)” の例文
新字:
暫くつてから、當時の高等中學校に居た友人が來て、お前の書く文章は教科書中にあるエメルソンの文に似て居るぞと云つたので
神秘的半獣主義 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
それからわづらひついて、何時いつまでつてもなほらなかつたから、なにもいはないでうちをさがつた。たゞちにわすれるやうに快復くわいふくしたのである。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
が、かれ年月としつきつとともに、此事業このじげふ單調たんてうなのと、明瞭あきらかえきいのとをみとめるにしたがつて、段々だん/\きてた。かれおもふたのである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
時間のつのが非常に遲かつた。書齋のドアが開くまでに十五分はつた。イングラム孃はアアチをぬけて私共のゐる處へ歸つて來た。
私が勢のいゝ返事をすると、おふさは子供のやうな笑顏をしてりて行つたが、それから大分つても容易に門口かどぐちりんの音がせぬ。
金魚 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
同時に「自我じが」といふものが少しづゝ侵略しんりやくされてくやうに思はれた。これは最初のあひだで、少時しばらくつとまたべつに他の煩悶が起つた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
きよそれからすぐきた。三十ぷんほどつて御米およねきた。また三十ぷんほどつて宗助そうすけつひきた。平常いつも時分じぶん御米およねつて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
這麽こんな氣がし出してから、早いもので、二三日つと、モウ私は何を見ても何を聞いても、直ぐフフンと鼻先であしらふ樣な氣持になつた。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
勘次かんじたゞしなにのみこがれてたのであるが、段々だん/\日數ひかずつて不自由ふじいうかんずるとともみゝそばだてゝさういふはなしくやうにつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
が、しばらくすると中根なかねはなしにもきがた。そして、三十ぷんたないうちにまた兵士達へいしたち歩調ほてうみだれてた。ゐねむりがはじまつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
所がその後一月ばかりつて、愈々地獄變の屏風が出來上りますと良秀は早速それを御邸へ持つて出て、恭しく大殿樣の御覽に供へました。
地獄変 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
其壁そのかべして、桑樹くはのき老木らうぼくしげり、かべまがつたかどには幾百年いくひやくねんつか、うつとして日影ひかげさへぎつて樫樹かしのき盤居わだかまつてます。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
鹹水かんすい貝塚は元來ぐわんらい海邊かいへんに在るべきものなれど年月のつに從ひ土地隆起とちりうきの爲、海水退きて其位置比較的ひかくてき内地に移る事有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
今少してば、おれの中の人間の心は、獸としての習慣の中にすつかりうもれて消えて了ふだらう。恰度、古い宮殿の礎が次第に土砂に埋沒するやうに。
山月記 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
三年ち、五年と暮れる中には、太鼓樓から雨が漏つて、ギラ/\光る白い紙で貼つた天井には墨繪の山水か、化物の影法師のやうな汚點しみにじみ出す。
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
彼女かれは初めはどうしても誰の子であると言はなかつたさうだが、幾月もつてからとうとう打明けて了つたといふ。
古い村 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
少しつて、母親が、あまり遠くへ行かないようにと思つて出て行つて見ると、もう姿が見えなかつたのである。
水車のある教会 (旧字旧仮名) / オー・ヘンリー(著)
船底に張りつくやうになつて居た女を救ひ上げたときは、宜い加減時がつたので、可哀想にお小夜は綺麗な人形のやうになつて、死んでゐたといふのです
つぎに名高なだかうた書物しよもつは、萬葉集まんにようしゆう書物しよもつになつてのち百年ひやくねん以上いじようつてからた、古今集こきんしゆうといふ歌集かしゆうであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
百人前ひやくにんまへ仕事しごとをしたからとつて褒美はうびひとつもやうではし、あさからばんまで一寸法師いつすんぼしはれつゞけで、それだからとつて一生いつしやうつてもこの身長せいびやうかい
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ねんち二ねんうちには日本にほん經濟界けいざいかい基礎きそ安固あんこのものになるとふことを確信かくしんしてうたがはぬのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
時間じかんさへてばいわ!』あいちやんは何時いつ自分じぶん忠告ちゆうこくをし、(それにしたがふことは滅多めつたにないが)ときにはなみだほどれとめることもありました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
彼女かのぢよたのしんであとのこつた。さうして新生涯しんしやうがいゆめみながらかれからのたよりをくらした。一にち、一にちつてく。けれどもそののちかれからはなん端書はがきぽん音信おとづれもなかつた。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
カピ叔 いや、もそっとつ、もそっと。れのせがれがもそっととしってをる。もう三十ぢゃ。
田の水に茅萱うつりゐしづかなりこのすがしさの眞晝ちたる
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
