“そこいら”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
其辺20.0%
四辺16.0%
其處等16.0%
周囲12.0%
其所等8.0%
其処等8.0%
其処辺8.0%
其邊4.0%
四壁4.0%
四方4.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と、其辺そこいらに居合はす番頭手代を駆り集めて、そのなかでい気になつて皿の物をぱくつくにきまつてゐる。
急に四辺そこいらが明るくなったかと思うと——秋の日が暮れるのでした。暗い三分心の光は煤けた壁の錦絵を照して、棚の目無達磨めなしだるまも煙の中に朦朧もうろうとして見える。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
創業さうげふさいではあるし、るたけかね使つかはないで、吉原よしはらときなんぞとちがつて、すべてに經濟けいざいにしてやらなくちやかんとふので、それから女房かみさんに、むすめがついて、其處等そこいらをその、ブラ/\と
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
木か何かに縛りつけて置いて家へ帰ろうと思って周囲そこいらを見廻した。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
一遍は縫子を連れて、其所等そこいらをぐるぐる運動して歩いた。仕舞にはと酒でも取り寄せて飲もうかと思った。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
石室も元のようにして蝋燭のあかりを消して其処等そこいらをも片付けて、厭がるお蘭の手をとって、連れ立ち、鴨居の横を西に切れて東浦賀へ出まして、徳田屋と申す舟宿がありまして
……ハッとして振り返ると、其処辺そこいらに立っている人が皆、私の顔を睨みつけている。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
が、からかさに重たげに肩を掛けて行く先の定めなく其邊そこいらを歩き出した彼れは、電車や自動車の行き交ふ大通へ足を入れるのが自分ながら危險に思はれるくらゐに頭が亂れてゐる。
仮面 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
いつの間には四壁そこいらは暗くなつて来た。青白い黄昏時たそがれどきの光は薄明く障子に映つて、本堂の正面の方から射しこんだので、柱と柱との影は長く畳の上へ引いた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
時々雪の中を通る荷車の音が寂しく聞える位、四方そこいらひっそりとして、沈まり返って、戸の外で雪の積るのが思いやられるのでした。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)