“衾”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ふすま65.0%
よぎ18.2%
しとね8.0%
フスマ2.2%
ぶすま1.5%
きん1.5%
ふとん1.5%
やぐ1.5%
ぶとん0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あはれ新婚しんこんしきげて、一年ひとゝせふすまあたゝかならず、戰地せんちむかつて出立いでたつたをりには、しのんでかなかつたのも、嬉涙うれしなみだれたのであつた。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
遠近おちこちではとりが勇ましく啼いた。市郎はよぎを蹴って跳ね起きた。家内の者共は作夜の激しい疲労に打たれて、一人もまだ起きていない。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ねやしとねから、枕の類にまで事寄せ、あるひは戀とし、あるひは哀傷として、詩にも作られ、歌にも詠まれ、文章にも綴られて來たのは
桃の雫 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
紐を解き敷いて、折り返しカブれば、やがて夜のフスマにもなりまする。天竺の行人ギヤウニンたちの著る僧伽梨ソウギヤリと言ふのが、其でおざりまする。早くお縫ひあそばされ。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
スッポリ雪の厚ぶすまを着せられて、おかげで烈しい寒風はのがれるかわり、ありがたいお天道さまも直かには拝めず、ずいぶん淋しいといえば淋しいけれど、時おりは
ある偃松の独白 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
われは声を忍びて、かたく顔をきんに押し当てて欷歔すすりあげしに、熱涙綿わたに透りて、さながら湯をば覆えしたるごとく、汗は流れて、熱をやみたる人のごとく、いとあつし。
一夜のうれい (新字新仮名) / 田山花袋(著)
私はうわべに迷わされたようなふりをしておりますと、彼奴はふとんをあけて入りかけましたが、また驚いて、どうして刃物があるのだといいました。
五通 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
元豊は湯気にされて苦悶しながら大声を出して出ようとした。小翠は出さないばかりかやぐを持って来てそのうえからかけた。
小翠 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
そして夜具の中へはいろうとした、そばに寝かせてある康三郎をみて寒いかなと思い、すぐ立っていって薄いほうの掛けぶとんをとりだした。
日本婦道記:桃の井戸 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)