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屹
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きつ
ふりがな文庫
“
屹
(
きつ
)” の例文
笑ふと八重齒が少し見えて、滅法可愛らしくなるくせに、眞面目な顏をすると、
屹
(
きつ
)
とした凄味が拔身のやうに人に迫るたちの女でした。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私
(
わたし
)
は、
霜
(
しも
)
に
睡
(
ねむり
)
をさました
劍士
(
けんし
)
のやうに、
付
(
つ
)
け
燒
(
や
)
き
刃
(
ば
)
に
落
(
お
)
ちついて
聞
(
き
)
きすまして、「
大丈夫
(
だいぢやうぶ
)
だ。
火
(
ひ
)
が
近
(
ちか
)
ければ、あの
音
(
おと
)
が
屹
(
きつ
)
とみだれる。」
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「失礼ですが、今日は
貴女
(
あなた
)
の運命を決めたいと思つてあがりました。」雑誌記者はかう言つて、
屹
(
きつ
)
と時雨女史の顔を見た。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
改めて
穿鑿
(
せんさく
)
もせられで、やがては、
暖簾
(
のれん
)
を分けて
屹
(
きつ
)
としたる
後見
(
うしろみ
)
は為てくれんと、鰐淵は常に
疎
(
おろそか
)
ならず彼が身を
念
(
おも
)
ひぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
蕭
(
しを
)
れし今までの
容姿
(
すがた
)
忽ち變り、
屹
(
きつ
)
と
容
(
かたち
)
を改め、言葉さへ
雄々
(
をゝ
)
しく、『冷泉樣には、何の要事あれば
夜半
(
よは
)
には來給ひし』
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
▼ もっと見る
「
※等
(
あねら
)
、
大層
(
たえそ
)
なこと
云
(
ゆ
)
つたつて、
老人
(
としより
)
の
面倒
(
めんだう
)
見
(
み
)
たゝ
云
(
ゆ
)
へめえ」
勘次
(
かんじ
)
はぶつ/\と
獨語
(
どくご
)
した。おつたの
耳
(
みゝ
)
にも
微
(
かす
)
かにそれが
聞
(
きこ
)
えた。おつたは
屹
(
きつ
)
と
見
(
み
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
『モールスさんの
掘
(
ほ
)
つた
方
(
はう
)
が
金持
(
かねもち
)
のコロボツクルが
居
(
ゐ
)
たので、
此所
(
こゝ
)
は
屹
(
きつ
)
と
貧乏人
(
びんばうにん
)
が
居
(
ゐ
)
たんだらう』など
戯
(
たはむ
)
れて
居
(
ゐ
)
る
處
(
ところ
)
へ、
車夫
(
しやふ
)
を
從
(
したが
)
へて二
絛
(
でう
)
公
(
こう
)
が
來
(
こ
)
られた。
探検実記 地中の秘密:20 大森貝塚の発掘
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
『小川さん!』と女は
屹
(
きつ
)
と顏をあげた。其顏は眉毛一本動かなかつた。『私の樣なものゝことを
然
(
さ
)
う言つて下さるのはそれや有難う御座いますけれど。』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「それがなんだ」判事は
屹
(
きつ
)
となつた。拳を握つて机の上を叩いて見た。一つの鈍い音と一しよに不規則に積んであつた机の上の洋書が一冊、すべりおちた。
公判
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
屹
(
きつ
)
と見渡し大いに驚き大膳殿品川宿の方に當り火の
光
(
ひかり
)
見
(
みゆ
)
るが
那
(
あれ
)
を何とか思るゝやと問へば大膳是を見て
那
(
あれ
)
こそは
縁日抔
(
えんにちなど
)
の商人の
燈火
(
ともしび
)
ならんといふに山内
首
(
くび
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
『
韋駄天
(
ゐだてん
)
の
力
(
ちから
)
でも
借
(
か
)
りませいでは。‥‥どんなお
早駕籠
(
はや
)
でも
四日
(
よつか
)
はかゝりませうで。‥‥』と、
玄竹
(
げんちく
)
はもう
面
(
おもて
)
をあげることが
出來
(
でき
)
なかつた。
但馬守
(
たじまのかみ
)
は
屹
(
きつ
)
と
容
(
かたち
)
を
正
(
たゞ
)
して
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
