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遠近
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あちこち
ふりがな文庫
“
遠近
(
あちこち
)” の例文
鶏の鳴きかわす声が
遠近
(
あちこち
)
の霧の中に聞える。坂を越して野辺山が原まで出てまいりますと、霧の群は
行先
(
ゆくて
)
に集って、足元も
仄暗
(
ほのぐら
)
い。
藁草履
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
そして夜になると
彼奴
(
きゃつ
)
等の
猛
(
たけ
)
しい唸り声を聞いて、
遠近
(
あちこち
)
のさかりのついた野良犬や、狂犬どもが盛んに吠え立てるのだ。
犬舎
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
殊に今朝は雨上りの
所為
(
せい
)
か空は拭ったようで、
遠近
(
あちこち
)
に
聳
(
そび
)
え立っている大建築は形ながら色ながら
瞭然
(
くっきり
)
として頗る壮観だ。田鶴子さんも同感だったと見えて
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そのすこし前の戦争の時にはこの
高処
(
たかみ
)
へも陣が張られたと見えて、今この二人がその辺へ来かかッて見回すとちぎれた幕や
兵粮
(
ひょうろう
)
の包みが死骸とともに
遠近
(
あちこち
)
に飛び散ッている。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
続け打ちに打つ半鐘の音は、相変らずけたたましく聞えるけれども、さきほどまで
遠近
(
あちこち
)
に聞えた助けを求むる声と、それに
応
(
こた
)
うる声とはこの時分は、もうあまり聞えなくなりました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“遠近”の意味
《名詞》
遠 近(えんきん、おちこち)
遠いことと近いこと。
(出典:Wiktionary)
遠
常用漢字
小2
部首:⾡
13画
近
常用漢字
小2
部首:⾡
7画
“遠近”で始まる語句
遠近図
遠近法