“彼地此地”の読み方と例文
読み方割合
あちこち100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
彼は洋燈らんぷ持出もちだして庭をてらすと、足跡はたしかに残っているが、人の形は見えぬ。なお燈火あかり彼地此地あちこちへ向けているうちに、雪は渦巻いて降込ふりこんで来た。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
人さわがせ屋センセイション・モンガアというものはあるもので、濠洲と南亜の海岸彼地此地あちこちで、空壜に這入った手紙や、遺書のようなものが六つも、浜に流れ着いたと言って届け出られた。
沈黙の水平線 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
およそ十丈もあろうかと思うほどの、裸体の人形で、腰には赤の唐縮緬からちりめんの腰巻をさして下からだんだん海女の胎内に入るのです。入って見ると彼地此地あちこちに、十ヶ月の胎児の見世物がありましたよ。
江戸か東京か (新字新仮名) / 淡島寒月(著)