“た”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:
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(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
こんどは京都羅生門毎晩が出るといううわさがちました。なんでもりかかるものをつかまえてはべるという評判でした。
羅生門 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
顔のい男は盛相の玄米いてあるぐたぐたの飯を分け、って熊笹の葉を二三枚って来てそれにのっけて僧の前にだした。
岩魚の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
幸いに咯血は五回で止みまして、その後の経過も順調に進み、凡そ一ヶ月半の静養で再びって働くことが出来るようになりました。
人工心臓 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
吉本が郊外のとある丘の上に永峯の家を訪ねていったのは、彼が工場を追い出されてから約一週間ばかりの日がってからであった。
街頭の偽映鏡 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
山中にて晝食古代そつくりの建場ながら、なるくばかり、斑鯛?の煮肴をたゝいてふにへたり。
熱海の春 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此方焚火どころでい。らしてむのに、いや、土龍のやうだの、井戸掘手間だの、種々批評からせられる。
「あれは、ただくからながめているものです。けっして、あのちてきたとてべてはなりません。」とえました。
赤い魚と子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すべての公開図書館で、管理者が頭を悩ますものは、図書の購入や、保存ばかりではない、そのに図書の消毒といふ一大事がある。
 明けくれば 国のかためを 身もあらに 瞑想ひこらしつ 天皇の ませと なべて 和ぐ日をや 民なべて らふ時を
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
われわれの生活は遠からず西洋のように、殊に亜米利加の都会のように変化するものたる事はが眼にも直ちに想像される事である。
銀座 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
筆なる者は罪もなく殊に孝心な者故助けいとて訴え出でたる幸十郎はと神妙の至りで有る、筆も申し付けべき処なれども
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
じいっと腹にめておろうとしても、「旦那はんが来ていたら……」などといわれたので、また、頭がかっとなるほど癪に障ったので
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
お父さまたちがっていらしたら、さっそく仕事にかかりましょうね。……(テーブルの上の書類を、いらだたしくり分けながら)
お勢の、壁虎の背のような怨み深げな顔……、成戸の、打算にけた白々とした眼も……苦々しく、打衝かり合うが、言葉は出ない。
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
までりにいていたが、えがちにったのは、雨戸からりに、おのずとえてしまったに相違ない。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
馬「でせえありゃア化物屋敷でもなんでもい、有難い、何かべられましょうか、腹が減って居るから何でもい早く喰いたい」
やはり、男はこんな場合、ふつりと思いきりがいい、捨次郎もしばらくは、い愛着を断ちかねていた様子だったが、やがて
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かたがたとしてはとさしえてから見守ってにとどめました。結局そうしたがあなたのめになったのです……。
恥しいお話なんですが、今日なんか私の来ます時、あなたいて置いて頂戴ねつて云つて来ましたお米はもう一合あまりなんですよ。
女が来て (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
いいや、なりませぬ! 断じてやることなりませぬ! って労役人夫入用ならば、当領内にはまだ百姓共が掃く程いる筈、そやつ等を
小六さん、座敷てて、洋燈けて頂戴せないだから」と依頼んだ。小六簡單
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
は、べつに、たたるものもないが、おばあさんがんだけれど、だれも、ててやるものがないということをげました。
おばあさんと黒ねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしたら彼所を塞ぐことにして今はだ何にも言わんで知らん顔を仕てる、お徳も決してお源さんに炭の話など仕ちゃなりませんぞ。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
されど吾人にしてもしこの社会より貧乏を根絶せんと要するならば、これら三個の条件にかんがみてその方策をつるのほかはない。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
「わたしはですから、やおをもらってもりますが、せっかくおっしゃることですから、りかえっこをしましょう。」
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
その夜更け。ここは東京の月島という埋立地の海岸に、太った男が、水のボトボトれる大きな潜水服を両手に抱えて立っていた。
