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蛾眉
春風珠簾を吹いて、
銀鉤を
蕩するの処、
蛾眉の宮人の
衣裙を洗ふを見る、
月事も
亦風流ならずや。(四月十六日)
やがてその中から
小肥りの
仏蘭西美人のような、
天平の娘子のようにおっとりして雄大な、丸い銅と
蛾眉を描いてやりたい眼と口とがぽっかりと現れて来る。
さて
眺望ば越後はさら也、
浅間の
烟をはじめ、信濃の連山みな
眼下に
波濤す。
千隈川は白き糸をひき、佐渡は青き
盆石をおく。能登の
洲崎は
蛾眉をなし、越前の遠山は
青黛をのこせり。