閑人詩話かんじんしわ
佐藤春夫の車塵集を見ると、「杏花一孤村、流水数間屋、夕陽不見人、牯牛麦中宿」といふ五絶を、 杏咲くさびしき田舎 川添ひや家をちこち 入日さし人げもなくて 麦畑にねむる牛あり と訳してあるが、「家をちこち」はどうかと思ふ。原詩にいふ数間の屋は …