地中魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかもその修養のうちには、自制とか克己とかいういわゆる漢学者から受けいで、いてめた痕迹がないと云う事を発見した。
長谷川君と余 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
こは實に今の批評家の弊をむる論なり。唯夫れ弊を撓むる論なり。かるが故に偏なるにはあらずやとおもはるゝふしなきにあらず。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
からひついて、何時までつてもらなかつたから、もいはないでをさがつた。ちにれるやうに快復したのである。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
而して咬まれる。悲鳴をあげる。二三疋の聯合軍に囲まれてべそをかいて歯をき出す。己れより小さな犬にすら尾をれて恐れ入る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
竹童は龍太郎の立ちぎわにそういったが、ひとりになるとまたさびしさにえぬもののごとく、ションボリと陣屋の空を見あげていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また仙太郎は金森様のお舟御用しますという、末お芽出度いお話でございます。これで粟田口のお話は読切に相成りました。
秋もけ、十月も半ばをすぎると、相模の山々の漆やぬるでに朱がし、月のない夜闇がひとしお色濃く感じられるようになった。
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
海辺に住むミサゴという一種のはつねに魚類を捕え食い、余ったものはこれを海岸の岩石の水たまりの中に漬けてめておく。
動物の私有財産 (新字新仮名) / 丘浅次郎(著)
信ぜぬて、し今日の詮索は先ず是だけで沢山だ、是から帰て僕の室へ来、何か一口べ給え、此後の詮索は明日又朝から掛るとしよう
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
母親は、そう言うたときに父親がっている窓口を見た。ふたりは微笑いあったが、どの微笑いも満足そうな色を漂わしていた。
後の日の童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
ぐりつけられるように。……金石街道でお優さんと死のうとした、並木の松に、形がそっくりに見えて忍耐がならないのです。——
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
第一種は普通の股引にして、に密接するもの、第二種はち付け袴の類にして、全体甚やかに、僅に足首の所に於てられたるもの。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
が、卵を女中頭に賣つて、その金をめるのもこれに劣らず好きだつた。彼女は、商賣氣があり貯蓄することが目立つて好きだつた。
結構らしい、ばかりひます、左樣いふふにつけて現在さまがで、うかして此中をのがれたい、此絆ちたい
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
だから、この屋根の下の暮しが、いつかぷつりとち切られる時のことは、それに脅かされながらも、どう想像していいのかわからなかった。
美しき死の岸に (新字新仮名) / 原民喜(著)
翁は今日も余等が寝て居る内に、山から引いた氷の様な水を浴び、香をいて神明に祈り、机の前に端座して老子を読んだのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
春の草はけ短く、地にがっしりと腰を据えたるが多く、花は紅を基調とする。夏草は中等に伸び上り、花は白が基調である。
窓もも閉めきったままで、病人の躰臭がこもっているため、必要以上に香をいているらしく、座敷いっぱいがむせるほど匂っていた。
「おうっ、おうっ。誰ぞそこらにおでたお人やある。助けてくだされよの。ここじゃあ、ここじゃがのう。——助けてもようっ」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自ら信ずるにもらず、幽寂に於て突然婦人に会えば、一種うべからざる陰惨の鬼気を感じて、えざるものあるは何ぞや。
黒壁 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ハイ、御覽り、ではきな建物です。しかしこのお村中人達めにあるのです。はこゝに御奉公してるのです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
と振袖を顔に当て、潜々と泣く様子は、美しくもあり又物凄くもなるから、新三郎は何も云わず、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。
それからあの貴重な小さい靴だが、神も照覧あれ! たとい自分の生命を救うためだと云っても、私はそれを無理に引っくるようなことはしないね。
れむべし過度の馳騖に疲れ果てたる馬は、力なげにれたる首をべて、てども走れども、足は重りて地を離れかねたりき。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
くわしく案内を致そうずるにて候、あわれ、一杯の般若湯と、五十文の鳥目とをたびてべ候え、なあむ十方到来の旦那様方……
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
此処からシデや令法(方言、牛の糞)やなどの茂った山の横をみながら少し行くと、雨樋をてたような潜り戸の狭間が待ち構えていた。
黒部川を遡る (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
冬の間にき捨てた石炭殻の堆のほかには、靴のふみ立て場もないほどにクロヴァーが茂って、花が咲きほこっていた。
フランセスの顔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
