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緊張
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きんちょう
ふりがな文庫
“
緊張
(
きんちょう
)” の例文
わたしは、まるで
夢
(
ゆめ
)
の中にでもいるように身を運びながら、何やら
馬鹿々々
(
ばかばか
)
しいほど
緊張
(
きんちょう
)
した幸福感を、骨の
髄
(
ずい
)
まで感じるのだった。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
おそらくかれには確信という
意識
(
いしき
)
はないにちがいない。確信も意識もないにしても、かれの
実行動
(
じつこうどう
)
は
緊張
(
きんちょう
)
した精神をもって
毅然直行
(
きぜんちょっこう
)
している。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「殺されてもかまわん」と
生蕃
(
せいばん
)
は決心した。かれの赤銅色の顔の
皮膚
(
ひふ
)
は
緊張
(
きんちょう
)
してその厚いくちびるは
朱
(
しゅ
)
のごとく赤くなった。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
とりわけ次郎にとっては、それがかれの最も
緊張
(
きんちょう
)
していた
瞬間
(
しゅんかん
)
のできごとであったために、そのおかしみが倍加されていた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
あれッと、僕が
緊張
(
きんちょう
)
する
折
(
おり
)
ふし、水槽の横手の方から、ぎりぎりと
硝子
(
ガラス
)
の板が出て来て、僕の頭の上を通りすぎていった。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
私はいつも講演のあとで覚える、もっと話し続けたいような、また一役済ましてほっとしたような——
緊張
(
きんちょう
)
の
脱
(
ぬ
)
け切らぬ気持で人々に混って行った。
みちのく
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
足軽たちに話しかけても、だれもウンとも
返辞
(
へんじ
)
をするものがなかった。かれらの
眼色
(
めいろ
)
はまだ夜の明けぬまえの
異常
(
いじょう
)
な
緊張
(
きんちょう
)
をもちつづけているらしい。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いや、その時の彼女のそぶりに少しでも変化があったとすれば、それは浅黒い顔のどこかにほとんど目にも止らぬくらい、
緊張
(
きんちょう
)
した色が動いただけだった。
春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
はっと
緊張
(
きんちょう
)
し、「よう来てくれはりました」初対面の挨拶代りにそう言った。連れて来た女の子は柳吉の娘だった。ことし四月から女学校に上っていて、セーラー服を着ていた。
夫婦善哉
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
そしていっぱいに
気兼
(
きが
)
ねや
恥
(
はじ
)
で
緊張
(
きんちょう
)
した
老人
(
ろうじん
)
が
悲
(
かな
)
しくこくりと
息
(
いき
)
を
呑
(
の
)
む音がまたした。
泉ある家
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それを気が付かずにいると必ず
機嫌
(
きげん
)
が悪いので佐助は絶えず春琴の顔つきや動作を見落さぬように
緊張
(
きんちょう
)
していなければならずあたかも注意深さの程度を試されているように感じた。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
二学期の試験が近くなったので、花岡伯爵家の学習室は
緊張
(
きんちょう
)
している。しかし若様がたよりも家庭教師たち、家庭教師たちよりも安斉先生が一生懸命だ。若様がたが
内証
(
ないしょ
)
話をすると
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
口は、異性間の通路としての現実性を具備していることと、運動について大なる可能性をもっていることとに基づいて、「いき」の表現たる
弛緩
(
しかん
)
と
緊張
(
きんちょう
)
とを極めて明瞭な形で示し得るものである。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
この
殺気
(
さっき
)
の場面に、恋の一こと——それは、降り積む雪に熱湯を注いだも同然で、一瞬、ほのぼのとした煙を上げて、この場の
緊張
(
きんちょう
)
をやわらげ、冷気に一抹のあたたかみを与える効果はあったが
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ワーシカは、一種の
緊張
(
きんちょう
)
から、胸がドキドキした。
国境
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
出産期が近づくにつれて私は次第に
緊張
(
きんちょう
)
