緊張きんちやう)” の例文
江戸の名物男——捕物の名人錢形平次と、その子分の八五郎は、どんな緊張きんちやうした場面にも、こんな調子で話を運んで行くのでした。
そのくびからうへが、嚴肅げんしゆく緊張きんちやう極度きよくどやすんじて、何時いつまでつてもかはおそれいうせざるごとくにひとした。さうしてあたまには一ぽんもなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
勿論もちろん金解禁後きんかいきんご政府せいふ財政計劃ざいせいけいくわくふたゝ放漫はうまんなが國民こくみん緊張きんちやう弛緩ちかん消費節約せうひせつやくゆる輸入超過ゆにふてうくわ増加ぞうかするにいたればめにきん流出りうしゆつ餘儀よぎなくせられ通貨收縮つうくわしうしゆくきたすことあるべきも
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
屋敷の中に、何となく不思議な緊張きんちやうのあるのは、四五日のうちに、主君左近太夫が、所領の島原へ歸る爲ばかりとは受取れなかつたのです。
自分じぶん責任せきにんすこしでもくははつたため、こゝろ緊張きんちやうしたものとえて、かへつて平生へいぜいよりは、甲斐々々かひ/″\しくをつと小六ころく世話せわをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
同僚どうれうつよ緊張きんちやうした宗助そうすけかほすこぶおどろいた樣子やうすであつたが、いやらない、たゞなぐさ半分はんぶんにあんな書物しよもつだけだと、すぐげて仕舞しまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
手代の喜三郎は容易ならぬことを打ち明けようとして居るらしく、緊張きんちやうし切つて、ワナワナふるへてさへ居るのです。
が、その調べが進行するにつれて、平次の樣子は緊張きんちやうがひどくなり、恐ろしく念入りになつて行くのです。
平次はすつかり緊張きんちやうして、檢屍の役人が來る迄の、たつた四半刻ばかりを、恐ろしく能率的に使ひました。
平次と八五郎の掛け合ひは、場面が緊張きんちやうすればするほど、う言つた具合でした。
綺麗なの、醜いの、平氣なの、緊張きんちやうしたの、なかなかに面白い取り合せです。
平次もその先をうながしました。八五郎の話はなか/\に緊張きんちやうして來たのです。
八五郎はさすがにこの舊知の女の死骸を見ると緊張きんちやうしました。
平次はその緊張きんちやうした顏を見廻して、靜かに語り出しました。
恐ろしい緊張きんちやうです。誰やらの齒が、カタカタと鳴りました。
お芳の顏はさすがに緊張きんちやうに蒼くなります。
錢形平次の聲は急に緊張きんちやうしました。
調子がひどく緊張きんちやうして居ります。
平次の答へは緊張きんちやうして居ります。
凄まじい緊張きんちやうです。