“啼声”のいろいろな読み方と例文
旧字:啼聲
読み方割合
なきごえ81.1%
なきごゑ13.5%
なくこえ2.7%
なくこゑ2.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
しばらく、道の上に立って、遠くに響く波音を聞き取ろうとした……何の音も聞えて来ない。人も来なければ、犬の啼声なきごえもしないのである。
薔薇と巫女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
此頃このごろ空癖そらくせで空は低く鼠色ねずみいろくもり、あたりの樹木じゆもくからは虫噛むしばんだ青いまゝの木葉このはが絶え間なく落ちる。からすにはとり啼声なきごゑはと羽音はおとさはやかに力強くきこえる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
猫のつらで、犬の胴、狐の尻尾しりっぽで、おおきさはいたちの如く、啼声なくこえぬえに似たりとしてある。おっ可考かんがうべし
一寸怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雪吹ふゞき其日のくれやみ次日つぎのひ晴天せいてんなりければ近村きんそんの者四五人此所をとほりかゝりしに、かの死骸しがい雪吹ふゞきうづめられて見えざれども赤子あかご啼声なくこゑを雪の中にきゝければ