“かた”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カタ
語句割合
31.4%
8.7%
6.9%
6.1%
5.6%
4.9%
4.3%
4.1%
4.1%
3.4%
1.6%
1.6%
1.4%
1.3%
抵当1.3%
0.9%
0.9%
0.9%
0.8%
0.8%
0.7%
0.5%
夥多0.4%
0.4%
0.4%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
抵當0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
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0.1%
0.1%
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0.1%
0.1%
0.1%
方法0.1%
0.1%
印影0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
処置0.1%
婦人0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
樣式0.1%
痕跡0.1%
0.1%
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0.1%
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印象0.0%
0.0%
令嬢0.0%
摸型0.0%
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足形0.0%
丈夫0.0%
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以降0.0%
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先妻0.0%
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加担0.0%
加擔0.0%
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双肩0.0%
取除0.0%
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形式0.0%
心堅0.0%
手法0.0%
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担保0.0%
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旦那0.0%
法例0.0%
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真像0.0%
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肩上0.0%
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蝟集0.0%
記者0.0%
詐欺0.0%
詐称0.0%
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0.0%
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運命0.0%
集団0.0%
青年0.0%
0.0%
頑固0.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
次の神樣はタカミムスビの神、次の神樣はカムムスビの神、このかたは皆お獨で御出現になつて、やがて形をお隱しなさいました。
ものやさしくかたうごくと、らふが、くだん繪襖ゑぶすまあなのぞく……が、洋燈ランプしんなかへ、𤏋ぱつはひつて、ひとつにつたやうだつた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぶたい花みちは雪にて作りたる上に板をならぶる、此板も一夜のうちにこほりつきて釘付くぎづけにしたるよりもかたし。だん国にくらぶればろんほかなり。
南洲等つとめて之を拒ぎ、事終にむ。南洲人にかたつて曰ふ、七卿中他日關白くわんぱくに任ぜらるゝ者は、必三條公ならんと、果して然りき。
爪弾つまはじきされたことは想像にかたくなく、極端な無抵抗主義が因をなして、「腰抜け」という、有難からぬ綽名あだなまで頂戴したのでしょう。
黒の洋服で雪のような胸、手首、勿論靴で、どういう好みか目庇まびさしのつッと出た、鉄道の局員がかぶるようなかたなのを、前さがりに頂いた。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼らは思慮も熟せず判断力もかたくないから、見るもの聞くものその他すべて五感に触るるものによりて心の底までも動揺どうようされやすい。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
かたの角の蕎麦屋の台所口とがつづいたあと、右には同じく浅倉屋の土蔵、左には、表に灰汁桶あくおけの置かれた女髪結のうちがあった。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
病みあがりの蟷螂かまきりのやうなあの痩せこけた老耄おいぼれ親父にうまうまかたられてしまつたぞと、親友を侮辱したのも偽りのない事実であつた。
お島がてたような顔をして、そこへ坐ったとき、父親がかたい手に煙管きせるを取あげながら訊ねた。お島はうるんだ目色めつきをして、黙っていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
