“あたり”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アタリ
語句割合
四辺38.4%
18.4%
四方18.0%
四邊5.3%
周囲2.9%
四囲2.8%
四隣2.7%
2.1%
附近1.4%
四周1.2%
(他:82)6.8%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
浅田は要件が済んでしまっても中々尻を上げようとせず、又新しい敷島に火を点けて、四辺あたりをジロ/\睨み廻していた。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
凝視みつめる瞳で、やっと少しずつ、四辺あたり黒白あいろが分った時、私はフト思いがけない珍らしいものをた。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
健三の眼を落しているあたりは、夜具の縞柄しまがらさえ判明はっきりしないぼんやりした陰で一面につつまれていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
宗助はそれから懐手ふところでをして、玄関だの門のあたりをよく見廻ったが、どこにも平常と異なる点は認められなかった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
欄干らんかん越しに船へ聲をかける八五郎。四方あたりは幸ひ、不意の出來事にシーンとして、船に殘つた平次にも聽えました。
平次は四方あたりを見廻しましたが、ツイ右手にかなり大きな物置のあるのを見ると、其處に喜八を誘ひ込んで腰をおろしました。
横笛四邊あたりを打ち見やれば、八重葎やへむぐらしげりて門を閉ぢ、拂はぬ庭に落葉つもりて、秋風吹きし跡もなし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
いそいでかれはそれをらしました、ほかものあはせたやうに四邊あたり見廻みまは
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
「そうだ。歩いたら少しは暖かに成る」と言って、西は周囲あたりを眺め廻して、「この辺は大抵僕の想像して来た通りだった」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼等は周囲あたりの自然と人とに次第に親しみつゝ、一方には近づく冬を気構えて、取りあえず能うだけの防寒設備をはじめた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
どこかに、夕刊売りは出ていないかと四囲あたりを見廻すと、小暗い河岸ぷちの向うから、リンリンと微かな鈴の音が聞えてきた。
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
自家うちは正月元日でも、四囲あたりが十二月一日なので、一向正月らしい気もちがせぬ。年賀に往く所もなく、来る者も無い。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
何事やらむと立佇たちとまれば慌しく四隣あたりを見まはし、鮮やかなる和語に声をひそめつゝ、御頼み申上げ度き一儀あり。
白くれない (新字新仮名) / 夢野久作(著)
電車の終点から歩くと二十分近くもかかる山の手の奥だけあって、まだよいくちだけれども、四隣あたりは存外静かである。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しかして巡禮が、その誓願をかけし神殿みやの中にてあたりを見つゝ心を慰め、はやそのさまを人に傳へんと望む如く四二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
神武寺じんむじあたりより、萬兩まんりやうふさやかにいたるを一本ひともとかへりて
逗子だより (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
どうせかういふ人達の落ち合ふ所だから、附近あたりに若い女と酒が無かつた事だけは神様の前で証人に立つてもい。
盲になつた馬は、附近あたりが見えないから、今までのやうに物におびえて跳ねたり、飛んだりするやうな事は、まるで無くなつてしまふ。
私は今一度、思い切って眼を見開いた。シビレの切れかかったボンノクボを枕にもたせかけたまま、ウソウソと四周あたりを見まわした。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
彼は、畦道をすっとんで、舗道の上へおどりあがった。きょろきょろ四周あたりを見まわしたが、防空壕ぼうくうごうらしいものはなかった。
英本土上陸戦の前夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
四下あたりには若葉が日に日にしげって、遠い田圃たんぼからは、かまびすしいかえるの声が、物悲しく聞えた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
お庄は振りのような手容てつきをして、ふいとそこを飛び出すと、きまり悪そうに四下あたりを見廻して、酒屋の店へ入って行った。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
むしろその財のいまむなしく消散しょうさんせざるにあたりて、早く銘々の旧藩地に学校を立てなば、数年の後は間接の功を奏して
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
内々その予言者だとかいうことを御存じなり、外にあたりはつかず、旁々かたがたそれでは、と早速じじいをお頼み遊ばすことになりました。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
周匝あたりにひびく駒下駄の音を石甃に刻み乍ら、拝殿の前近く進んで、自分は図らずも懐かしい旧知己の立つて居るのに気付いた。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
男も女もしめやかな戀を抱いて歩いてる樣に見える、蛇目の傘をさした若い女の紫の袴が、その周匝あたりの風物としつくり調和してゐた。
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
白晝ひる横頬よこほゝあつほどけたが周圍あたり依然やつぱりつめたかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