してきた。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
どこも、
非常時
(
ひじょうじ
)
で、
緊張
(
きんちょう
)
しているぞ。
赤土へくる子供たち
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
先生のほうはべつに変わった顔もしていなかったが、夫人はさすがに
緊張
(
きんちょう
)
していた。先生はしばらくして小関氏に言った。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
そのあいだにも花前はすこしでも、わが
行為
(
こうい
)
の
緊張
(
きんちょう
)
をゆるめない。やがて主人は
奥
(
おく
)
に
客
(
きゃく
)
があるというので
牛舎
(
ぎゅうしゃ
)
をでた。
箸
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
そしてやがて営門のうちへ入って行った戸板の上の人と信長との今朝の会見を想像して、異様な
緊張
(
きんちょう
)
を加えていた。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
フハンのほえ声はだんだん近くになる、ボートと平行してくだってくるのだ、一同は
緊張
(
きんちょう
)
した。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
「でも、何が起っているんです」と、わたしは素早く相手を受けて、すっかり
緊張
(
きんちょう
)
した。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
みんな
緊張
(
きんちょう
)
の
絶頂
(
ぜっちょう
)
にあったのだ。誰もみな——治明博士だけは例外として——聖者レザールが
厳粛
(
げんしゅく
)
な心霊実験を始めたのだと思っていたのだ。このとき、舞台裏で、例の奇妙な楽器が鳴りだした。
霊魂第十号の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
だから僕たちそのときは本当に
緊張
(
きんちょう
)
するよ。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
次郎の気持ちは、しかし、はじめからおわりまで、
緊張
(
きんちょう
)
そのものだった。かれの眼はたえず田沼先生のほうに注がれ、その一挙一動をも見のがさなかった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
と思うと、すでに二
番
(
ばん
)
試合
(
じあい
)
の
合図
(
あいず
)
が、
息
(
いき
)
もつかずとうとうと鳴りわたって、
清新
(
せいしん
)
な
緊張
(
きんちょう
)
と、まえにもまさる
厳粛
(
げんしゅく
)
な空気を、そこにシーンとすみかえらせてきた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
したみの板や柱にさまざまな落書きがしてあるのを一々見て行く内に、自分の感覚は非常に
緊張
(
きんちょう
)
して細いのも墨の色のうすいのも一つも見のがすまいと、
鋭敏
(
えいびん
)
に細心に見あるいた。
落穂
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
富士男は婦人に近づいて口をひらき、
数滴
(
すうてき
)
のブランデーをそそいだ。一同は
緊張
(
きんちょう
)
してじっとみつめた。ムクムクとからだが動いた、と目をひらいてぼうぜんと四人の顔を見まわした。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
博士が、見えない目を大きくひらいて、
緊張
(
きんちょう
)
する。
超人間X号
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
したがってここの空気は、
賤
(
しず
)
ヶ
岳
(
たけ
)
、
柳
(
やな
)
ヶ
瀬
(
せ
)
の
合戦
(
かっせん
)
の
緊張
(
きんちょう
)
ぶりとすこしもかわっていないのである。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
富士男の
消息
(
しょうそく
)
を、おそしと待ちかねていた一同は、
極度
(
きょくど
)
に
緊張
(
きんちょう
)
した。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
その家臣からの報告によると、安土の今はそれどころでない
緊張
(
きんちょう
)
につつまれていて、小箱は信盛の手からお城へ達しられたが、果たして信長は、ろくにそれを見もしなかったらしいとの復命であった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“緊張”の意味
《名詞》
心身が引き締まること。
心が張りつめて思うように行動できなくなること。あがること。
両者の関係が悪化し、争いが起こりそうなこと。
筋肉が収縮状態を持続していること。
(出典:Wiktionary)
“緊張”の解説
緊張(きんちょう)とは、体や心が張り詰めた状態にあること。
(出典:Wikipedia)
緊
常用漢字
中学
部首:⽷
15画
張
常用漢字
小5
部首:⼸
11画
“緊張”で始まる語句
緊張感
緊張裡