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殿
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でん
ふりがな文庫
“
殿
(
でん
)” の例文
とつと立って
殿
(
でん
)
の廻廊を早足に、颯々と袴さばきして接見の間へ向って行った忠房は、その時僅かにはれがましい眉を開いていた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
此大墓石の
傍
(
かたはら
)
に小い墓が二基ある。戒名の院の下には
殿
(
でん
)
の字を添へ、居士の上には大の字を添へた
厳
(
いかめ
)
しさが、粗末な小さい石に調和せぬので、異様に感ぜられる。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
さてその家にては家内をよく/\清め、わきて其日正
殿
(
でん
)
の
間
(
ま
)
ととなふる一
間
(
ま
)
は
塩垢離
(
しほこり
)
にきよめこゝを
神使
(
じんし
)
の
席
(
せき
)
とし、
綵筵
(
はなむしろ
)
を
布
(
しき
)
ならべ上座に
毛氈
(
まうせん
)
をしき、上段の
間
(
ま
)
に
表
(
かたど
)
り刀掛をおく。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
監察御史
(
かんさつぎょし
)
葉希賢
(
しょうきけん
)
、臣が名は
賢
(
けん
)
、
応賢
(
おうけん
)
たるべきこと
疑
(
うたがい
)
無しと
白
(
もう
)
す。
各
(
おのおの
)
髪を
剃
(
そ
)
り
衣
(
い
)
を
易
(
か
)
えて
牒
(
ちょう
)
を
披
(
ひら
)
く。
殿
(
でん
)
に在りしもの
凡
(
およ
)
そ五六十人、
痛哭
(
つうこく
)
して地に倒れ、
倶
(
とも
)
に
矢
(
ちか
)
って
随
(
したが
)
いまつらんともうす。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
明
(
あ
)
くれば治承四年、
淨海
(
じようかい
)
が
暴虐
(
ばうぎやく
)
は猶ほ
已
(
や
)
まず、
殿
(
でん
)
とは名のみ、
蜘手
(
くもで
)
結びこめぬばかりの
鳥羽殿
(
とばでん
)
には、
去年
(
こぞ
)
より法皇を
押籠
(
おしこ
)
め奉るさへあるに、
明君
(
めいくん
)
の聞え高き
主上
(
しゆじやう
)
をば、何の
恙
(
つゝが
)
もお
在
(
は
)
さぬに
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
▼ もっと見る
衣帯正しく端然として膝に手を
支
(
つ
)
いて
熟
(
じっ
)
ともの思いに沈んだが、
借
(
かり
)
ものの経机を
傍
(
そば
)
に引着けてある上から、そのむかしなにがし
殿
(
でん
)
の庭にあった梅の古木で刻んだという、
渠
(
かれ
)
が
愛玩
(
あいがん
)
の
香合
(
こうごう
)
を取って
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
蘇氏の策論に
殿
(
でん
)
せしものは即ち朱子の性理学也。
凡神的唯心的傾向に就て
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
この突発事で、とくに緊迫した混雑を呈したのは、三条錦小路の辺で、当然、それは
直義
(
ただよし
)
のいる一
殿
(
でん
)
から庭上にまでおよんでいた。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで今日、
殿
(
でん
)
ノ法印を、おなじ思いの千種忠顕の所へやったわけであったが、忠顕はこう分別を、お答えしていたのである。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その我慢のみえるお背を、渡りの彼方へ見送りながら、
殿
(
でん
)
ノ
法印
(
ほういん
)
もふたたびそれに追いすがる気力を土気色な顔に失っていた。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
つまり中宮ノ御方や女御など、あまたな寵姫の起居している所で、五節ノ舞には、舞姫のためにもここの一
殿
(
でん
)
が用いられる。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「こうしよう。その
態
(
てい
)
たらくではすべもあるまい。しかるべく、人馬を休め、のちほど、社家の一
殿
(
でん
)
でお目にかかろう、と」
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ま。……そう急がいでもよかろう」と、宮はふりむいて、さっきから広縁の端に侍坐していた
殿
(
でん
)
