“怖”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
おそ33.0%
こわ30.4%
こは9.8%
8.4%
おそろ5.4%
2.5%
おっ1.7%
おび1.2%
おっか1.0%
おそれ0.9%
(他:47)5.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
“怖”を含む作品のジャンル比率
芸術・美術 > 演劇 > 大衆演芸61.3%
文学 > 日本文学 > 小説 物語13.8%
文学 > 日本文学 > 小説 物語(児童)13.7%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
艇内は、その前後に蓄電の量が尽きてしまい、吾々が何より心理的におそれていた、あのおそろしい暗黒が始まったのです。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「どうもおそろしい人だね」と追いついた孤堂先生が云う。怖ろしいとは、本当に怖ろしい意味でかつ普通に怖ろしい意味である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「お父さんは本当に病気をこわがってるんですよ。お母さんのおっしゃるように、十年も二十年も生きる気じゃなさそうですぜ」
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
馬がこわがるからだと云って、手拭てぬぐい眼隠めかくしをして、支那の小僧が両手でくつわをしっかり抑えている。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「危ねえ」と云ふ時どもるやうになつて、兄は何か見えない恐ろしいものでも見つめるやうにこはい眼をして室の内を見廻した。
お末の死 (新字旧仮名) / 有島武郎(著)
それは生国魂いくたま神社の境内の、さんがんでゐるといはれてこはくて近寄れなかつたくすの老木であつたり
木の都 (新字旧仮名) / 織田作之助(著)
劣らずに口では小侍たち、猛りつづけてはいたが、十五郎の思わざる豹変ひょうへんにいささかじ気づいたらしい容子でした。
村落むら人々ひとびと好奇心かうきしんられてづ/\も棺臺くわんだいをそつとげてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
すごいように荒れた邸に小人数で暮らしているのであったから、小さい人などはおそろしい気がすることであろうと思われた。
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
おゝ、それが切實ひし/\おもさるゝ、おそろしい罪惡ざいあく罪人ざいにんわすれぬやうに。
お母さんはそのそばにじっとすわっていた。八っちゃんは時々わい夢でも見ると見えて、急に泣き出したりした。
碁石を呑んだ八っちゃん (新字新仮名) / 有島武郎(著)
だ座には着くに至らざりしの少女は、突如たる滊車きしやの動揺に「オヽ、ワ」と言ひつゝ老紳士のひざに倒れぬ、
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「ちがうよ——」柏原は動かされるままになりながら、一言否定するのであった。「あたいはしんさいがおっかなかったんだよ」
白い壁 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
五八「おらア人殺し/\と云うから、おっかなくってたまりやしねえから、此処こゝ引下ひきさがって居りやすのだ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お蘭は、世の中の雑音には極めておびやすただ一人、自分だけ静な安らかなひとみを見せる野禽のどりのような四郎をいじらしく思った。
みちのく (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
職員室には、十人許りの男女——何れも穢ない扮裝みなりをした百姓達が、物におびえた樣にキョロ/\してゐる尋常科の新入生を、一人づゝ伴れて來てゐた。
足跡 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
百「忰が行ってる菓子屋へ這入はえったなア、こりゃア何うもおっかなかったって、もう少しの事で殺される所だってえ」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「第一お母様なんて、大きな眼球めだましてピリピリしてるんだもの、おっかなくて誰も、寄っ付く奴なんかいませんよ」
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「おや、何をするの」と母は手紙の断片を持ったまま、下から仰向あおむいた。眼と眼の間におそれの色が明かに読まれた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と僕は屡々云つた。「いさゝかでも陰鬱なおそれや戦きが湧きあがるようだつたら、吾々は速刻山を下らうよ。」
助役は、急にサッと顔色を変えると、物におじけた様に眼を引きつけて、ガクガク顫えながら暫く口も利けなかった。が、やがて、
気狂い機関車 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
しかしそういう言葉におじけてはいけないので、立春と関係があるか否かを決めるのが先決問題なのである。
立春の卵 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
こええ者なんて一人だってなかったんだぜ。シルヴァーだけは別だがね。——シルヴァーはそれっくれえ気の利いた奴だったよ。
よう新吉さんをけえしておくんなさいよ、新吉さんを帰しておくんなさいよと云って、己が胸を押圧おっぺしょれる時の、こええの怖くねえのって
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
君香は、「この街が、なんや、こおうなった」といい、あどけない無心の百合香に頬ずりしながら、ぽろぽろと涙を流した。そして、
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