燈火ともしびに反射した鉞の刃は、蛍合戦の時数千の蛍が、かたまって巨大な球となり、それが虚空に渦巻くがように、青光り閃き渦をまいた。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
誇るに西洋料理七皿をもってする、かたのごとき若様であるから、冷評ひやかせば真に受ける、打棄うっちゃって置けばしょげる、はぐらかしても乗出す。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
却々なかなか大きな犬らしい足跡だから、人間が四つん這いになって、犬の足をしたかたで、こんな跡をつけたと考えることは不可能ではない。
何者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
予今水の東京をかたるといへども、談つて甚だ詳しからず、必ずや水を得ざるの惨にあふことなからん。呵〻。(明治三十五年二月)
水の東京 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
こんどは何かまとまったようがあるとかで、守口もりぐちの双葉屋という遊女屋から、お仙のからだを抵当かたに、百両ほど借りてしまった。
治郎吉格子 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
記し終りてかたふうじ枕元なる行燈あんどうの臺に乘置のせおきやゝしばし又もなんだに暮たりしが斯ては果じ我ながら未練みれんの泪と氣を取直とりなほし袖もてぬぐひ立上り母の紀念かたみ懷劍くわいけん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
得ず然らば途中の御用心こそ專要せんえうなれど心付るを平兵衞は承知しようちせりといとまつげて立出れば早日は山のかたぶきやゝくれなんとするに道を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
島田と別れてから二度目にかたづいた波多野と彼女との間にも子が生れなかったので、二人は或所から養女をもらって、それを育てる事にした。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かの狩衣などを紫黒色に染めこれをエビ染め、またその色をエビ色というのはこれらブドウの実の熟した色にかたどったものである。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
許されぬ。只眼にあまる情けと、息に漏るる嘆きとにより、昼は女のかたえを、夜は女の住居すまいの辺りを去らぬ誠によりて、我意中を
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けれどもかたの事だから川よりは平穏だから、万一まさかの事もあるまい、と好事ものずき連中れんじゅうは乗ッていたが、げた者も四五人はッたよ。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
内に黒くかたい、しかし外に灰銀の柔かな、平滑な光の面、面は縦に大きくまろく、極めて薄手の幅を持って、その両面が
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
日蔭に住む女達が世を忍ぶ後暗い男に対する時、恐れもせず嫌いもせず、必ず親密と愛憐との心を起す事は、夥多かたの実例に徴して深く説明するにも及ぶまい。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
三尺をまた半分にした、ようようからだのはいられるだけの小さい潜戸くぐりは、まだ日も暮れぬのに、かためきって、留守かと思うほどひっそりしている。
狂乱 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
ひがんだ、いぢけた、かたくなな私も、真裸になつて彼等の胸に飛び込んで行くことが出来た。そして、彼等の温いなさけに浸つた。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
第百四十八 スポンジゼリーの一 これは前のような牛乳のゼリーを冷まして半ばかたまった処へ玉子の白身を泡立ててよく混ぜて今度は本式に固めます。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
家名相續かめいさうぞくなにともすべしとひと一人ひとり二人ふたりならず、あるとき學士がくし親友しんいうなりしそれがし當時たうじ醫學部いがくぶ有名いうめい教授けうじゆどのひとをもつてかたごとみしを
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
羊のむれは羊の群らしくそんなことに関係なく、しじゅう汽車に驚いてかたまってみたり、池に直面して凝議ぎょうぎしたりなんかばっかりしてる。
われに与えんとならば、まずひそやかに与えよかし。われらかたみに持てる想いを、何人なにびともさとらぬぞよき。
笑やアがって……あれまア肥料桶こいたごかたげ出しやアがった、たごをかたせ、アヽ桶をおろして挨拶しているが……あゝ兼だ新田しんでんの兼だ、御厄介ごやっけいになった男だからなア
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
小作米の代りに勞働を提供したり、借金の抵當かたに、一生奉公の約束で、子供を提供する例も、決して少なくはなかつたわけです。
つまらなそうに地面をかぎながら黒が立ち去っていったあとまでも忠相と泰軒の声はかたみにつづく。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