何
(
ど
)
うぞ
御聞
(
おきゝ
)
遊
(
あそば
)
してと
屹
(
きつ
)
となつて
疊
(
たゝみ
)
に
手
(
て
)
を
突
(
つ
)
く
時
(
とき
)
、はじめて一トしづく
幾層
(
いくそ
)
の
憂
(
う
)
きを
洩
(
もら
)
しそめぬ。
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
彦三郎 (眼をふいて。)いくら名奉行でも、大岡樣でも、このお捌きは
屹
(
きつ
)
と間違つて居ります。わたくしの父にかぎりまして、決してそんなことはない筈でござります。
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
松島大佐
(
まつしまたいさ
)
は
握
(
にぎ
)
れる
軍刀
(
ぐんたう
)
の
※
(
つか
)
の
碎
(
くだ
)
くるをも
覺
(
おぼ
)
えぬまで、
滿足
(
まんぞく
)
と
熱心
(
ねつしん
)
との
色
(
いろ
)
をもつて、
屹
(
きつ
)
と
面
(
おもて
)
を
揚
(
あ
)
げ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
私と向ひあつてゐた侍は
慌
(
あわたゞ
)
しく身を起して、
柄頭
(
つかがしら
)
を片手に抑へながら、
屹
(
きつ
)
と良秀の方を睨みました。それに驚いて眺めますと、あの男はこの景色に、半ば正気を失つたのでございませう。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
如何
(
いかん
)
せんと思ひけるが、
屹
(
きつ
)
と案じ出だしたる事あつて、この度射んとしける矢先に、唾を吐き懸けて、また同じ矢所をぞ射たりける、この矢に毒を塗りたる故にや依りけん、また同じ矢坪を
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
自分と同じ位の小さい子がその十字架から落ちて倒れ、煙の中を小走りに走つて、隣りの十字架に素裸のまゝで縛りつけられて唇を噛み、眼を
屹
(
きつ
)
と天に向けてゐるその母親の処に駈け寄つて
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
あまりのおそろしさに、かの柱頭にひたと抱きつきて、聖母の御名をとなふれども、物騷がしさは未だ止まず。この怪しき物共の
群
(
むらが
)
りたる間にも、幸なるかな、大なる十字架の
屹
(
きつ
)
として立てるあり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
而して
大節
(
たいせつ
)
に臨むに至りては、
屹
(
きつ
)
として奪う
可
(
べ
)
からず。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
殊勝
(
しゆしよう
)
らしく
聞
(
きこ
)
えて
如何
(
いかゞ
)
ですけれども、
道中
(
だうちう
)
、
宮
(
みや
)
、
社
(
やしろ
)
、
祠
(
ほこら
)
のある
處
(
ところ
)
へは、
屹
(
きつ
)
と
持合
(
もちあは
)
せた
藥
(
くすり
)
の
中
(
なか
)
の、
何種
(
なにしゆ
)
のか、
一包
(
ひとつゝみ
)
づゝを
備
(
そな
)
へました。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お若は
屹
(
きつ
)
と顏を振り仰ぎました。感情の變り目、變り目がこの女の激しい氣性にかき立てられて、それが魅力になると言つた肌合の女です。
銭形平次捕物控:176 一番札
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
売られた人達を苦めるやうなそんな
復讐
(
ふくしゆう
)
などは為たくはありません、唯自分だけで可いから、一旦受けた恨! それだけは
屹
(
きつ
)
と
霽
(
はら
)
さなければ
措
(
お
)
かん精神。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
『
掘
(
ほ
)
らせんといふなら
掘
(
ほ
)
らん。
掘
(
ほ
)
らうと
思
(
おも
)
へば、どんな
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
つても
屹
(
きつ
)
と
掘
(
ほ
)
つて
見
(
み
)
せるが、ナニ、
這
(
こ
)
んな
糞
(
くそ
)
ツたれ
貝塚
(
かひづか
)
なんか
掘
(
ほ
)
りたくは
無
(
な
)
い』と
叫
(
さけ
)
ぶのである。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
「天国には女が居ませんて——」娘は
軍鶏
(
しやも
)
の
牝
(
めす
)
のやうに
屹
(
きつ
)
