“きん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:キン
語句割合
47.5%
黄金23.6%
7.7%
4.7%
3.4%
1.3%
1.3%
1.1%
1.0%
0.8%
0.8%
0.6%
0.5%
0.5%
0.5%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
黄色0.3%
黄金色0.3%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
純金0.2%
0.2%
0.2%
金將0.2%
金絲0.2%
金色0.2%
金足0.2%
金飾0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
鍍金めっききんに通用させようとする切ない工面より、真鍮しんちゅうを真鍮で通して、真鍮相当の侮蔑ぶべつを我慢する方が楽である。と今は考えている。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
宏大な美しい声と、幅の広い柔かな表現を持った人だ。ほかに望みのある人は『ファウスト』の「黄金きんこうしの歌」などが面白かろう。
店の隅では、たばこの葉を鉋台かんなだいにかけている者があるし、はかりにかけて五十きん箱に詰めて、江戸へ出す荷ごしらえをしている者もある。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人びとがおのおのもくして仕事しごとをしてるのを見ると、自分はのけものにされてるのじゃないかという考えをきんずることができない。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
又中根香亭の記する所を見るに、樗園は善くきんを鼓した。其伝統は僧心越、杉浦琴川、幸田親益しんえき宿谷空々しゆくだにくう/\新楽閑叟しんがくかんそう、杉本樗園である。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
依田竹谷よだちくこく、名はきんあざなは子長、盈科齋えいくわさい、三谷庵こくあん、又凌寒齋りようかんさいと號した。文晁ぶんてうの門人である。此上被うはおほひに畫いた天保五年は竹谷が四十五歳の時で、後九年にして此人は壽阿彌にさきだつて歿した。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
「もうそんなかけ声を出さなくてもよいようになった、という文句には、まさに千きんの重みがありますわい。」
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
河また河、谷また谷、ぼうぼうたる草は身を没して怪きん昼もく、そのあいだ猛獣もうじゅう毒蛇どくじゃのおそれがある、蕃人ばんじん襲来しゅうらいのおそれもある。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
「どう、どう、どう」と証書を取らんとする風早が手は、きん活動はたらきを失へるやうにて幾度いくたびとらへ得ざるなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
此書院に古画幅を掛たり。広一尺一二寸たけ三尺許装潢もふるし。一人物きんを頂ききうたり。舟に坐して柳下に釣る。欵なし。筆迹松花堂様の少く重きもの也。寺僧浦島子うらしまがこかたなりといふ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
恋愛によりて人は理想の聚合しゅうごうを得、婚姻によりて想界より実界にきんせられ、死によりて実界と物質界とを脱離す。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
謄写版とうしゃばんの『草の実』は、すぐ火鉢ひばちにくべられた。まるで、ペストきんでもまぶれついているかのように、あわてて焼かれた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
「電気というものは、長い線で山の奥からひっぱって来るもんだでのイ、その線をば夜中にきつねたぬきがつたって来て、このきんぺんの田畠たはたを荒らすことはうけあいだね」
おじいさんのランプ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
このとしがくれて、文久ぶんきゅうがん(一八六一)ねんになると、諭吉ゆきちは、おなじ中津藩なかつはん上級士族じょうきゅうしぞく土岐太郎八ときたろはち次女じじょきんとけっこんしました。
「おや、きんじゃないか、暫くこなかったねえ、どうしたんだともって心配してたよ」
反逆 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
では、それからの彼は、どうしていたかというと、襄陽の西郊にかくれて、弟のきんと共に、半農半学者的な生活に入ってしまったのだった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
渠はきんを正して、うやうやしく白糸の前にかしらを下げたり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
きんという植物は元来がんらいはたけに作る蔬菜そさいの名であって、また菫菜きんさいとも、旱菫かんきんとも、旱芹かんきんともいわれている。中国でも作っていれば、また朝鮮にも栽培せられて食用にしている。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
又曰く未茗椀換觥船、何復繊腰伴酔眠、家有縞衣侍吾返、孤衾如水已三年と。彼は喪に在るの間其愛妻とすらきんを共にせざりし也。如何ぞ独り長崎に於てのみ堕落せんや。
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
