緊張はり)” の例文
もし、怪しむ者あって、「汝は何処いずこへ?」と聞いたら、彼は言下に、「鐘巻自斎に一剣を見舞う為」と明答したであろう。——それ程、緊張はりつめた気持であった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お葉はいまあまりに緊張はりきつた一脚の足の肉にふれて驚ろいたのである。足は常に精一ぱいの力に張りきつて、そこに少しのゆるみもなく延びてゐるのだつた。この脚が私の全身を支へるのだ。
三十三の死 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
「どういう決心で」重圧を加えるような低声でこう問うと、つるのごとく緊張はりつめていた綽空は言下に
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)