“あちこち”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
彼方此方65.8%
彼処此処6.8%
彼地此地6.8%
反対4.1%
彼方是方4.1%
遠近2.7%
彼方此處1.4%
彼此1.4%
彼處此處1.4%
時々彼方此方1.4%
(他:3)4.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
小田をだ彼方此方あちこちきぬたぬののなごりををしんで徜徉さまよさまに、たゝまれもせず
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
今迄静かだった校舎内がにわかに騒がしくなって、彼方此方あちこちの教室の戸が前後してあわただしくパッパッとく。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「オヤ、どうした⁈」と、思っていると彼処此処あちこちの雪のなかから黒い鼻先がひょくりひょくりと現われてくる。
人外魔境:08 遊魂境 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
かすかに聞える伝通院でんずういん暮鐘ぼしょうに誘われて、ねぐらへ急ぐ夕鴉ゆうがらすの声が、彼処此処あちこちに聞えてやかましい。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
なお燈火あかり彼地此地あちこちへ向けているうちに、雪は渦巻いて降込ふりこんで来た。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
入って見ると彼地此地あちこちに、十ヶ月の胎児の見世物がありましたよ。
江戸か東京か (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
「いいえ、違うよ。私のはまた全く芳さんの姉さんとは反対あちこちで、あんまり深切にされるから、もう嫌で、嫌で、ならないんだわ。」
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
本来なら、こりゃお前さんがたが、客へお世辞せじに云う事だったね。誰かにていらっしゃるなぞと思わせぶりを……ちと反対あちこちだったね。言いました。ああ、肖ている、肖ているッて。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と岸本が言ったので節子は彼方是方あちこちつぼみを探したが、彼女の取ろうとするのはいずれも彼女の手の届かないところにあった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
こう三吉は子供を背中に乗せて言ってみた。書籍ほんを読みながら、自分の部屋の中を彼方是方あちこちと歩いた。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
今この二人がその辺へ来かかッて見回すとちぎれた幕や兵粮ひょうろうの包みが死骸とともに遠近あちこちに飛び散ッている。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
続け打ちに打つ半鐘の音は、相変らずけたたましく聞えるけれども、さきほどまで遠近あちこちに聞えた助けを求むる声と、それにこたうる声とはこの時分は、もうあまり聞えなくなりました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ながめるとそらにはくもひくび、やままたやま彼方此處あちこちには
さては邪見な七蔵しちぞうめ、何事したるかと彼此あちこちさがして大きなるふしの抜けたる所よりのぞけば、鬼か、悪魔か、言語同断、当世の摩利まり夫人とさえこの珠運が尊く思いし女を
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いままでそのうへについてあたゝかだつた膝頭ひざがしら冷々ひや/\とする、身體からだれはせぬかとうたがつて、彼處此處あちこちそでえりはたいてた。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
仕樣事なさに、一日門口へ立つて見たり、中へ入つて見たりしてゐたが、蛇の目傘をさした源助さんの姿が、時々彼方此方あちこちに見えた。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
四辺あたり寂然さびしくひそまり返り、諸所あちこち波止場はとば船渠ドックの中に繋纜ふながかりしている商船などの、マストや舷頭にともされている眠そうな青い光芒も、今は光さえ弱って見えた。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
その時健三は日のかぎった夕暮の空の下に、広くもない庭先を逍遥あちこちしていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼方の岸辺にひめられている無数のとばりと、そしてたてや防材を組んだ塁や、また、遠方此方あちこちの森や民家の陰にいたるまで、およそそれの見えぬ所はないほど赤い旗の翩翻へんぽんと植え並べてある盛観に、
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)