殿どん)” の例文
音「かみ繁右衞門しげえもん殿どんの宅で二十三回忌の法事があるんで、おらア旦那様も往くんだが、うか尼さんにもというのでむけえにめえったのだ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おっとまかせろナは可いが、愛の野郎、三尺の尻ッこけで、ぬッと足を出して夜具戸棚を開けた工合、見習いの喜助殿どんというのでがす。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
葡萄酒の瓶がその後に倒れ、漬物の皿、破茶碗などが四邊あたり散亂ちらばつてゐる。『其麽に痛えがす? お由殿どん、寢だらがべす。』
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
かけコレサ音吉殿どん大分だいぶいそがしさうだが何所へ行のだと尋ぬれば音吉は振返ふりかへり今日は大旦那が關宿せきやどの庄右衞門樣の方へ米の代金を取に參られますゆゑ是からとも
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其の日長左衛門殿どんが山へ箱根竹はこねだけりに行って、日暮ひくれに下りて来ると、山の下で孩児の啼声なきごえがするから、魂消て行って見ると、沢の岸の
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これは八蔵殿どんさきへ廻って連出したのかと思った処が、のう八蔵殿。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
長左衞門殿どんとおさなさんが可愛かわえがって貰いイして漸々よう/\に育って、其の時名主様をしていた伊藤様へ願って、自分の子にしたがね、名前なめえが知んねいと云ったら、名主様が
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
忰「なに医者の処へ薬を取りに行って聞いたが、医者殿どんの病人はむずかしいと云っただ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
恐入ったいもうと、妹と云っては縁が切れてるから奧州屋新助殿どんのお内儀さんに対して大西徳藏かくの如くだ(両手を突き頭をさげる)矢張是も親のばちだ、親の罰だから誠に何うも困る
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
名主殿どんとこのお帳も消すようなことにしようが……そう云えばもっともらしくなったナ、肩巾がでかく成ってや、少し様子が死んだ父さまに似て居る、立って見ろや、少し坐って見ろ、一廻り廻れや
作「三藏殿どんがおめえに金を貸す縁があるかえ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)