“とうぜん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
陶然50.9%
東漸17.0%
当然15.1%
蕩然5.7%
當然3.8%
嗒然1.9%
当前1.9%
洞然1.9%
鬧然1.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
八郎は雪代の酌を受けて、うやうやしく頂いた——その癖酌を受けたのは今ばかりではない、もういい加減酔っている。実は私も陶然とうぜんとしていた。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私は画の方は心得がないから、なんとも申しかねるが、あれは仏国の現代の風潮が東漸とうぜんした結果ではないでしょうか。とにかく、画でも詩でも文でも構わない。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
したから、このくらいの天罰てんばつ当然とうぜんです。だが、死ぬまえにほんのわずかのあいだでも、善心ぜんしんにたちかえることができたのはぼくの一生のうちの幸福です
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
黄口少年、乳臭いまだ乾かず、わずかに数巻の西籍を読み、生呑活剥せいどんかっぱく儼然げんぜん学者をもっておるものあり、利をむさぼりてあくなきものあり。節義の風、廉恥の俗、蕩然とうぜん地をはらう。
かような状態じようたいにある土地とちおいて、從來じゆうらい温泉おんせん湧出量ゆうしゆつりようしたり、したがつて温度おんどのぼることあるは當然とうぜんである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
しかも巽斎はその詩文にさへ、みだりに才力をろうさうとしない。たとひ応酬の義理は欠いても、唯好句の嗒然とうぜんと懐に入る至楽を守つてゐる。
僻見 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
それは無論であるが、時と場所とで、おのずから制限されるのもまた当前とうぜんである。英国人のかいた山水さんすいに明るいものは一つもない。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ほこらの内は床板ゆかいたもなく洞然とうぜんとして、六尺ばかり掘り下げてある。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
イヤイー、イヤイーと呼ぶ牛方の声援が起こると、もう四周の崖の上は、雑然鬧然とうぜんとして興奮した。ウワーというどよめきが白髪神社を埋める杉の大樹の森を揺すった。
越後の闘牛 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)