「さようでござりましょうとも——立派なお武家が、役者風情をお連れなさるのに、よほどこおうのうては、これ程のお支度はなされますまい」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
さらその何處どこにもかんじない微風びふう動搖どうえうして自分じぶんのみがおぢたやうにさわいでる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
彼かくなせるもそのいふ事なほ我をおぢしめき、こはわが彼の續かざることばに彼の思ひゐたるよりなほ惡き意義を含ませし故にやありけん 一三—一五
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
人間の執心シフシンと言ふものは、コハいものとはお思ひなされぬかえ。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
人間の執心シフシンと言ふものは、コハいものとはお思ひなされぬかえ。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
それは、おどろおぞましい色であり、もやであって、その物凄まじいおののきには、自分の心臓すらも、観客は見出せないほどであった。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
すると、おどろおぞましい薄ドロにつれて、下手から、こもをかぶった一枚の杉戸が流れ寄る。
人魚謎お岩殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
これは名前だけはおつかない敵役のやうですが、ヒヨロヒヨロとした青白い四十男で、劍術よりは下駄の鼻緒はなをを直したり、障子を張つたり月代さかやきを當つたりすることのうまい人間です。
おつかねえほど静かぢやねえかよ、
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
少し開けた扉が、誰の力ともなく、何時いつの間にか身體の通るだけ開くと、田舍の子供といふものは因循なもので、盜みでもする樣におつかびつくり、二寸三寸と物も言はず中に入つて行つて、交代かはりがはりに其姿見を覗く。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
少許すこし開けた扉が、誰の力ともなく、何時の間にか身体の通るだけ開くと、田舎の子供といふものは因循なもので、盗みでもする様におつかびつくり、二寸三寸と物も言はず中に入つて行つて、交代かはるがはるに其姿見を覗く。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
おどすのは罪だと思って、自分もしばらく、手摺に倚ったまま、指一本も動かさずに辛抱していたが、存外鳥の方は平気なようなので、やがて思い切って、そっと身をうしろへ引いた。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なに、あいつらはそんなことにおどっかする人間ではございません。なんでもこの辺の間道ぬけみちを通って、甲州入りをしたものに違いございませんが、あいつが盲目めくらと足弱をつれて、どういう道行みちゆきをするかが見物みものでございます。
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
漢字で立心扁りっしんべんに去る(きょう)布く()芒ふ(ぼう)をつけてこわがるの意を現すもゆえありというべし。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
過去がすでにである、未来もまた怖なるべしとの予期は、自然とおのれを放射して次に出現すべきいかなる出来事をもこの怖に関連して解釈しようと試みるのは当然の事と云わねばならぬ。
趣味の遺伝 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
真下に視下みおろす議場では、居睡いねむりをしている人や、肩をからせてつかみあっている人たちがいた。
生活 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
なほちからのかぎりおこさんとすれどもおもき事大石の如くにてうごかさず、こは不思議ふしぎおどろきおそるるを見て
婦人のなかには湯具ゆぐばかりなるもあれど、闇処くらきところ噪雑わやくやして一人もみだりがましき事をせず、これおの/\毘沙門天びしやもんでん神罰しんばつおそるるゆゑなり。
そのおそろしさいはんかたなし。
「楼門」の優劣を論ずるものを笑ひて、「六万五千の劇通が批評眼といふおっかないものをみはつたところで、娘の子が羽子板屋の店へ立つて気迷きまよいする位なものなるべし」といひながら、御自身もこれを論ぜしは可笑し。
両座の「山門」評 (新字旧仮名) / 三木竹二(著)
早「が悪くって云えねえ、客人だから、それに真面目な人だ、おらが座敷へへいると起上って、誠に長く厄介になって、お前には分けて世話になって、はア気の毒だなんて、中々おさむらえさんの娘だけにおっかねえように、凛々りゝしい人だよ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「こんな、おっそろしい毛虫、私は、おっかなくって、とても取られせん。服をお脱ぎなせえ。」
熊の出る開墾地 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
おっそろしく散らかしたもんだな。——して、その危篤の女はどこにかくしてあるんだね?」
黒猫十三 (新字新仮名) / 大倉燁子(著)
おづおづと吹きいづる………たま石鹸しやぼんよ。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さと ううん、そぎやんぢやなかつなるばツてん。わしや、なんだいろ、あん人と話すとがおとろしかツだもね。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
よね そぎやんした風も見えんばツてん……。何か云はるツとんおとろしかつだろばツてん、今更、なんも、そぎやんびくびくするこたあなかぢやなツか。
牛山ホテル(五場) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
こはがってござるおまへみゝきこえたは雲雀ひばりではなうてナイチンゲールであったもの。