“なきごゑ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
泣聲27.3%
啼声22.7%
鳴聲18.2%
泣声13.6%
哭声4.5%
啼聲4.5%
悲鳴4.5%
鳴声4.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
さうしてなか豫期よきしてゐる赤兒あかご泣聲なきごゑきこえないと、かへつてなにかのへんでもおこつたらしくかんじて、いそいでうちんで、自分じぶん自分じぶん粗忽そこつづることがあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
行水ぎようずゐ蚊遣かやりの火をたいてゐるのが見えたり、牛の啼声なきごゑが不意に垣根のなかに起つたりした。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
わかはうが、今朝けさはじめてうぐひす鳴聲なきごゑいたとはなすと、ばうさんのはうが、わたしは二三日前にちまへにも一いたことがあるとこたへてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すでにして、松川がねやに到れば、こはそもいかに泣声なきごゑまさ此室このまうちよりす、予ははひるにもはひられず愕然がくぜんとしてふすまの外にわななきながら突立つツたてり。
妖怪年代記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
恐くは我が至誠のかがみは父が未然を宛然さながら映しいだしてあやまらざるにあらざるかと、事の目前まのあたりの真にあらざるを知りつつも、余りの浅ましさに我を忘れてつとほとばし哭声なきごゑは、咬緊くひしむる歯をさへ漏れて出づるを
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
戸をあけてうちへ入らうとすると、闇の中から、あはれな細い啼聲なきごゑを立てゝ、雨にビシヨ/\濡れた飼猫の三毛がしきり人可懷ひとなつかしさうにからまつて來る。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
小供等さへ高い声も立てない。時偶ときたま、胸に錐でも刺された様な赤児あかご悲鳴なきごゑでも聞えると、隣近所では妙に顔を顰める。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
東京の蝉とは全く違つた鳴声なきごゑの蝉が、夕立の降つてくるやうに市中しちゆう到る所の樹木に鳴いてゐた。
海洋の旅 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)