きん)” の例文
それから、清水できんをしぼって、そっと、側へすすめたり、むぎのさまし湯を上げたりしたが、長話のうち、一度も手にしなかった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
此書院に古画幅を掛たり。広一尺一二寸たけ三尺許装潢もふるし。一人物きんを頂ききうたり。舟に坐して柳下に釣る。欵なし。筆迹松花堂様の少く重きもの也。寺僧浦島子うらしまがこかたなりといふ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「私は絹物が嫌いでな。あいつを見ると詩を思い出す。唐の無名氏の蚕婦さんぷという詩をな。昨日城廓ニ到ル、帰来涙きんニ満ツ、遍身綺羅ノ者、これ養蚕ノ人ニアラズ。……私の好きなは木綿だよ」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
迷惑のともがら。目を覆うきんを去れ。2320
きん木槿むくげをはさむ琵琶打びわうち 荷兮
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)