となつて顔をあげた。「違ひますよ、先生、そんな
理由
(
わけ
)
で天国に結婚が無いんぢやございますまい。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『
停車場
(
ステーシヨン
)
には
屹
(
きつ
)
と
人車
(
くるま
)
があつたんだよ。表口から出なかつたもんだから、分らなかつたけどね。』
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
御屋敷方の
内輪
(
うちわ
)
のことに、わたくしどもが首を突つ込んぢやあ惡うございますが、いつそこれはわたくしにお任せ下さいませんか。二三日のうちに
屹
(
きつ
)
と
埒
(
らち
)
をあけてお目にかけます。
半七捕物帳:01 お文の魂
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
『然うすか?』と、人々はその顔——
屹
(
きつ
)
と口を結んだ、額の広い、その顔を見上げた。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
瀧口は默然として居たりしが、暫くありて
屹
(
きつ
)
と
面
(
おもて
)
を擧げ、襟を正して維盛が前に恭しく兩手を突き、『
然
(
さ
)
ほど先君の事
御心
(
おんこゝろ
)
に懸けさせ給ふ程ならば、何とて斯かる落人にはならせ給ひしぞ』
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
おつぎが
心
(
こゝろ
)
づいた
時
(
とき
)
勘次
(
かんじ
)
は
徒
(
いたづ
)
らにさうして
發作的
(
ほつさてき
)
に
汗
(
あせ
)
を
垂
(
た
)
らして
動
(
うご
)
いて
居
(
ゐ
)
るのを
見
(
み
)
た。おつぎの
心
(
こゝろ
)
も
屹
(
きつ
)
として
未
(
ま
)
だ
燃
(
も
)
えつゝある
火
(
ひ
)
に
移
(
うつ
)
つた。おつぎは
俄
(
にはか
)
に
自分
(
じぶん
)
の
萬能
(
まんのう
)
を
執
(
と
)
つて
勘次
(
かんじ
)
の
手
(
て
)
に
攫
(
つか
)
ませた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
大佐
(
たいさ
)
一顧
(
いつこ
)
軍刀
(
ぐんたう
)
の
鞘
(
さや
)
を
拂
(
はら
)
つて、
屹
(
きつ
)
と
屹立
(
つゝた
)
つ
司令塔上
(
しれいたうじやう
)
、一
令
(
れい
)
忽
(
たちま
)
ち
高
(
たか
)
く、
本艦々上
(
ほんかんかんじやう
)
戰鬪喇叭
(
せんとうらつぱ
)
鳴
(
な
)
る、
士官
(
しくわん
)
の
肩章
(
けんしやう
)
閃
(
きら
)
めく、
水兵
(
すいへい
)
其
(
その
)
配置
(
はいち
)
に
就
(
つ
)
く、
此時
(
このとき
)
、
既
(
すで
)
に
早
(
はや
)
し、
既
(
すで
)
に
遲
(
おそ
)
し、
海賊船
(
かいぞくせん
)
から
打出
(
うちだ
)
す
彈丸
(
だんぐわん
)
は
雨
(
あめ
)
か、
霰
(
あられ
)
か。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
そして一眼フェレラの眼を
屹
(
きつ
)
と視ると眼を閉じた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
背負
(
せおひ
)
て一文貰ひの辨慶或は一人
角力
(
すまふ
)
の關取
烏
(
からす
)
の
聲色
(
こわいろ
)
何れも乞食渡世の
仲間
(
なかま
)
にて是等の類皆々長屋づきあひなれ
共
(
ども
)
流石
(
さすが
)
大橋文右衞門は
零落
(
れいらく
)
しても以前は越後家にて五百石取の物頭役なれば只今市之丞の長八に
對面
(
たいめん
)
なすに
屹
(
きつ
)
と状を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
屹
(
きつ
)
と
敵
(
かたき
)
に
不足
(
ふそく
)
は
言
(
い
)
はせぬ。
花片
(
はなびら
)
を
雪
(
ゆき
)
にかへて、
魔物
(
まもの
)
の
煩悩
(
ぼんなう
)
のほむらを
冷
(
ひや
)
す、
価値
(
ねうち
)
のあるのを、
私
(
わたくし
)
が
作
(
つく
)
らせませう、……お
爺
(
ぢい
)
さん
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
屹
(
きつ
)
と言ひ放つと、自分の部屋へ入つて、何やら手廻りのものを一と纒め、四方を
睥睨
(
へいげい
)
し乍ら、富山七之助は出て行くのです。
銭形平次捕物控:246 万両分限
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お
