彼処此処あっちこっち)” の例文
旧字:彼處此處
道の両側に茂った稲の葉には砂埃が白くたまって、彼処此処あっちこっちから、雨を呼ぶかわずの声が聞えた。
初往診 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
と時節が早かつたと見えて、三島の山々からひとなだれの茅萱ちがやたけより高い中から、ごそごそと彼処此処あっちこっち野馬のうまが顔を出して人珍しげにみつめては、何処どこへか隠れてしまふのと、蒼空あおぞらだつたが
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)