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啼声
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なきごゑ
此頃の
空癖で空は低く
鼠色に
曇り、あたりの
樹木からは
虫噛んだ青いまゝの
木葉が絶え間なく落ちる。
烏や
鶏の
啼声鳩の
羽音が
爽かに力強く
聞える。
行水や
蚊遣の火をたいてゐるのが見えたり、牛の
啼声が不意に垣根のなかに起つたりした。
ある
猟人が、
山へ
猟にゆきますと、
何処からか
鸚鵡の
啼声が
聞えます。
声はすれども
姿は
見えぬ、
猟人は
途方にくれて「おまへはどこにゐる」と
言ひますと「わたしはこ〻にゐる」と
答へた。
暫くすると
今其奴が
正面の
戸に
近いたなと
思つたのが、
羊の
啼声になる。
汽車にしてさてはきく、
轢かれゆく子らの
啼声。