“遠近”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
おちこち52.6%
をちこち36.1%
えんきん6.2%
ゑんきん3.1%
あちこち2.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“遠近”を含む作品のジャンル比率
文学 > 日本文学 > 戯曲2.0%
文学 > 日本文学 > 小説 物語1.4%
文学 > 日本文学 > 詩歌1.3%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
午前十時、初冬の日はいよいよ暖かくうららかになって、白い霜の消えて行く地面からは、遠近おちこちに軽い煙を噴いていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
朝露あさつゆれた屋根瓦やねがわらの上を遠近おちこちと尾をうごかし歩く鶺鴒せきれいに佇ずんだ。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
港を包む遠近をちこちの山の頂には冷たい色の雲が流れて、その暗い陰影に劃られた山山の襞には憂欝と冷酷の色が深く刻まれてあつた。
修道院の秋 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
一寝入ひとねいりしたと思ふも無く寺寺てらでらの朝の鐘が遠近をちこちから水を渡つて響くので目が覚めた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
電灯が消えると、にわかに聴力が鋭敏になったのだった。いままで聞こえなかった半鐘はんしょうの音が、サイレンに交って、遠近えんきんいろいろの音色をあげていた。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
雨戸の外では夜鳥よどりの声が、遠近えんきんを定めず私を驚かした。
疑惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
晝夜ちうや差別さべつなく、遠近ゑんきんから參集さんしふする愚男愚女ぐなんぐぢよは、一みちきもらず。
大小だいせう遠近ゑんきんもなくほうけたり未生みしやうわれや斯くてありけむ
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
今この二人がその辺へ来かかッて見回すとちぎれた幕や兵粮ひょうろうの包みが死骸とともに遠近あちこちに飛び散ッている。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
続け打ちに打つ半鐘の音は、相変らずけたたましく聞えるけれども、さきほどまで遠近あちこちに聞えた助けを求むる声と、それにこたうる声とはこの時分は、もうあまり聞えなくなりました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)