彼の白襯衣ホワイト・シャツの汚れ目も、また周圍あたり構はぬ高聲で話しかける地方人の癖をも、私は決して不快に思はなかつた。
我等の一団と彼 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
先刻さつきから断間しきりなしにほてつてるのに、周辺あたりの青葉の故か、顔がいつもよりも青く見える。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
僕は見ていてすっかり退屈してしまったな、僕みたいなものがそうなんだから、見馴れた連中は如何どうなんだろうと思って、周辺あたりを見回したら、やっぱりみんな思い屈したような顔をしてましたよ。
華々しき一族 (新字新仮名) / 森本薫(著)
聖像は流石さすが人に敬を起さしめて、四圍あたりの群衆忽ちひざまづけば、傀儡師も亦壇を下りて跪きぬ。
二人は川岸に下りた。源吉は岸につないである小舟に背の荷物を、どしんと投げてやつた。それから舟の端に腰をかけて、一寸の間、四圍あたりを見てゐた。
防雪林 (旧字旧仮名) / 小林多喜二(著)
女は枕に顔を伏せながら、それには答えず、「はあ……」と、さも術なそうな深い太息ためいきをして、「だから、私、男はもう厭!」あたりを構わず思い入ったように言った。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
「斯うしていても際限きりがないから、……私、最早もう帰りますよ。じゃこれで一生会いません。」と、あたりを憚るように、低声こごえで強いて笑うようにして言った。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
ト、八戸君も小松君も、卓子テーブルから離れて各々めい/\自分の椅子を引ずつて煖爐ストーブ周邊あたりに集る。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
勘次かんじ怪我人けがにんうしろかくれるやうにして自分じぶんばんになるのをちながら周邊あたりなんとなく藥臭くすりくさくておそろしいやうなかんじにとらはれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
と云う声に驚き、ふと目をさましキョロ/\身辺あたりを見廻しながら溜息をき、
『よく君は引越して歩く人さ。』と銀之助は身辺あたりを眺め廻し乍ら言つた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
私は楽譜を持って立ち上りました。隣室からは、四壁あたりを驚ろかす上ずった笑い声、それに続いて、佐良井と女共の、酒精アルコール臭い淫靡いんびな声が筒抜けに聴えます。
死の舞踏 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
と御声ひくゝ四壁あたりを憚りて、口数すくなき伯母君が(おぼ)(あ)はすることありてか、しみじみと(さと)し給ひき、我れ初めは一向ひたすら夢の様に迷ひて何ごとゝも思ひ分かざりしが、漸々(やうやう)伯母君の詞するどく。
雪の日 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
前に鴨脚いちょうの大きい裁物板たちものいたが据えられて、彩絹きぬ裁片たちきれや糸やはさみやが順序なく四面あたりに乱れている。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
小山と小山との間に一道の渓流けいりう、それを渡り終つて、猶其前に聳えて居る小さいみねを登つて行くと、段々四面あたり眺望てうばうがひろくなつて
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
「おかみ、何もさう迄いはなくたつていゝぢやないか。誰も女中達を裸にして見せろとは云やあしない。たゞ心あたりは無いかと訊いたばかりなんだ。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
愈江戸風の浮氣うはきには相あたり申候に付、夫けは御安心可下候。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
家を護る土公神はというと、春は竈、夏は門、秋はいど、冬は庭にありというから、夏から秋口へ向うこのごろのこと、まず門と井戸とに見当あたりをつけておきたい。
「親分、見当あたりは?」
かくて、數時間すうじかんたりしのち身邊あたり人聲ひとごゑさわがしきに、旅僧たびそうゆめやぶられて
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
お前樣がお好きの畫や歌や何の何の、見れば嬉しく、聞けば床しく、ぢれも肝も悉皆みなおさまりて、思ひ出してさへ魂のふらつく樣な事が御座んす、とは又何ぞと問へば、身邊あたりの新聞をつきつけて、夫れ此處に、と指さすは新の字
花ごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼はその兄弟等と一の路を行かず、こは嘗てその近傍あたりにとゞまれる大いなる家畜けものの群を謀りて掠めし事あるによりてなり 二八—三〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
朝から晩まで引切しつきりなしに鵞鳥の締め殺されるやうな声で、近傍あたり構はずうたひ続けるのでそのやかましさといつたら一通ひととほりの沙汰ではない。
近辺あたりかまわず板戸を揺すぶったのがこの時初めてきいたとみえて、
東北とうほく地方は一躰いったい関西かんさい地方や四国しこく九州きゅうしゅうの辺とちがって、何だか薄暗い、如何いかにも幽霊が出そうな地方だが、私がこの夏行った、陸中国遠野郷りくちゅうのくにとおのごう近辺あたりも、一般に昔からの伝説などが多くあるところだ。
テレパシー (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
冬枯れの寒さ中毒あたりで、茶釜の下に島の朝煙の立たない時があっても、まるで寄ッつかず、不幸な奴ッちゃねえけれど、それでも、
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
井崎八郎の声は八方あたり構わず響き渡ります。
そして毎日の事なので、其辺あたりに気もけないで、ずつと卓子テーブルの前までやつて来た。
袖にはくちなわ、膝には蜥蜴とかげあたり見る地獄のさまに、五体はたちまち氷となって、慄然ぞっとして身を退きましょう。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)