)” の例文
……おおわ! あんな別嬪さんを、まあおしいこと……そういえば思い当る事があります。誰にも仰言おっしゃっては困りますがね。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
わその子を抱いて来ると、すぐに自分が受け取りながら、「おお、これは可愛い子だ。泣くな。泣くな。今日きょうからおれが養ってやるわ。」
捨児 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
初めから此方こっちは斬る気はない、ただ逃げては不味まずい、きっられるとおもったから進んだ所が、先方も中々心得て居る、内心わ/\表面颯々さっさと出て来て
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
お母さんはそのそばにじっとすわっていた。八っちゃんは時々わい夢でも見ると見えて、急に泣き出したりした。
碁石を呑んだ八っちゃん (新字新仮名) / 有島武郎(著)
だ座には着くに至らざりしの少女は、突如たる滊車きしやの動揺に「オヽ、ワ」と言ひつゝ老紳士のひざに倒れぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
彼は長い躊躇ちゅうちょのあとでわ、朝の白い光線に曝された、恋人の上にかがみ込んで、彼女の体を注視した。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「もう、駄目だ! あの方が、姿をあらわして、お責めになるようではもう駄目だ! わや、わや!」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
野幇間のだいこのノラクラ俳諧師はいかいしと、金だけはフンダンに持つて居る、日當りの惡い若旦那と、は持てゞ女を口説かうと言ふ、量見違ひの浪人者とそんなのが音頭取りで」
一同、麦酒の酔も醒果てゝ、やゝ暫くは呆々然としてゐたが、そのうちは小半次が
落語家温泉録 (新字旧仮名) / 正岡容(著)
「いや大変な人数が出た。だがいかにもわそうに、屋敷を遠巻きにしておるわい」太郎丸おかしそうに笑ったが、「おい、お紋お前の力で、この囲みが破れるかな。どうだ脱出出来るかな?」
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
おれの大きなが、貴様も喧嘩をするつもりかと云う権幕で、野だの干瓢かんぴょうづらを射貫いぬいた時に、野だは突然とつぜん真面目な顔をして、大いにつつしんだ。少しわかったと見える。そのうち喇叭が鳴る。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
十六になる妹は波をわがらない。二十になる姉は怖わがる。
言葉言葉言葉 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
わァ」
高台寺 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
同時に又水瓶みずがめの中から猿が一匹おどり出し、わ十字架に近づこうとする。それからすぐに又もう一匹。
誘惑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ゴソゴソとっている景色が幻の様に目に浮かび、そのかすかな物音さえも聞える様で、私は俄に、そんな闇の中に一人でいるのがわくなったのでございます。
人でなしの恋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
れ、貴様は何だといって、馬の口を押えて止めると、百姓がわそうな顔をしてしきりにわびるから、私が
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
おもてで口説くのはいやだねえ——おいらの気持をじきに判ってくれて、たった一度でも、やさしい言葉をかけてくれればいいけれど——このおいらは、敵にまわると
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「どうも横浜はまじゃ、警察がわーがしたからね。つい秘密ないしょにしちゃったんで……」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
八っちゃんが急にわい病気になったんだと思い出した。僕は大きな声で
碁石を呑んだ八っちゃん (新字新仮名) / 有島武郎(著)
わがることはないよ。僕達も君の親方の仲間なんだから、本当のことを云ったって、大丈夫だよ」
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「わたくし……好きです……トテモ。ですけど……何だかおう御座いますわ」
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
房子はとうとう思い切って、うしろを振り返って見た。が、果して寝室の中には、れた三毛猫の姿さえ見えない。やはり人がいるような気がしたのは、病的な神経の仕業しわざであった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それがどんなに対手をわがらせるかということを意識しながら、彼は、暗い洞穴の中からじいっと獲物を狙っている蛇の様な目つきで、野本氏を見つめたのだった。
恐ろしき錯誤 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
梅雨時分になりますと、よく人魂ひとだまが谷々を渡りまして、お寺の方へ参りますそうで……ヘエ。手前共もおう御座んしたが、思い切ってその荒地の中へ立ち入りまして、スッカリ見て参じました。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
わそこへ目を当てました、最初は眼界全体にむら雲の様なものがひろまって、何が何だか分りませんでしたが、目の距離を色々に換えている内に、やがて、その向側に、恐しい物の蠢いているのが
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
右手めてをあげて、自分の顔をでまわしてみた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)