ノ法印良忠の顔を見た。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……七
殿
(
でん
)
の後宮のうちでも、召さるるはいつも、この身ばかり。わけて、関東へのお憤りに、公卿集議の日ごとのお疲れにも、わらわだけは、御心を
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
諸卿はみな知っているが、義貞は正直におあいてしていたので、ついに酔いつぶれてしまったらしく、やがてふと気づいたときは誰もみえない
朧夜
(
おぼろよ
)
の一
殿
(
でん
)
だった。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やはり、
甲館
(
こうかん
)
の
濠
(
ほり
)
のうちで、
躑躅
(
つつじ
)
ヶ
崎
(
さき
)
七
殿
(
でん
)
のうちの
桜雲台
(
おううんだい
)
千
畳
(
じょう
)
敷
(
じき
)
の
広間
(
ひろま
)
の東につづいて
建
(
た
)
ってある。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
直義は、広間から兄のいる一
殿
(
でん
)
へ渡って行った。——なにかよい話があるといわれたが、どんな話が自分を待つのか。——彼もいまは、いつものおちつきにもどっていた。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
身を
鎧
(
よろ
)
って来た張りあいもないほどである。——が、
仙洞
(
せんとう
)
へ来てみると、武者所の一門はひらかれ、一
殿
(
でん
)
の
遠侍
(
とおざむらい
)
の
間
(
ま
)
、また、
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
もる
寝殿
(
しんでん
)
の灯など、常ならぬ気配はどこやらにある。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今暁、諸所に
蜂起
(
ほうき
)
した宮方の残党なるものも、数では知れたものだった。そしてその元兇も、大塔ノ宮の腹心の者で、いまなお
叡山
(
えいざん
)
にいるという、
殿
(
でん
)
ノ
法印
(
ほういん
)
良忠なることがほぼ分った。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
桜雲台は
躑躅
(
つつじ
)
ヶ
崎
(
さき
)
七
殿
(
でん
)
の
中核
(
ちゅうかく
)
であって、源氏閣の
建物
(
たてもの
)
はその上にそびえている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがて皇太子も御元服となられたのを
機
(
しお
)
に、姫を入内させた。
立后
(
りっこう
)
はべつであるが、
尚侍
(
ないしのかみ
)
に
叙
(
じょ
)
せられ、お添い臥しはかなうのである。麗景
殿
(
でん
)
におかれたので「麗景殿ノ
女御
(
にょうご
)
」ともよばれた。
美しい日本の歴史
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、縄を解いて放してやれと仰っしゃったのは、たれでもない、和殿がその前夜、男山八幡の石段で、
殿
(
でん
)
ノ
法印
(
ほういん
)
の身うち岡本坊と共に、
暗殺
(
やみうち
)
しようと計って仕損じたわがおあるじ尊氏どのだ」
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「大塔ノ宮の
候人
(
こうじん
)
、
殿
(
でん
)
ノ
法印
(
ほういん
)
良忠どのがお越しでございますが」
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ヤア、ヤア、あれなる
神楽
(
かぐら
)
の
殿
(
でん
)
の下に足をやすめているわ」
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、かたわらにいる
殿
(
でん
)
ノ法院良忠をみて、ニコとされた。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここで所は北京府の公館、管領庁の一
殿
(
でん
)
に移る——。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
殿
(
でん
)
ノ
法印
(
ほういん
)
良忠をば、ついに捕えましたぞ」
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“殿”の解説
殿(との)は、貴人の代名詞である。転じて、殿(-どの)は、人名や職名などの後に付けて敬称とする接尾語である。
(出典:Wikipedia)
殿
常用漢字
中学
部首:⽎
13画
“殿”を含む語句
宮殿
御殿
殿上
貴殿
殿内
殿上人
大殿
主殿
舞殿
殿下
岩殿寺
神殿
泉殿
主殿頭
岩殿
大殿油
後殿
大殿堂
大臣殿
法住寺殿
...