周辺あたり)” の例文
旧字:周邊
周辺あたりはなしにはまれ立入たちいるのみで、質問しつもんをされたらけっして返答へんとうをしたことのい、ものも、ものも、あたえらるるままに、時々ときどきくるしそうなせきをする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
重い柄杓ひしやくに水を溢れさせて、口移しに飲まうとすると、サラリと髪が落つる。髪をかづいた顔が水に映つた。先刻さつきから断間しきりなしにほてつてるのに、周辺あたりの青葉の故か、顔がいつもよりも青く見える。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
猶お周辺あたりに血の痕の無きを見ればほかにて殺せし者をかつぎ来りて投込みし者なるし又此所このところより一町ばかり離れし或家の塀に血の附きたる痕あれど之も殺したる所には非ず多分は血にまみれたる死骸を
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
僕は見ていてすっかり退屈してしまったな、僕みたいなものがそうなんだから、見馴れた連中は如何どうなんだろうと思って、周辺あたりを見回したら、やっぱりみんな思い屈したような顔をしてましたよ。
華々しき一族 (新字新仮名) / 森本薫(著)