前
(
まへ
)
はそんな
事
(
こと
)
を
云
(
い
)
つて、
胡麻化
(
ごまくわ
)
すんだ。
屹
(
きつ
)
と
仲買
(
なかがひ
)
して
歩
(
ある
)
くんだらうと、いや、はや、
沒分曉漢
(
わからずや
)
の
親分
(
おやぶん
)
※
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
司令官はかう言つて
屹
(
きつ
)
と口を結んだ。米国将校はその口元に
胡桃
(
くるみ
)
の殻のやうな真面目さを見て取つた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
急に笑ひを止めて、京子は次の
室
(
ま
)
の敷居際に坐つてゐたお駒に眼を付けると、かう言つて
屹
(
きつ
)
と睨めた。お駒は顏を
赧
(
あか
)
らめて尻込みするのを、千代松が取り成す風にして
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
『これ、
稻妻
(
いなづま
)
、しつかりやれよ。』と
屹
(
きつ
)
と
其
(
その
)
面
(
おもて
)
を
見詰
(
みつ
)
めた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「会堂が
那処
(
あそこ
)
に建つ!」と、
屹
(
きつ
)
と西山の
嶺
(
いただき
)
に瞳を据ゑる。
赤痢
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
頽
(
くづ
)
せし膝立て直し
屹
(
きつ
)
と
衣
(
ころも
)
の襟を
掻合
(
かきあ
)
はせぬ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
あやまれば
屹
(
きつ
)
と堪忍してくれるよ。
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
時
(
し
)
立留
(
たちとゞま
)
つて
四方
(
しはう
)
を
屹
(
きつ
)
と
見
(
み
)
てあ
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「あの、
後程
(
のちほど
)
、
内證
(
ないしよう
)
で
御新姐
(
ごしんぞ
)
さんが。
屹
(
きつ
)
と
御待
(
おま
)
ち
遊
(
あそ
)
ばせよ。
此處
(
こゝ
)
に。
可
(
よ
)
ござんすか。」と
囁
(
さゝや
)
いて、すぐに、ちよろりと
消
(
き
)
える。
麦搗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
萬七は
屹
(
きつ
)
と文治の方を向き直りました。變なことを言ひ出したら、有無を言はせずに、
此奴
(
こいつ
)
も一緒に縛りさうな氣組です。
銭形平次捕物控:232 青葉の寮
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
俄
(
にはか
)
に
屹
(
きつ
)
とした調子になつたお光の聲は、今までと違つた人の口から出たものゝやうであつた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
人種差別問題をいつまでもぐづ/\言ふなら、構ふ事はない、
屹
(
きつ
)
となれ、屹となれ……。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
屹
(
きつ
)
と何かの間違ひでござります。
権三と助十
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
貫一も今は
屹
(
きつ
)
と胸を据ゑて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
が、
誰
(
たれ
)
も
来
(
き
)
ては
不可
(
いけな
)
い、
屹
(
きつ
)
と
来
(
き
)
ては
不可
(
いけな
)
い、いづれ、やがて
其
(
そ
)
の
仕事
(
しごと
)
が
出来
(
でき
)
ると、お
浦
(
うら
)
と
一所
(
いつしよ
)
に、
諸共
(
もろとも
)
にお
目
(
め
)
に
懸
(
かゝ
)
つて
更
(
あらた
)
めて
御挨拶
(
ごあいさつ
)
をする。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
操は飛び退いて、
屹
(
きつ
)
と身構へるのです。蒼ざめては居るが、凄まじくも美しい年増振り、八五郎が凄いと形容したのをフト平次は思ひ出したりしました。
銭形平次捕物控:203 死人の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
屹
漢検1級
部首:⼭
6画
“屹”を含む語句
屹度
屹立
屹然
屹々
屹驚
屹坐
屹崛峨々
屹度可相立旨
屹水下
突屹相