………何? 行つたとは限らん?………阿呆らしい! 人の家の台所借つて、の肉いたりして、リヽーのやなかつたら、何所へ持つて行きまんね。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
むかし、漢の高祖は、泗上の一亭長から、身を興し、四百年の帝業をてた。しかし、漢室の末、すでに天数尽き、天下は治まらない。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信吾の不意につて以來、富江は長い手紙を三四度東京に送つた。が、葉書一本の返事すらない。そして富江は不相變何時でもいでゐる。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
奥山は、つづきの小部屋で酔い倒れ、小栗は茶室で茶をてていたが、座敷の物音を聞きつけて来て見れば、長坂と喜太夫がすでに絶命している。
ひどい煙 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
モミヅは其頃行四段にも活用しをまた行に活用せしめた。「もみだひにけり」は時間的経過をも含ませている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
死ねるか、死に切れずに降参をするか、めして見ようと云ってり出された時、道也はまた飄然と九州を去った。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ぎらせてゐたつばめ太夫といふ、若くて綺麗なのが蜀紅錦の肩衣で、いきなり天井から落ちて來て、あつしに噛り付いたとしたらどんなものです
だ異なるは前者の口舌の謇渋なるに反して後者は座談に長じ云々と、看方に由れば多少鴎外をして私を揚げるような筆法をした。
鴎外博士の追憶 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
わずか一年つか過たない内に——花魁のところに来初めてからちょうど一年ぐらいになるだろうね——店はくなすし、家は他人の物になッてしまうし、はははは
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
その光は聖壇の蝋燭から来ているのであって、三稜形をした大燭台の前には乳香がかれ、そのと光とは、火箭のように林立している小円柱を沿上って行って
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
その間私は坐禅をやって居りますと勝手元の方で非常に女の泣声がする。どうも奇態だ、何か喧嘩でもして居るのかと思って耳をてて聞きますと喧嘩の様子ではない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
御意にございます、格別のお馴染で有難う存じます、酒をったかえ、禁ちました、そんなら屠蘇を飲め、殿様から拝領の松竹梅の大盞で飲め、己がいで遣ろう
生をけ、人間に出でゝ、心を労して荊棘る、或は故なきに敵となり、或は故なきに味方となり、恩怨つながら暴雨の前の蛛網に似て、らにだ毛髪の細き縁を結ぶ
哀詞序 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
太陽同じく照すといへど、一滴一沫よりして見れば、その光を仰ぎその温を被らざるあり。だ美妙の大光明は全景を覆ひ盡すのみと云ひぬ。
そうして、一端そう思い立つともう矢も楯もたまらなくなって、恰度その日から一週間目に出る便船で、出発つことに決めてしまったものです。
象牙の牌 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
時、すでに春けて建安二年の五月、柳塘の緑は嫋々と垂れ、淯水の流れはやかに、桃の花びらがいっぱい浮いていた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
菊「如何に旦那さまが然う仰しゃっても、お前がそれをに受けて、お茶の間でお酒を戴いては悪いよ、私は悪いことは云わないからお部屋でおべよ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と源氏が言ったので、不思議がって探り寄って来る時に、き込めた源氏の衣服の香が顔に吹き寄ってきた。中将は、これがだれであるかも、何であるかもわかった。
源氏物語:02 帚木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
急に現職業にかえったかれは、そこの売台と私の中間に正しくななめにちどまりながら、つんとモウニングの袖ぐちを引っぱって、売子の女に上官としての適度の威をしめして言った。
伊丹城の四方に蜿蜒と長い壕を掘る仕事だった。また壕に沿って、塀や柵を二重三重にらす工事だった。おびただしい人員が、炎日の下に、蟻のように働いた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
犬は首をあげ、耳をしゃんとてて、雑鬧の中を進んで行った。交通の頻繁い街を横ぎるときなどは、鎖をピンと張るようにして、機敏に主人を導くのであった。
幻想 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
この観燈と漢時代に一の神を祭るに火をねて祭ったと云う遺風から、そのは家ごとにを掲げたので、それをようとする人が雑沓した。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
遠く長崎の訳官についてその疑をたき、たまたま和蘭人に逢わばその実をせり。
慶応義塾の記 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「それに致しても、そのやさしい姿で、心のけだけしさは、われわれも三舎を避けるのう」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
山風とおろして、かの白き鳥またちおりつ。黒き盥のうちに乗りてづくろいして静まりぬ。
竜潭譚 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
