを手にした男女をとこをんな其処此処そここゝむらがり集つて居た。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
すぐうしろの寺の門の屋根やねにはすゞめつばめが絶えなくさへづつてゐるので、其処此処そここゝ製造場せいざうば烟出けむだしが幾本いくほんも立つてゐるにかゝはらず、市街まちからは遠い春の午後ひるすぎ長閑のどけさは充分に心持こゝろもちよくあぢははれた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)