汝がこゑの 黄色きんの耳飾り
蛇の花嫁 (新字旧仮名) / 大手拓次(著)
黒い木に黄金色きんの金具を打ちつけた美事な化粧台、着物かけ、タオルかけ、歯医者の手術室にあるような硝子ガラス戸棚、その中に並んだ様々な化粧道具や薬品らしいもの、へやの隅の電気ストーブ
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その薄い膜を破って腸を胴の方へ押し付けると背中の骨の処人間ならば腰という処に色の白い玉子形たまごなりの米粒位なものが一つ見える。それが即ち鶏のきんだ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
客の三人は珍物よと聞きて賞翫しょうがんしつつ小山夫婦しきりに感歎し「なるほどこれは無類だ。やわらかいこと綿のごとくでその中に何とも言われん味がある。しかし中川君、鶏にもきんがあるかね」主人「あるとも、動物だもの。ただそれが背中の内にあるから素人しろうとに分らん。かつ去勢術が豚や馬に比して困難なのもそれがためだ」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
燕王の心胸もとより清からず、道衍の瓜甲そうこうも毒ありというべし。道衍燕邸えんていに至るに及んで袁珙えんこうを王に薦む。袁珙はあざな廷玉ていぎょくきんの人にして、これまた一種の異人なり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
燕王笑って曰く、が年まさに四旬ならんとす、鬚あにまた長ぜんやと。道衍こゝに於て金忠きんちゅうというものをすすむ。金忠も亦きんの人なり、わかくして書を読みえきに通ず。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
しかしヘンデルはその間にも名作「アルキーナ」を作り、きん々十日間で「アレキサンドルの祭」を書いた。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
死刑される当の人は中納言藤原泰文やすぶみの妻のきん子と泰文の末娘の花世はなよ姫、公子のほうは三十五、花世のほうは十六、どちらも後後のちのちの語草になるような美しい女性だったので
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
玄白とは初代玄白よくであらうか。玄白は初め子がなかつたので、建部たてべ伯元勤はくげんきんを養つて嗣とした。其後一児を挙げたのが立卿予りつけいよである。むすめの事は伝に見えない。きんとのぢよの事も亦同じである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
我輩とても敢て多弁を好むに非ざれども、唯いたずらに婦人の口をきんして能事のうじ終るとは思わず。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
蜀雲はきんの如し、と云へるはいとをかし。
雲のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「宜いではございません。純金きんでは大変でございます」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
二人ふたりは斯うじつとしてゐるうちに、五十年をのあたりにちゞめた程の精神のきん張を感じた。さうしてそのきん張と共に、二人ふたりが相並んで存在してると云ふ自覚を失はなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
右のごとく上士の気風は少しく退却たいきゃくあとあらわし、下士の力はようやく進歩の路に在り。一方にきんじょうずべきものあれば、他の一方においてこれをもくせざるもまた自然のいきおい、これを如何いかんともすべからず。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
金將きん一手ひとてあがぎましたよ。」
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「あんた、新らしい靴を穿いてるわね。まあ、なんて素晴らしい靴でせう! 金絲きん刺繍ぬひがしてあつてさ。あたしなんかには、誰あれもこんな素敵な靴なんて買つて呉れやしないわ。」
金色きんの 葉の おごそかに
秋の瞳 (新字旧仮名) / 八木重吉(著)
顔は丸顔で……もしもし……顔は丸顔で髪は真黒く、こてか何かで縮らした束髪に結って、大きな本真珠らしい金足きんのピンで止めてあったと云います。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
かたわらの小卓に、緑色青銅の壺に金飾きんの覆をかぶせたインドの香炉が置いてある。マタ・アリは、マッチをって手早く覆の小穴から投げ落す。白い煙りがあがった。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
手足しびれてすくみたるがごとく、ちょっとも動けず。強いて足をあぐれば、その重さ千きんをひくがごとく、手を動かせば、縛られたるに似たり。
おばけの正体 (新字新仮名) / 井上円了(著)
フランスのシャール七世、或時殺人罪を犯した一寵臣ちょうしんの死刑を特赦しようとして、掌璽大臣モールヴィーエー(Morvilliers)を召して、その勅赦状に王璽をきんせしめようとした。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
十六年、きんに至りたもう。十七年始めて仏書をたもう。十八年蛾眉がびに登り、十九年えつに入り、海南諸勝に遊び、十一月還りたもう。このとし阿魯台アルタイ反す。二十年永楽帝、阿魯台アルタイを親征す。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)