“殿”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
しんがり29.4%
との27.7%
どの9.8%
しんが9.8%
でん8.9%
どん3.8%
トノ3.0%
てん2.6%
みや2.1%
デン0.4%
あみおか0.4%
おとど0.4%
しっぱらい0.4%
シンガリ0.4%
トオン0.4%
ドノ0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しかしてそが最終の殿(しんがり)をなした者を誰かと問えば、それは実に幸田先生であろう。先生は震災の後まで向嶋の旧居を守っておられた。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
スッと、内から駕(かご)の塗戸(ぬりど)をあけて、半身乗り出すように姿を見せた人物を仰ぐと、青月代(あおさかやき)の凜(りん)とした殿(との)ぶり、二十(はたち)前後と思われます。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お螻(けら)殿(どの)を、佛(ほとけ)さん蟲(むし)、馬追蟲(うまおひむし)を、鳴聲(なきごゑ)でスイチヨと呼(よ)ぶ。鹽買蜻蛉(しほがひとんぼ)、味噌買蜻蛉(みそがひとんぼ)、考證(かうしよう)に及(およ)ばず、色合(いろあひ)を以(もつ)て子供衆(こどもしう)は御存(ごぞん)じならん。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そして一番しまいに殿(しんが)りだとでもいうように大きな熊が一疋、無恰好な形をしてのそのそ列を追って行った。それは可笑(おか)しかった。
宝永噴火 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
とつと立って殿(でん)の廻廊を早足に、颯々と袴さばきして接見の間へ向って行った忠房は、その時僅かにはれがましい眉を開いていた。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
音「上(かみ)の繁右衞門(しげえもん)殿(どん)の宅で二十三回忌の法事があるんで、己(おら)ア旦那様も往くんだが、何(ど)うか尼さんにもというので迎(むけ)えに参(めえ)ったのだ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
所謂、ひゝなの殿(トノ)なる謂はゞ箱のやうな物の中にある場合に於いてのみ、この鳥と関係のある名を称へて居たものと考へて居る。
鷹狩りと操り芝居と (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
わたしは黄金の木や、大理石の町や玉でかざったご殿(てん)がそこにもここにも建(た)っていても、ちっともおどろきはしなかったであろう。
しかしマタイの言葉によれば、「殿(みや)の幔上(まくうへ)より下まで裂けて二つになり、又地震(ふる)ひて岩裂け、墓ひらけて既に寝(い)ねたる聖徒の身多く甦(よみがへ)」
続西方の人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
また春(はる)殿(デン)に満つは間違であらう。ここの春(はる)殿(デン)は、論語に「暮春には春服既に成り云々」とある場合などと同じく、春は殿の形容詞である。
閑人詩話 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
かく白して其殿(あみおか)の内に還り入りますの間、いと久しうして待ちかねたまひつ、故れ左のみゝつらに刺させる湯津々間櫛(ゆづつまぐし)の男柱(おばしら)一箇(ひとつ)を取り闕(か)きて一火(ひとつひ)を燭し入りますの時、蛆(うじ)たかれとゝろぎて
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
長き歌を牡丹にあれの宵の殿(おとど)妻となる身の我れぬけ出でし
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
この大爺(おおじじい)が殿(しっぱらい)で。
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
竹中ハ総軍ヲ己レノ任トシ、強(アナガ)チニ小事ニ精(クハ)シカラズ、万(ヨロヅ)自然ニ任セタリ。彼、先駆(サキガケ)、殿(シンガリ)ニアルトキハ、軍中何トナク心ヲ安ンジタリ。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
巫女の家なる祝女殿内(ノロドノチ)、一族の本家なる根所(ネドコロ)の殿(トオン)、拝所になつてゐる殿(トオン)、祭場ともいふべき神あしゃげ、皆火の神のない処はない。
琉球の宗教 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
第一の精霊 サテサテマア、何と云うあったかな事だ、飛切りにアポロー殿(ドノ)が上機嫌だと見えるワ。日影がホラ、チラチラと笑って御ざる。
葦笛(一幕) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)