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玄竹
『
譽められても
嬉しくはないぞ。
玄竹、それより
何か
面白い
話でもせんか。』と、
但馬守の
顏には、どうも
冴え
切らぬ
色があつた。
『
紀どのは、
質屋のことを
御存じかな。』と、
玄竹の
機智は、
敵の
武器で
敵を
刺すやうに、
紀の
言葉を
捉へて、
紀の
顏の
色を
赧くさせた。
『
御城代樣の
御容態は、
先づお
變りがないといふところでございませうな。
癆症といふものは
癒りにくいもので。』と、
玄竹は
眉を
顰めた。