“彼処此処”のいろいろな読み方と例文
旧字:彼處此處
読み方割合
あちこち29.4%
あちらこちら17.6%
かしこここ17.6%
あっちこっち11.8%
あつちこつち5.9%
かしここゝ5.9%
かなたこなた5.9%
そこここ5.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
万一ひょっとしたらいから左様な処へでも行きはしまいかと、是から吉原へ這入って彼処此処あちこちを探して歩行あるいたが分りません。
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ひき越して五六日間は板を買つて来て棚を彼処此処あちらこちらに附けるのも面白いし、妻が瓦斯ぐわす煮沸にたきをするのを子供等と一緒に成つて珍らしさうに眺めたり
執達吏 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
ルウヴル宮の大きいのとオペラの図抜けた屋根とが何時いつながら磁石の役をして自分などにも彼処此処かしこここなんの所在と云ふ事が点頭うなづかれるのである。ふらふらと風に散つて居る雲もある。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
道の両側に茂った稲の葉には砂埃が白くたまって、彼処此処あっちこっちから、雨を呼ぶかわずの声が聞えた。
初往診 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
ながいのだの、一番いちばん橋手前はしてまへのをかしらにして、さかりどき毎日まいにち五六十ぽん出来できるので、また彼処此処あつちこつちに五六人づゝも一団ひとかたまりになつてるのは、千本せんぼんしめぢツて、くさ/\にへてる、それはちひさいのだ。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
見渡せば前は平野ひらのである。り残された大木が彼処此処かしここゝ衝立つゝたつて居る。
空知川の岸辺 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
白は彼女にいて居ることもありましたが、二人の食物を求めるために忙しくて、彼処此処かなたこなたをとびまわりました。彼女はもはや誰の顔を見ても見わけがつきませぬでした。
狂女と犬 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
私の目にふれた色色な仏像や仏画、朝夕に鳴る鐸鈴の厳かな音色、それから彼処此処そこここともされたお燈明などに、これまでとは別な清まった心になることを感じるのであった。
幼年時代 (新字新仮名) / 室生犀星(著)