夕刻のことだった。 「内藤さん、速達!」 と呼ぶ声が玄関からきこえた。郵便物と新聞は正三君がとりつぐ役だ。 「お父さん、速達ですよ」 「ふうむ。何ご用だろう?」 とお父さんはいずまいを直して、大きな状袋の封をていねいに鋏で切った。伯爵家から …
著者 | 佐々木邦 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 「少年倶楽部」1927(昭和2)年10月号~1929(昭和4)年12月号 |
文字種別 | 新字新仮名 |
読書目安時間 | 約5時間33分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約9時間15分(300文字/分) |