癸未、皇后体不予したまふ。ち皇后のめに誓願ひて、初めて薬師寺をつ。りて一百の僧をせしめたまふ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
イロいウモがアかく
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
眞黒洋犬が一けてべつて、れたまゝをすらかさず、廣庭仲間はつてた。そして母屋入口軒陰からたりつたりしてる。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
人々は、鬼といえばいてい木で造ったような物体と考えると思うが、われわれと同じ肉体の感じを持った鬼を見た人はあるまい。
ばけものばなし (新字新仮名) / 岸田劉生(著)
お待合わせを約束の仲を出た、あの大時計が雪の塔、大吹雪の峠の下に、一人旅で消えそうにっていらっしゃるのが目さきに隠現くもんですから、一息に駆出すようにして来たんです。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
東京を発足ったのは十一月一日、少し霧のある朝で、西の空には月が懸っていた。
白峰の麓 (新字新仮名) / 大下藤次郎(著)
続いて足を払はれし馬十は、歯を剥き眼を怒らして床上に打ち倒ふれつ。振り上ぐるわが刀を見上げつゝ吠えけるやう。おのれ横道者。おぼえ居れ。奈美女は最初よりわが物なり。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
いつもならば叱られて素直に鎮まるのですが、きょうはお祭で気がっているのか、どっちもなか/\鎮まらない。
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
日頃の練磨はかかる時の用、めして見んと持ったる木刀を、一振り振って投げましたところ、流星のように燃え進む口火に、首尾よく落ちかかり火を消し申した
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
天つ辺は飛びつつ泣かゆまなしたに虹の輪円くち明るめり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ども机上編筆稿るの期約ひしゆゑ、近日て老人が稿本残冊し、其乞く。
幾先云ふ、只だ是れ君が記得熟す、故に五月を以てれりと為すも、実は然らず、だ六月と云ふも亦た豈に佳ならざらんや、と。(老学庵筆記、巻二)
私が再び日蔭の街の下宿へ戻ってから、二ヶ月余り経過った。倫敦には春がきた。穏かな街にラベンダア売りの古風な呼声が聞えていた。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
売るとなれば一寸の土も残らず渡して去らねばならぬので、最初から非常に憂惧し、ど仕事も手につかず、昨日ずねて来た時もオド/\した斯老人の容子は余のましめた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
ところがブッおれたと見ると直ぐに、兄イ舷側ずり出して頭から潮水のホースを引っかけて、尻ペタを大きなスコップでバチンバチンとブン殴るんだから
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
而して胸中一物のふところなく、だ一寺の建立を願欲せしむるに過ぎざりしもの、抑も奈何の故ある。
心機妙変を論ず (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
神産巣日御祖の命の富足る天の新巣凝烟八拳垂るまでき擧げ二六の下は、底つ石根に燒きして、𣑥繩の千尋繩うち二七、釣する海人が、口大の尾翼鱸二八さわさわにきよせげて
「おん、なにをいうとるなん? 土用に菜の花などあるかしらん」
肌色の月 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「じゃ木さばくこなしだじゃぃ。」かがうしろでんでいる。どういう意味かな。木にとりつくとってうしろのものをくというのだろうか。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
あかなる身のるさ、めども、あほれ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
と、一度めるやうにした。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「ついでに、ててきた。さあ、見当がついたからもうめたものだ」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みんな、をあげた。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
就中、老母は我が元来の虚弱にて学道に底なきを渡るを危ぶみて、涙を浮べて我が健全を祈るなど、都に多き知己にも増して我が上を思ふの真情、ありがたしともふとしとも言はん方なし。
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
淡路の海朝霧ふかし磯崎を漕ぎみくれば雁ぞ鳴くなる
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
数多い柱や廊の立ち続く姿が、目赫くばかり朱でみあげられた。むら/\と、靉くものは紺青の雲である。紫雲は一筋長くたなびいて、中央根本堂とも見える屋の前にきおろされた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
いざたせ早や東へ
新頌 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
皆中途で立消をしてしまうであろう※まただ外界と縁遠くなったのみならず、我内界ともくなったようで、我心ながら我心の心地はせず、始終何か本体の得知れぬ
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