精米所の主人や、浜屋の内儀かみさんなどに、家賃や、時々の小遣などの借のたまっていた壮太郎のために、双方の談合はなしあいで、そのかたに、お島の体があずけられる事になったのであった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そうして行きながら、日常生活に没頭していながら、精神の自由をかたく守って、一歩も仮借しない処が Apollonアポルロン 的だ。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
引いたほうが利口だろうぜ。お奉行所へ聞こえても、面白くあるめえと思うのだ。かたりだからな
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
加えて、十字架にかたどり、その上に地を這う蛇を結い付けて、邪悪に全勝せり、モセスかくて威光を揚げたれば、吾輩は吾輩の神たるキリストに向いて唄うべし
これこそわれから死を求むる、火取虫ひとりむしよりおろかなるわざなれ。こと対手あいては年経し大虎、其方は犬の事なれば、縦令たと怎麼いかなる力ありとも、尋常にみ合ふては、彼にかたんこといと難し。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
今は時もかたい上に、軽いものはむち入墨いれずみ、追い払い、重いものは永牢えいろう、打ち首、獄門、あるいは家族非人入りの厳刑をさえ覚悟してかかった旧時代の百姓一揆いっきのように
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
何時いつの頃のことであらうぞ、と感歎したのであるから、私は敢て「巴山夜雨の時をかたるべき」と読みたく思ふのである。
閑人詩話 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
そこで単に気持のいい婦人は、それが決してまだら模様でないことを力説してから、「ときに、お生憎と今どき、あなたのように、そんな襞飾ぎゃだなんかつけてるかたはありませんのよ。」
かたり取れしこと專がすゝめにより又村中の者を呼び酒宴をもよほし梅が不義昌次郎がかたりの始末相顯あひあらはれ是に因て梅を離縁りえん致し夫より同村の懇意こんいの者が中だちにてせん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「待ってくれたまえ。わたしはそうくわしいことも知りませんがね、平田派の学問はかたより過ぎるような気がしてしかたがない。こんな時世になって来て、そういう古学はどんなものでしょうかね。」
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
女の死体の半焦げになった傍に小さな一かたまりの消炭のような物を置いてある所があった。私はそれは女の負ぶっていた子供の死体であろうと思った。
死体の匂い (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
『ほんとかって、あなたがそれを知らんということはない、だけれども知らなかったらそれまでの話です、もうあなたも知ってみればこの後の方法かたをつけんじゃア』
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「お君さんはかたが悪うおますな」と、長屋の者が慰めに掛っても
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
しかして神のはしためを見よといふ言葉、あたかも蝋に印影かたさるゝごとくあざやかにその姿にられき 四三—四五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そんな甘い瞑想の谷へ曳きずりこんでしまったかたは、一体どなたでございますの?
術士化け来って、その指環をかたり取ると、ミネカニエロまた老人となり、指環を取り戻さんと鼠が住む深穴国に至る。鼠ども術士の指をんで環をミ翁にかえす。
子、子貢にかたって曰く、汝回といずれかまされる。こたえて曰く、は何をえて回を望まん、回は一を聞いて以て十を知る、賜は一を聞いて以て二を知るのみ。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
ところでそっちの処置かたがついたら、そろそろ後釜あとがまの売りつけ——いやここだて、おれもおっかさんもおまえをな、まあお浪さんのあとに入れたいと思っているのだ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
長二、お前、亜米利加アメリカとかで大層お世話になつた婦人かたがあるぢや無いか、偉い女性ひとだとお前が言ふのだから、大した人に相違なかろが、一つ其婦人かたを貰ふわけにやなるまいか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
向うは往来おうらい三叉みつまたになっておりまして、かたえは新利根しんとね大利根おおとねながれにて、おりしも空はどんよりと雨もよう、かすかに見ゆる田舎家いなかや盆灯籠ぼんどうろうの火もはや消えなんとし、往来ゆきゝ途絶とだえて物凄ものすご
文句を云わずに伏罪ふくざいする事の便宜べんぎを悟った彼は、たちまちかたちを改ためた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
扨々御親切かたじけなし私しは本所松坂町に住む七右衞門と申す者なるが其金の譯と云ふは我等女房三年越の大病にて打臥うちふしり惣領のせがれ風眼ふうがんにて種々いろ/\療治致せ共當春よりとう/\兩眼共つぶれ何共詮方なく我等は老年に及びしうへ重病人に掛りて商賣等も致さず益々困窮にせまり今日を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ふさらに何故に模寫うつし樣式かたとが一樣ならざるやを我に告げよ、我自らこれを想ふはいたづらなればなり。 五五—五七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
