“屹”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
きっ68.6%
きつ20.1%
10.8%
きツ0.3%
0.3%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
甲斐はきっと振返った。あたりはかなり明るくなっていたが、枯木林の奥は暗くて、なにも見えなかったし、けものの動くような物音は聞えなかった。
日本武士の真骨頂、大敵前後に現われたと見るや、紋太夫は勇気いよいよ加わり、大刀のつかに手を掛けながら前後をきっと見廻したものである。
唇が触れた時、少年はすずしい目をみはってきっと見たが、また閉じて身動きもせず、手は忘れたもののようにお雪がするままに任せていた。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
笑うと八重歯が少し見えて、滅法めっぽう可愛らしくなるくせに、真面目な顔をすると、きっとした凄味が抜身のように人に迫るたちの女でした。
「並一通りの療治では、とてもいけない。人参をのませればきっと癒ると思うが、それを云って聞かせても所詮無駄だと思ったから、黙って来ました。」
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
操は飛び退いて、きつと身構へるのです。蒼ざめては居るが、凄まじくも美しい年増振り、八五郎が凄いと形容したのをフト平次は思ひ出したりしました。
図書、もとどりを放ち、衣服に血を浴ぶ。刀をふるって階子の口に、一度きつと下を見込む。肩に波打ち、はっと息してどうとなる。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『小川さん!』と女はきつと顏をあげた。其顏は眉毛一本動かなかつた。『私の樣なものゝことをう言つて下さるのはそれや有難う御座いますけれど。』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
長老は厳かにかう云ひ乍ら、自分の裏に一同をかばふ如くその大きな両手を拡げた。そして一眼フェレラの眼をきつと視ると眼を閉じた。
「失礼ですが、今日は貴女あなたの運命を決めたいと思つてあがりました。」雑誌記者はかう言つて、きつと時雨女史の顔を見た。
貫一は食はんとせし栗を持ち直して、とお峯に打向ひたり。聞く耳もあらずと知れど、秘密を語らんとする彼の声はおのづからひそまりぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「それでは、」僕は胸を張って言った。「五月三日の今ごろ、またお伺い致します。その時は、よろしくお願いします。」っと少女をにらんでやった。
正義と微笑 (新字新仮名) / 太宰治(著)
白糸の眼色めざしはその精神の全力をあつめたるかと覚しきばかりの光を帯びて、病めるに似たる水のおもたり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それでも一度だけ彼は険しい顔をして、自分と相向あいむかいに坐っている子供たちをっと睨みながら食卓を厳しく叩いた。
心誉僧正に祈られんとて召しに遣はす程に、未だ参らざるさきに、女房の局なる女に物憑きて申して曰く、別の事にはあらず、と目見入れ奉るによりて、斯くおはしますなり。
それ是非ぜひにとまをしましてもつて有仰おツしやらないやうにきツねんれてきますよ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
邪慳じやけんはら退けて、きツにらむでせると、そのまゝがつくりとかうべれた
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
妄念まうねんおこさずにはや此処こゝ退かつしやい、たすけられたが不思議ふしぎくらゐ嬢様ぢやうさまべツしてのおなさけぢやわ、生命冥加いのちみやうがな、おわかいの、きツ修行しゆぎやうをさつしやりませ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
槍ヶ岳対穂高岳は、常陸山ひたちやま対梅ヶ谷というも、あながち無理はなかろう、前者の傲然てる、後者の裕容迫らざるところ、よく似ている。
穂高岳槍ヶ岳縦走記 (新字新仮名) / 鵜殿正雄(著)