きん)” の例文
その薄い膜を破って腸を胴の方へ押し付けると背中の骨の処人間ならば腰という処に色の白い玉子形たまごなりの米粒位なものが一つ見える。それが即ち鶏のきんだ。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
客の三人は珍物よと聞きて賞翫しょうがんしつつ小山夫婦しきりに感歎し「なるほどこれは無類だ。やわらかいこと綿のごとくでその中に何とも言われん味がある。しかし中川君、鶏にもきんがあるかね」主人「あるとも、動物だもの。ただそれが背中の内にあるから素人しろうとに分らん。かつ去勢術が豚や馬に比して困難なのもそれがためだ」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)