“蕩然”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とうぜん60.0%
とろり40.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
これによってお玉ヶ池の地は久しい間東都文雅の淵叢えんそうとなっていたが、度々の火災に二家の旧居も蕩然とうぜんとしてその跡なく「都門の文雅も遂に寥落りょうらくを致す。」
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
黄口少年、乳臭いまだ乾かず、わずかに数巻の西籍を読み、生呑活剥せいどんかっぱく儼然げんぜん学者をもっておるものあり、利をむさぼりてあくなきものあり。節義の風、廉恥の俗、蕩然とうぜん地をはらう。
ただ一雫ひとしずくの露となって、さかさに落ちて吸わりょうと、蕩然とろりとすると、痛い、いたい、痛い、疼いッ。肩のつけもとを棒切ぼうぎれで、砂越しに突挫つきくじいた。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ほんのりと珊瑚さんごの透くのが、三杯目の硝子盃に透いて、あの、唇だか、その珊瑚だか、花だか、蕾だか、蕩然とろりとなる。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)