“蕩”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とろ52.2%
たら22.4%
とろか6.0%
3.0%
3.0%
とう3.0%
たう1.5%
とか1.5%
とら1.5%
とろけ1.5%
まど1.5%
まよ1.5%
トロ1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その神経をとろかすような甘い匂いが鼻を衝いて、何としても眠られず、枕許のスタンドを消したり点けたりして輾転反側していたが
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
だから、正しい意味では、彼は女たらしだとか色魔だとは呼べないのだが、不幸にも彼は、女に対してそれだけの魅力を持った男だ。
偽悪病患者 (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
頃しも六月の始め、金をとろかす炎暑にたちまち指を落すばかりの寒気起り、積雪尺に余りしを以て、人夫にわびを焼いて雪中の寒気を凌いだ。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
あんなのを、女郎蜘蛛じょろうぐもとでもいうのだろうの。らしこんじゃア押しかけて行って金にする。それも、ちっとやそっとの額じゃ、うんとは言わねえ。
顎十郎捕物帳:06 三人目 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
そのうちに、ものをかして水と化するこの器の力で、悟空の臀部でんぶのほうがそろそろ柔らかくなりはじめたが、それでも彼はただ妖怪に捕えられた師父しふの身の上ばかりを気遣きづかっていたらしい。
いわんや金蓮の怪たんなる、明器めいきを仮りて以て矯誣きょうぶし、世をまどわしたみい、条にたがい法を犯す。きつね綏綏すいすいとしてとうたることあり。うずら奔奔ほんぽんとして良なし、悪貫あくかんすでつ。罪名ゆるさず。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
春風しゆんぷう珠簾しゆれんを吹いて、銀鉤ぎんこうたうするの処、蛾眉がびの宮人の衣裙いくんを洗ふを見る、月事げつじまた風流ならずや。(四月十六日)
ゆふべの風にさきだちてすだれを越え来るものは、ひぐらしの声、寂々として心神をとかす、之を聴く時おのづから山あり、自から水あり。家にありて自から景致の裡にあり。
客居偶録 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
さるを富貴は前生さきのよのおこなひのかりし所、貧賤はしかりしむくいとのみ説きなすは、一〇一尼媽あまかかとらかす一〇二なま仏法ぞかし。
拜見はいけん致しますから何卒どうぞ夫までお寢なさらずにお待なすつて下さいといひつゝ一寸ちよつと男の顏横目よこめで見たはお光の方に深き意の有とも知ず音羽小町と言るゝ程の美人びじんにてらされ庄兵衞五たい宛然さながらとろける如くいつもピンシヤンる娘が今日に限つて自分のはうから夜がふけたらば忍んで行うと言のは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
往反ノ者ノ路ニしたがラザルハナシ矣、ノ俗天下ニ女色ヲてらヒ売ル者、老少提結シ、邑里ゆうり相望ミ、舟ヲ門前につなギ、客ヲ河中ニチ、わかキ者ハ脂粉謌咲かしょうシテ以テ人心ヲまどハシ
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
シェフネルの『西蔵説話チベタンテイルス』(一九〇六年版)には昔林中に牝獅と牝虎各子一疋伴れたるが棲んだ、ある日獅の不在にその子まようて虎に近づいたので虎一度はこれを殺そうとおもうたが
ところが、お恥しい事ですが、前夜来寝不足のせゐもありましたでせうが、気をつめて見て居たわたしが、唐船の場の肝腎要の二人の対話の頂上に来て、目のトロんで来るのに堪へられませんでした。
芝居に出た名残星月夜 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)