の殿様がお里にってるのだからいけませんよ、そうすると、彼奴が此のの息子のをしましょう、草履取でさえ随分ツンケンした奴だから
トップ・ラインの女工たちが、蓋を揃えたり、数えたりしながら何か歌っている声が、どうかした機械の轟音のひけ間に聞えた。——天井の鉄梁が機械の力にえて、見えない程揺れた。
工場細胞 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
る 失ふところ多し
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
振りかかってくる火の粉の様な苦痛は、街と野にあふれた悲惨は、すべて皆、反抗の火をく燃料たるべきであった。だが、一家の悲惨はあまりに身近過ぎる様だった。
十姉妹 (新字新仮名) / 山本勝治(著)
をもらす私語に誘はれつつも
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
郎女が奈良の御館からとり寄せた高機てたからである。機織りに長けた女も一人や二人は、若人の中に居た。此女らが動かして見せるの扱ひ方を、姫はすぐに会得した。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
僕等が訊きたいのは、ったそれだけです。どんなに貴女を、犯人に決定したくなくも、つまるところは、結論が逆転しない限りやむを得ません。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ところが君は、伸子の頸椎に打撲したような形跡はないと云う。けれども乙骨君、ここにった一つ、失神した人間に反応運動を起させる手段がある。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
武庫小舟粟島背向つつともしき小舟 〔巻三・三五八〕 山部赤人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
いづくにか船泊すらむ安礼こぎきし棚無小舟 〔巻一・五八〕 高市黒人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「突然だ失礼ですが、あんたさんは英語の避妊法の本を中川さんの奥様にお貸しになったことありますか」とけったいなことンねます。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「好きにもいろいろの意味があるし、——学校でそんなあったりしたんやさかい——誤解受けたらためにならん思うよってンねてんねん」
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
竹「お薬の二番が出来たから、お前我慢して嫌でもおべ、かりして居ておくれでないと困るよ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此のは詰らんことを云う、達者な者がお薬をべて何うする、私は幾らるほどお薬を飲んでも効験がないからいけないよ、私はもう死ぬと諦らめましたから、お前其様に薬を
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
老船頭 (若い男と共に、今またでかけた手をやめて、辰三郎に注目する。「この人が、儀十等に探されているのではないか」と思い)
一本刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
砂地へ曳きあげた、かなり大きな船を——船尾だけしか見えない——老船頭とその子の若者とがでている。
一本刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
鼓瑟とだえ鏗爾としてきてち、対えて曰く、三子者に異なり。子曰く、何ぞまん、その志をいうなり。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
色斯きてがり、って後る。曰く、山梁雌雉かなかなと。子路えば三たびげてつ。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
これからは会得したその術を実地に当たって試すばかりだ、それには漫遊が一番よい。諸国修行に越すものはない。常陸を出立たせるのはそのためじゃよ
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「それでも常陸殿がお出立ちになったら私は寂しくなりますなあ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いや、御母さんにはつて御迷惑です。道が良くないから御母さんにはとても可けますまい。実際貴方にはつてお勧め申されない。御迷惑は知れてゐる。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それに、富山からはつての懇望で、無理に一人娘を貰ふと云ふ事であれば、息子夫婦は鴫沢の子同様に、富山も鴫沢も一家のつもりで、決して鴫沢家をにはまい。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
古典には、、というようないろいろな名前で書いてあって、疲労をいやし、精神をさわやかにし、意志を強くし、視力をととのえる効能があるために大いに重んぜられた。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
四五世紀のころには、揚子江流域住民の愛好飲料となった。このころに至って始めて、現代用いている「茶」という表意文字が造られたのである。これは明らかに、古い「」の字の俗字であろう。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
振分春草くらむをしぞおもふ 〔巻十一・二五四〇〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
振分髪というのは、髪を肩のあたり垂らして切るので、まだ髪を結ぶまでに至らない童女、また童男の髪の風を云う。「く」は加行下二段の動詞で、髪をねあげることである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
