“此処彼処”のいろいろな読み方と例文
旧字:此處彼處
読み方割合
ここかしこ84.6%
こゝかしこ15.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
神女達の纏ふ羅は、両岸の此処彼処ここかしこから囀り渡る小鳥の声にも、ヒラ/\とたなびいて緑なる春の河を静かに昇つて行つた。
嘆きの孔雀 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
雨の日などは臭が一層強くこもつてむツとするところへ持つて来て、おもてのぬかるみを歩いたまゝで上つて来るから、猫の脚あとが此処彼処ここかしこに点々とする。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それから間もなく洛中らくちゅうの空に黒雲がおゝひろがって大雷雨が襲来し、風を起しひょうを降らして、宮中の此処彼処こゝかしこに落雷した。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
長江悠々として千鳥のこえも此処彼処こゝかしこにきこえ、遠浦の帰帆、漁村の夕照、四季おり/\の風情ふぜいおもしろく、定めし見飽かぬ眺めだったでござりましょう。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)