墓原はかはらたのは十二時過じすぎ、それから、あゝして、あゝして、と此處こゝまであひだのことをこゝろ繰返くりかへして、大分だいぶん時間じかんつたから。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
三年ばかりツた。叔父の家では、六丁目の或る寺内の下宿屋をそツくり其のまヽ讓受けて馴れぬ客商賣を始めることになツた。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
そのくびからうへが、嚴肅げんしゆく緊張きんちやう極度きよくどやすんじて、何時いつまでつてもかはおそれいうせざるごとくにひとした。さうしてあたまには一ぽんもなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
何故なぜこんなに苦しめられねばならないか? その後何年つたか、わざと云はない——今になつて、私は、そのわけが、はつきり判つて來た。
(註、狐森一番戸は乃ち盛岡監獄署なり。)此時年齡が既に六十餘の老體であつたので、半年許りつて遂々獄裡で病死した。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
さきやつてくろえ」卯平うへいはさういつてしばらつてから蒲團ふとん井戸端ゐどばたつた。卯平うへい幾年目いくねんめかでつめたいみづかほあらつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
屹度きつと返却かへします、屹度きつと。』などとちかひながら、またばうるなりつた。が、大約おほよそ時間じかんつてからかへつてた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
何分なんぷんつた。突然とつぜん一人ひとり兵士へいしわたしからだひだりからたふれかかつた。わたしははつとしてひらいた。その瞬間しゆんかんわたしひだりほほなにかにやとほどげられた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
柳屋の中は、すつかり鎭まつた樣子ですが、娘は何に脅えたか、八五郎から誘つても、容易にくちを開かうとはせず、その間に、不安な時がつて行きます。
雲飛は所謂いはゆ掌中しやうちゆうたまうばはれ殆どなうとまでした、諸所しよ/\に人をしてさがさしたが踪跡ゆきがたまるしれない、其中二三年ち或日途中とちゆうでふと盆石ぼんせきを賣て居る者に出遇であつた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
アグレイアの四度目の誕生日が過ぎて、一週間ばかりつた或る日のこと、彼女が突然見えなくなつた。彼女は家の前の道傍で、草花をんでゐたのだが、それから分らない。
水車のある教会 (旧字旧仮名) / オー・ヘンリー(著)
井戸ゐどふかかつたのか、それとも自分じぶんちるのがきはめてのろかつた所爲せゐか、つてからまはりを見廻みまはし、此先このさきうなるだらうかとうたがしたまでには隨分ずゐぶんながあひだちました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
しばらつてのちよく/\ると、それはほんとに、れたのでなかつたといふことを、説明せつめいでいつてゐるのでなく、氣持きもちからひとこゝろれてつてゐるのであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
子供こどもくせにませたやうでをかしい、おまへつぽど剽輕ひやうきんものだね、とて美登利みどり正太しようたほうをつゝいて、其眞面目そのまじめがほはとわらひこけるに、おいらだつても最少もすこてば大人おとなになるのだ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
が、お鳥も段々薄氣味が惡くなつたと見え、日のつに從つて、義雄の話を忘れるどころかありありと思ひ出すやうになつたかして、つひにはまた引ツ越しをしようと云ひ出した。
三十分程もつたらうか。突然、冷たい感觸が私を目醒めさせる。風が出たのか? 起上つて窓から外を見ると、近くのパンの木の葉といふ葉が殘らず白い裏を見せて翻つてゐる。
濱口内閣はまぐちないかく出來できまへの六ぐわつ三十にち日本内地にほんないち輸入超過ゆにふてうくわは二おく八千萬圓まんゑんであつたが、七ぐわつ濱口内閣はまぐちないかく組織そしきされてから以來いらい段々だん/\ときつにしたがつて輸入超過ゆにふてうくわ大勢たいせい改善かいぜんされて
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
足下こなた予程わしほどとしわかうて、あのヂュリエットが戀人こひびとで、婚禮こんれいしきげてたんだときたぬうちにチッバルトをばころして、わしのやうにこがれ、わしのやうにあさましう追放つゐはうされたうへでなら
晝餉ひるげ過ぎいくらたぬを木群こむらには早やしろじろとかかる夕霧
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
二三日にさんにちつて、とんさんにはなしをした。ちやう其日そのひおな白樺しらかば社中しやちうで、御存ごぞんじの名歌集めいかしふ紅玉こうぎよく』の著者ちよしや木下利玄きのしたりげんさんが連立つれだつてえてた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
四五分間つて彼は寧ろ變てこな調子でいた——「實は忘れてしまつたんだが、あなたがあなたの部屋のドアを開けたときには何かゐたの?」
わづかもちはさういふことでいくらもらないのに時間じかんつて、寒冷かんれい空氣くうきため陸稻をかぼ特色とくしよくあらはして切口きりくちからたちまちに罅割ひゞわれになつてかた乾燥かんそうした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それからまたねんばかりつたら、叔父をぢ安之助やすのすけ大學だいがく卒業そつげふして、小六ころく高等學校かうとうがくかうの二年生ねんせいになつた。叔母をば安之助やすのすけ一所いつしよなか六番町なかろくばんちやううつつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一年程つてから、白井樣の番頭を勤めてゐた人の息子で、薄野呂なところからノロ勘と綽名あだなされた、十六の勘之助といふのが、源助さんに弟子入をした。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「私も、何時までつても浮ぶ瀬のない貧乏暮しに、すつかりイヤ氣がさして居ました。夏になつても冬になつても、着物一枚買ふことの出來ないやうな——」