さよなかに友よぶ千鳥物念ふとわびるときに鳴きつゝもとな (巻四、相聞、大神女郎)
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
大川端の方に住む田辺の弘——岸本が恩人の息子さんも、岸本の東京に着いたことを知って訪ねて来た。三年経ってた一緒に成って見ると、弘ももう立派なお父さんだ。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ところがこの時は、折角のその安心感がか半日で打ち切られてしまった。盛岡へ着いてみたら、駅の周囲がすっかり焼けていて、まだ余燼が白く寒空にち昇っている風景にった。
I駅の一夜 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
許宣はしかたなしに李幕事の返事を待つことにして待っていたが、二日経っても三日経っても何の返事もなかった。そこで許宣は姐の所へ往って云った。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そうしてすぐ横わり、先ず煙燈へ火を点じ、それから煙千子を取り上げた。
鴉片を喫む美少年 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
このもの頭大に体大きな割合に脚甚だ痩せ短いから、迅く行く能わず。その蹄の縁極めて鋭く、中底に窪みあり、滑りやすき地を行き、嶮岨な山腹を登るにゆ。
欲破休糧秘密方 ちし秘密らんと
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ぞかへつてふことをなして、女子愛戀し、關帝る。言語道斷ぢやと。らしめ、これにりてめんとす。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
我にるものには我れち彼に問はん、百歳の老翁なりとも我に及ばざる者には我れ即ちを教へんと云つて、南泉といふ禅坊さんの所へ行つて二十年間まずに修業を継続したのだから
点頭録 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
くしてからはつてだん/\にから/\と消散した。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いちぶ一什は、のべつ隣の王婆が、裏の台所口へ来ては、ち聞きしている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ペナンから印度人の甲板旅客が殖えた。稼ぎめて帰る労働者だが、細君や娘は耳、鼻、首、腕、手足の指まで黄金づくめ宝石づくめの装飾で燦燦して居る。大した金目だ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
何やら、もの思わしげな清葉の容子を、もう一度めて
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
されちやころ/\ころび
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
ロミオ そりゃか?……おのれ、めしい運星めら!……宿ってゐような。とをれて、そして驛馬をもうてくれ。今宵のうちに出發たうわ。
東京出程から、諏訪に一豫定して、旅籠屋した町通りの菊屋であつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
鼻をもしい香りに、編笠をかかげて見返えりますと、僕の肩にかたげられたは、今ての園咲の白つつじが、白く涼しく匂っているのです。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
肉をつみごと山川のうつろひに
逸見猶吉詩集 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
理解されるべきものをめて理解するのではなくして、それをあるが儘に理解することである(その説明は後に与える)、処が受動的理解は更に、静観的にあるが儘に之を理解する立場にのみ止まり
空間概念の分析 (新字新仮名) / 戸坂潤(著)
彼には一ふりの名刀がある。時来らば、この名刀でもって政敵を刺さん、とかなりの自信さえ持って山に隠れていた。十年経って、世の中が変った。
パンドラの匣 (新字新仮名) / 太宰治(著)
深沈たる高山の常、大風がけって、瓦落瓦落いう、の皮屋根の重量の石が吹き上げられて、一万尺も飛ぶかとおもうのに、小舎の中は空気までが寝入っている。
奥常念岳の絶巓に立つ記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
みんな朗かにべさせて、一人残らずクルクル坊主にしてしまわなければならないのだわ
髪切虫 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
羅馬の貴人は我をす雨露に似て、實は我をする繩索なりき。むところはだ一の技藝にして、若し意を決して、これによりて身を立てんとせば、成就の望なきにしもあらず。
柏木界隈の女は佐久の岡の上に生活てて、荒い陽気を相手にするのですから、どうでも男を助けて一生しい労働なければなりません。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
蓋し彼が酒をしむに至りしは此時に始まれる也。後来梁川星巌をして其死を聞きて人伝麹蘖遂為災と歌はしめたる程の大酒家も三十九齢の当時までは酒量極めて浅かりし也。
頼襄を論ず (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
れて条々の煙をに吹き込むほどの雨の日である。衣桁けたの背広の暗く下がるしたに、黒い靴足袋三分一裏返しに丸く蹲踞っている。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ぎ更へんとて家にかへれば、ベルナルドオひ來て我を待てり。われ。いかなればには來たる。さきの婦人をばいづくにかおきし。友は指をてゝ我をすまねしていはく。け。