処々裂けた襖、だらしなく吊下つた壁の衣服、煤ばんで雨漏の痕跡かたがついた天井、片隅に積んだ自分の夜具からは薄汚い古綿がみ出してる。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
かたりであつた
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
もはや町々をかために来る近衛このえ騎兵の一隊が勇ましい馬蹄ばていの音も聞こえようかというころになった。その鎗先やりさきにかざす紅白の小旗を今か今かと待ち受け顔な人々は彼の右にも左にもあった。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
封じ目ときて取出とりいだせば一尋ひとひろあまりに筆のあやもなく、有難き事の数々、かたじけなき事の山々、思ふ、したふ、忘れがたし、血の涙、胸の炎、これ等の文字もんじ縦横じうわうに散らして
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼は、若い男鹿おじかの四肢のように、スラリとしなやかな少年の姿を、飽かず眺めたり、父と母とにかたみに話しかける簡単な会話に、耳を傾けたりしていた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
それは鍛冶屋で、トンカン、トンカンと鉄砧かなしきを撃つかたい響が、地の底まで徹る様に、村の中程まで聞えた。
赤痢 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
さて他の聖者のむれ即ち先にエムメにて百合となりて悦ぶ如く見えし者は、少しく動きつゝかの印象かたし終りたり 一一二—一一四
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
しかしてかのあまたの光に飾らるゝ天は、これをめぐらす奧深き心より印象かたを受けかつこれをす 一三〇—一三二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
苦節はかたくすからずの一句、えき爻辞こうじの節の上六しょうりくに、苦節、かたくすれば凶なり、とあるにもとづくといえども、口気おのずからこれ道衍の一家言なり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
道衍どうえんは豪傑なり、孝孺は君子なり。逃虚子とうきょしは歌って曰く、苦節かたくすべからずと。遜志斎そんしさいは歌って曰く、苦節未だ非とす可からずと。逃虚子は吟じて曰く、伯夷量はくいりょう何ぞせまきと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
其様そんなことは先生に取つて少しも珍らしく無いのだ、此頃はひど風評うはさが立つてるんだ——山木の梅子さんて令嬢かた
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
此の老女をいたはつて下ださい、是れは先頃芸妓殺げいぎころしうたはれた、兼吉と云ふ私の友達の実母です、——老母おつかさん、私は、或は明日から他行たぎやうするも知れないが、少しも心置なく此の令嬢かた御信頼おたよりなさい
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
奥様それでは、私も、お怨み申さにやなりませぬ。口から、口へ、口うつし。演劇しばいで見ました、その摸型かたを、一生懸命、やつとの事で、繋ぎ止めたるお生命を。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
うわははははは、この師直もろなほは、鮒侍などと、旧い摸型かたは行き申さぬ。当意即妙新案の、蝸牛くわぎう紳士は、どでござる。いざ改めて、今宵の肴に、紹介申すと。戯れて、笑はすつもりも、御念が入つては。
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
夜中郵便やちゅうゆうびんと書いて板塀いたべいに穴があいているところを見ると夜はしまりをするらしい。正面に芝生しばふ土饅頭どまんじゅうに盛り上げていちさえぎるみどりからかさと張る松をかたのごとく植える。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
六尺の距離はかたのごとくうずめられて、主客の位地は辛うじて、接待の道具でつながれる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
誰でも人は胸に燃え立つ火のかたまりをさめて居るものです、火の口を明けて其を外へき出さぬ程心苦しいことはありませぬ、世の中の多くは其れを一人のかたに献げて満足するのです、けれど
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「ぢや、お嬢様も其れを一人のかたにお上げなさればいぢや御座いませんか」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
こちとらと小僧のは裸足だから苦もねえが、さてはいった足形かたばかりで出た跡のねえのが、のう皆の衆、ちっとべえ臭かごわせんかい。
足袋屋じゃねえが、ここに足形かたが三種ある。一つあ死人の高足駄で左手から蔵へ、こりゃあ夜中の雨の最中に付いたもの。
左様さうぢや無い、私はたしかに身も心も献げたたふと丈夫かたるのです、けれど篠田さん——貴方は少しも私の心
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
武「なにわしは医者じゃアないが、貴方は何かえ、此の長屋を支配なさる藤兵衞殿と仰しゃるかたかえ」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わしは自分の過去の青年時代や、自分の受けたすべての侮辱に対してかたき討ちをするんです!
