“四方”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あたり65.3%
よも21.8%
しほう6.7%
しはう4.0%
しかく0.5%
よつかた0.2%
しかた0.2%
しはうの0.2%
そこいら0.2%
どちら0.2%
まわり0.2%
よかた0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
など話しながら、足は疲労くたびれても、四方あたりの風景のいのに気も代って、漸々ようよう発光路に着いたのがその日の午後三時過ぎでありました。
それが今日は生憎あいにく早暁そうぎょうからの曇りとなった。四方よもの雨と霧と微々たるしずくとはしきりに私の旅情をそそった。宿酔しゅくすいの疲れも湿って来た。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
それからは、ハムーチャのうわさがぱっと四方しほうに広がりました。ハムーチャの行く先々で、もうその地方の人々が待ちかまえていました。
手品師 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
四方しはう山の中に立ちたる高さ三百尺の一孤邱いつこきう、段々畠の上にちとの橄欖の樹あり、土小屋つちごや五六其ひたひに巣くふ。馬上ながらに邱上きうじやうを一巡す。
あるひはかの掘揚ほりあげ(雪をすてゝ山をなす所)の上に雪を以て四方しかくなるだうを作りたて、雪にて物をおくべきたなをもつくり
治明博士の予想した如く、一週間後に名津子はすっかり元気になり、それまでのあやしき態度も消え、元の名津子に戻った。そして隆夫やけん二宮にのみや四方よつかたの交際ももとに復した。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それで、憲兵司令官の加藤泊治郎や東京憲兵隊長の四方しかた淳二などに憲兵隊の再組織をやらせた。
ノア (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
丈夫ぢやうふ四方しはうのこゝろざし唐人からびとの言ひけん、こは恐らくは八方の誤りなるべし。
青眼白頭 (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
時々雪の中を通る荷車の音が寂しく聞える位、四方そこいらひっそりとして、沈まり返って、戸の外で雪の積るのが思いやられるのでした。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
四方どちらを見ても山また山でございまして、中を流るゝ山田川、其の川上は日向見川ひなたみがわより四万川に落る水で有りますから、トツ/\と岩に当って砕ける水の色は真青まっさおにして
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
また、ひとしきり奇怪な読経が湧き起って、魔像とお静の四方まわりを、黒装束の人間の輪が、クルクルと廻り始めました。
「根岸にはお大名の別荘しもやしきが沢山あるけれど、加賀様のお姫さまがたは揃ってお美しかった。お前さん、はなの咲くころに、お三方さんかたもお四方よかたも揃っておいでになると、まるで田舎源氏の挿絵のようさね。」