時刻にはあり、で来し人も多くは牧師館に赴きて、広き会堂電燈らに寂しき光を放つのみなるに、不思議やへなる洋琴調、美しき讃歌の声、固くせる玻璃窓をかすかにれて
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
であるから成程世間の多數の人が毎年々々嗟歎したり祝福したりして、新しい自己を造らうと思ひちながら、新しい自己を造り得ないで、又年々歳々同じ事を繰り返す譯である。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
それから大殿様の御云ひつけで描いた、女房たちの似絵なども、その絵に写されたゞけの人間は、三年とたない中に、皆魂の抜けたやうな病気になって、死んだと申すではございませんか。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
『類函』に虎能く人気を識る、いまだ百歩に至らざるに伏してゆれば声山谷に震う、須臾して奮い躍りて人をつ、人勇ある者動かざれば虎止って坐り逡巡耳をれて去ると。
彼女は外套を脱ぐとすぐ鏡の前に彳立って、美しい姿に自らを満足させようとした。鏡を見るや否や彼女はにわかに叫んだ。
頸飾り (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
養蚕をしている村への菜穂子や明をじえての雨後の散歩、村はずれでのしいほど期待に充ちた分かれ——、それだけの出会が
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
「しかし」と、それでも子路はなお逆襲する気力を失わない。南山の竹はめずして自ら直く、ってこれを用うれば犀革の厚きをも通すと聞いている。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
彼は、鼓を打つ役にあたって、「漁陽の三」を奏していたが、その音節の妙といい、撥律の変化といい、まったく名人の神響でも聞くようであったので、人々みな恍惚と聞きほれていた。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
有り合せの干鰯に、家のうちで酒をみ交していた一学と木村丈八は、そとの声に、を措いて聞き耳をてていたが
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黙って俯向いて線香を供えた。細い煙が、裏すいて乱るるばかり、墓の落葉はい。湿った青苔に蝋燭って、揺れもせず、燐寸でうつした灯がまっに白くった。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
折しも鴎の鳥のうち羽ぶきゆくあり、そが雪なす翅の巴絵を描くにみちびかれて、いまここより舞鶴城の残趾を回視むはえがたき好機会なるべし。
松浦あがた (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
此国を巡狩して山路に矛をてしに、其矛忽ち光を放ち、又其光飛んで止まった所に至ると老翁が現れて、吾是猿田彦命也、嚮導を為さんと欲するが故に此に来ったということになっている。
二、三の山名について (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
すべて感情動物で、しきには何事しくえ、しきには何事しくはるゝもので、不圖悽愴たる光景して物凄いとじてたら
すると、そのうちに、こうして藻掻いている私のすぐ背後で、誰だかわかりませんがかに、をしたような気はいが感ぜられました。
死後の恋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「庭に立つ」は、庭に植えたという意。「麻手」は麻のことで、巻十四(三四五四)に、「庭に麻布小ぶすま」の例がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
鮮やかな赤い唇が開くびに堅そうに細かい歯ならびがはっきりと現われる単純で居て魅力のある運動に半ば心を奪われて居て
お久美さんと其の周囲 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
しかるに論者は一方においては冗官すべし、不急の土木を廃すべし、地税を減ずべしと疚痛惨怛、かのが歴山の野にによってみ、旻天に号哭したるがごとく嘆訴すれども
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
成程狐格子つていた提灯何時までも蝋燭たずにはらぬ。……くと板椽し、げてぐつたりしてた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
お島は力ない手を、浴槽につかまったまま、っていく湯を、うっとり眺めていた。ごぼごぼと云う音を立てて、湯は流れおちていった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
……水が落ちて来る! 水がまる! 天井は高い! 窓も高い! 扉が開かない! 逃げることは出来ない! だがこうしてはいられない! まごまごしていると溺死する! どんなことを
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
眺望ことごとみて
哀音 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
竹を插んでと為す、其地の数の如し。五石瓮(かめ)をめ、泉をめて池と為し、千葉の白芙※(蓮)を植う。又た木の品(木の類)若干と草の品若干を雑へ植う。之を名づけて東籬と曰ふ。
小国寡民 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
母親が息子に担がれて帰るときは母親が酔いすぎて大概泣いている。き出したばかりの暖炉の前で加奈子が土の底冷えをしみじみ床を通して感じた独逸の思い出である。