しなは二三にちこのかたもう切干きりぼしらなければならないと自分じぶんくちについてつてたことをおもして、おつぎが機轉きてんかしたとこゝろよろこんだ。庖丁はうちやうおと雨戸あまどそとちかきこえる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
かたの如く菩提寺ぼだいじはうむわづかなる家財かざい調度てうど賣代うりしろなし夫婦が追善のれうとして菩提寺へをさ何呉なにくれとなく取賄とりまかないと信實しんじつに世話しけりされば村の人々も嘉傳次がを哀み感應院のあつなさけかんじけるとかや
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「いいえ、主人は大層良くしてくれますので有難い幸福しあわせなことだと思っております。しかし、前の先妻かたのこして行かれた娘さんが一人、どうにも私に懐かないのでございます」
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
聞て我輩おほいに驚けりおのれの心己れが嗜欲にかたざるを知り罪を犯せし後にくゆとも犯さゞる前にかへらざるを知り浪費せざる前に早く物と換へて其災ひを未前みぜんに防ぐ智といふべし歸りて父の温顏を見るを
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
文選の小僧共はまだ原稿が下りないので、阿弥陀䰗をやつてお菓子を買はうと云ふ相談をして居て、自分を見ると、「野村さんにも加担かたツて貰ふべか。」
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
文選の小僧共はまだ原稿が下りないので、阿彌陀鬮あみだくぢをやつてお菓子を買はうと云う相談をして居て、自分を見ると「野村さんにも加擔かたツて貰ふべか。」
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
仕方のなくなった守衛は、屋上からの狭い出口をかためて、そこから一人ずつ通して首実験をしようとしたが、そんなことをしていたら一時間経っても仕事が出来ない。
党生活者 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
幼少の頃、将来いまにおまえは何に成るの? と能く聞かれたものでした。すると私は男の子のよう双肩かた聳やかして女弁護士! と答えました。
職業の苦痛 (新字新仮名) / 若杉鳥子(著)
あんなもの建てなけりゃアいゝに、庚申塚が有って見えやアしねえ、庚申塚取除かた
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
火遁の術は奇にしてあと尋ねかたし 荒芽山畔まさしずまんとす 寒光地にほとばしつて刀花乱る 殺気人を吹いて血雨りんたり 予譲よじよう衣を撃つ本意に非ず 伍員ごいん墓を
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
それから藤沢古実君が土を用意して来て居り、息のあるうち恩師の顔をかたにとりたいといふので、夫人不二子さんのゆるしを得て、写真も撮り、面塑も出来た。そして廿六日は暮れた。
島木赤彦臨終記 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
「それにあのかたも、オホホホ何だと見えて、お辞儀するたんびに顔を真赤にして、オホホホホホ」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
只今では高輪の船宿で、伊勢屋と申すかたにおいでゞすが、此の事を御重役渡邊様へ達して、渡邊さまからおかみへ伺いました処が、早々召返すようにというので、御苦労遊ばした甲斐があって
辛未かのとひつじ、皇太子、使をまたして飢者を視しむ。使者かへり来て曰く、飢者既にまかりぬ。ここに皇太子おほいこれを悲しみ、則ちりて以て当処そのところほふりをさめしむ。つかつきかたむ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
『棺の中へ入れとけ。ドッチにしても形式かたばっかりの診察じゃろうケニ』
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
かの女が、心堅かた膽大きもふとければ、マリアを下に殘しつゝ、クリストとともに十字架にのぼりし事さへこれが益とならざりき 七〇—七二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
……わたしはこれまでここにこもって幾十人幾百人、いろいろの人のいろいろの顔を、いろいろの手法かたで刻んだけれど、これぞ本当に悪人というそういう顔を見たことがない。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そういう場合、大抵接吻せっぷんと指切りをかたにおいて行くのが、思いやりのある彼女の手であった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
家作を担保かたに五百両の現金を生み出し、夕方立寄ったお艶にその金を握らせて無理に「一札入申候証文之事」を書かせ、ここで二百両撥ねようと約束通り世間を忍んで子の刻に
ローラン・ダーヴィユーまた述べたは、かつてアラビヤのある港で、一水夫が灰一俵かたぐるとて一つ取りはずすと、聴衆一同無上の不浄に汚されたごとく争うて海に入るをた。
