“緊張”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
きんちょう39.7%
きんちやう31.0%
ひきし13.8%
はり5.2%
きんちよう1.7%
きんぢやう1.7%
しまり1.7%
はりき1.7%
シュパヌング1.7%
ストレイン1.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
わたしは、まるでゆめの中にでもいるように身を運びながら、何やら馬鹿々々ばかばかしいほど緊張きんちょうした幸福感を、骨のずいまで感じるのだった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
江戸の名物男——捕物の名人錢形平次と、その子分の八五郎は、どんな緊張きんちやうした場面にも、こんな調子で話を運んで行くのでした。
「あぶない!」と彼はその突嗟とっさ、自分の心を緊張ひきしめた。「考えてはいけない考えてはいけない。無念無想、一念透徹、やっつけるより仕方がない」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
もし、怪しむ者あって、「汝は何処いずこへ?」と聞いたら、彼は言下に、「鐘巻自斎に一剣を見舞う為」と明答したであろう。——それ程、緊張はりつめた気持であった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれども自然にる世間ばなしといふよりも、寧ろある問題を回避するため世間話せけんばなしだから、両方共に緊張きんちようはらそこかんじてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
主人公の心の苦悶くもんに對する作者の感情輸入アインヒウルングふかさは、張り切つたゆづるのやうに緊張きんぢやうした表現へうげんと相俟つて、作の缺點けつてんかんじる前に、それに對して感嘆かんたんしてしまひます。
三作家に就ての感想 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
潤沢うるおい緊張しまりもないお銀の顔色は、冬になると、少しずつ、見直して来たが、お産をするごとに失われて行く、肉の軟かみと血の美しさは恢復とりかえせそうもなかった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
こんな苦しい、緊張はりきつた、いらだたしい生活が、幾日も幾日もつづいたとき、男は唸くやうになつて、女の膝に身をなげかけた。
瘢痕 (新字旧仮名) / 平出修(著)
その二つの判断構造は一つの力の緊張シュパヌングとして相干渉して他の類型の判断構造となる。
スポーツの美的要素 (新字新仮名) / 中井正一(著)
が、三人でいる妙な心の緊張ストレインには、啓吉も久野も飽いていた。
祝盃 (新字新仮名) / 菊池寛(著)