豆腐買い (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
塵埃つによ。お前様方は美くしい手で恐しい掴取をしなさるね。今のあの男は二円八十銭の買物をして、五円渡してったじゃないか、そこでの買物が二円さ、しかえ。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこで孔生は泊ることにして少年とをともにして寝たが、朝になってまだうす暗いうちに僮子が来て炭火を室の中できだしたので、少年はさきに起きて内寝へ入ったが
嬌娜 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
しかし自分はまだ子供で飯がけんじゃったけにイツモ走り使いにいまわされたものじゃったが、その当時から婆さんの門下というと、福岡の町は皆ビクビクして恐ろしがっておった。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
信ジテ以テ悉ク己ノ心ニ得タリト為シダ一ニ書ヲ是レ信ジテ之ヲ心ニ考ヘザレバ則点一ニ帰スルナク貿貿乎トシテ霧中ニ在リ遂ニ植学ヲ修ムル所以ノ旨ニ反シテ其書ノ駆役スル所トナリ其身ヲ終テ後世ニ益スルナシ是レ書ヲ以テ我ノ家屋ト為スノ弊タルノミ如此クナラザル者ハ之ヲ心ニ考ヘ心ニ徴シテ書ニ参シ必シモ書ノ所説ヲ
この趣を心得て、もの優しい宿の主人も、めて挨拶に来たので、大勢送出す中を、学士の近江屋を発程ったのは、同じの、実は、八時頃であった。
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あっしは根岸の家の番地を人知れずしかめて、お由さんの後を追って行きました。
白蛇の死 (新字新仮名) / 海野十三(著)
(一たび杜陵に別れて帰ること未だ期なく、だ魂夢に憑りて親和に接す。近来睡らんとするも兼て睡り難く、夜々夜深けて子規を聞く。)
閑人詩話 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
そこで僕もおおいにんで彼の帰国を送った。彼は二年間の貯蓄の三分の二を平気でって、錦絵を買い、反物を買い、母やや、親戚の女子供を喜ばすべく、欣々然として新橋を立出った。
非凡なる凡人 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
御嶽冠者はいたが、静かに山吹へ眼を注ぎ、優しい口調でだし出した。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
には脚絆草鞋とを穿にはうてる。えず背後にがさ/\とつてがした。土手かられてへ/\とつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そのうちにけて、だんだんづいてまいりました。あるのこと、西南のすそが、雲切れがして、そこから、なつかしいだいだいが、していました。
春になる前夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それから二人はおよそ巴里中にある、ありとあらゆる宝玉屋の店頭行立った。失なした飾りに類似の品を求めて歩いた。身体は綿の如く疲れきって、胸はいうべからざる苦悶を以てみたされた。
頸飾り (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
今や民の産を制して、仰いでは以て父母に事うまつるに足らず、俯しては以て妻子を畜うに足らず、楽歳には終身苦しみ、凶年には死亡を免れず、これ死を救うてらざらんを恐る。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
「あいや、まだ遠くはちますまい。おいいつけ下さるなれば、私が一鞭あてて、羽柴どのを呼び返して参りますが」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
日影なおあぶずりのゆたうころ、川口の浅瀬を村の若者二人、はだか馬にりて静かにます、画めきたるを見ることもあり。
たき火 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
戸外にては途絶え、内を気勢なりしが
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ほんとに長い日がいつかつてしまつたものだ。
八歳の時の憤激 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
ねえこんだと思って居ると、又一日って神田旅籠町から出た火事は、申上げました通り故、角右衞門も馬喰町を焼け出され、五八は大きな包を脊負ってせっ/\と逃げ出しましたが
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
夜眼にもるくヌッと出る脛を、虻がかったかバンと打ち、を返すと顎を擦り、じーっと行手を隙かして見たが、ブッツリ切ったは刀の鯉口、故意と高い足音を立て
村井長庵記名の傘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ジョージせえ見付かれあ、あとは彼奴に用なんかねえんだからな。……あとには身よりよりのねえが一人残る。こいつをサヤマの贋手紙で大連あたりへ呼び出させる。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ったときゃ、そこらにゃ影もない。
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
つて生意氣くなと何時になくらいつて、れどころではいとてぐに、喧嘩かとべかけのぱんを懷中んで、相手れだ、龍華寺か、長吉
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其声は舜旻天号泣する声の如くいじらしく耳に響いた。霜の朝など八幡から眺めると、小川の上ばかり水蒸気がほうっと白くって、水の行衛が田圃はるかにさゝれる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)