「するとあのが、かたき役と女形おやまと、二た役勤めたというんですか」
これを右ようにヒロメ(幅広い海藻の意)と呼べば古名復活にもなってかたがたよろしい。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「はあ、いえ、それでございますがな。まあ、御新造ごしんさん、お掛けなすって。旦那もどうぞ。いらっしゃいましたよ、つい今しがた、前刻さっき旦那かたが。」
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
獸の群の女王をえんとて己をブオソ・ドナーティといつはり、その遺言書ゆゐごんしよを作りてこれを法例かたの如く調とゝのふるにいたれるに似たり —四五
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
万葉の中には「田子の浦ゆうちいでて見れば真白にぞ不尽ふじ高嶺たかねに雪はふりける」「わかの浦にしお満ちくればかたをなみ蘆辺あしべをさしてたづ鳴きわたる」
人々に答ふ (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
清き人は其の時に神を見ることが出来るのである、多分万物の造主つくりぬしなる霊の神を見るのではあるまい、其の栄の光輝かがやきその質の真像かたなる人なるキリストイエスを見るのであろう
アンドレーセン子爵にかたづいているめいのソールヴェイグ夫人、その母親のフロム夫人、それらの人々ともどもホール入口で客を迎えて
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
川中にはさゞ波の小じわが立つてそれが一かたまりづゝ動きながら、あるひは右あるひは左へ水の色を変へてゐる。
両国今昔 (新字旧仮名) / 木村荘八(著)
じつ感謝かんしやえません。』とわたくし不測そゞろ憘涙うれしなみだながるゝをきんなかつた。無邪氣むじやきなる日出雄少年ひでをせうねんをまんまるにして、武村兵曹たけむらへいそう肩上かたをどると。
かたげて出行たりあとは徳右衞門をはじめ家内の者もホツト溜息ためいき吐計つくばかりなりかくて善六は神奈川だいへ行て駕籠かご
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こうした家々が、ところによっては野原のようにだだっぴろい通りとはてしもない木柵もくさくの間にぽつんぽつんと立っており、ところによっては蝟集かたまってごちゃごちゃと立てこんでいた。
「お師匠さんの芸談を聴きに来た、演芸の方の記者かたらしいのですよ。談話はなしといてくだすった方が好いと思いますから、お逢いになってくださいな。」
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
妾が紅矢様の馬と着物を詐欺かたり取って、紅矢様に化けて来ていたので御座います。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
その印可に書いてある佐々木小次郎の名を詐称かたって歩くと、かなり都合のよい時もある。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
姥は居ずまいを直して、厳かな声音こわねで、かたり出した。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
前世の宿因に依ってこのかたらいをせり、これを形見にせよとて、玉の箱を残して去った、時兼恋情に堪えず、平木の沢に行って歎くと、かの女たけ十丈ばかりの大蛇と現わる
俺達は、お前の仲間十何人のかたきを取ってやろうと思っているのだから、早く気をシッカリさして返事をしてくれなければ困る。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
一時を弥縫びほうせんと、ここに私印偽造の罪を犯して武男の連印をかたり、高利の三千円を借り得て、ひとまず官金消費の跡を濁しつ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
お君さんは運命かたが悪うおますなと慰め顔の長屋の女たちにも、仕方おまへん、そんな不幸もどこ吹いた風かと笑ってみせ、例の死んだ人たちの想い出話そしてこみあげて来るすゝり泣きを期待し
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
あちこち粗らに人家が集団かたまっていたりする、代表的な、寒ざむしい新開地だった。
双面獣 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
「ええ。今消させて直ぐ自動車でコチラへ参りましたのよ。ちょっとこの青年かたへいって置きたいことが御座いましたもんですから……」
女坑主 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
僕にしてかくのごとき弱点はさらにないという自信がさらにかたければ、もっと大胆に論じたいが、自分でかえりみて折々は逆上のぼせそうになったこともあった。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
半「銚子屋のは頑固かたいからそう/\出歩く訳にもゆかず、そりゃア己だっても心配はして居るけれども、左様そうはいかねえ」