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羽音
そこへ、
曇った
空に、
羽音をさせて、一
羽のからすが
飛んできたかと
思うと、ちょうど、すずめの
止まっている
上の
枝にきて
下りました。
鷹の
羽音でもあるやうに
唸つて
來た
音は、その
竹竿を
手にした
人が
口端を
尖らせてプウ/\
何か
吹く
眞似をして
見せた
聲でした。
庭の
橄欖や
月桂は、ひっそりと夕闇に聳えていた。ただその沈黙が
擾されるのは、寺の
鳩が軒へ帰るらしい、
中空の
羽音よりほかはなかった。