“かた”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カタ
語句割合
32.3%
8.1%
6.6%
5.2%
5.2%
5.1%
4.2%
4.1%
4.1%
3.4%
(他:486)21.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
水色の手巾ハンケチを、はらりとなまめかしく口にくわえた時、肩越に、振仰いで、ちょいと廻廊のかたを見上げた。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「もう、駄目でございます。むだでございます。走るのは、やめて下さい。もう、あのかたをお助けになることは出来ません。」
走れメロス (新字新仮名) / 太宰治(著)
頭髮とうはつ婦人をんなのごとくながびたるをむすばず、かたよりれてかゝといたる。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「お美津みつ、おい、一寸ちよつと、あれい。」とかた擦合すりあはせて細君さいくんんだ。
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
崖端のロマネスクの休亭は古城塞こじょうさいのように視覚から遠ざかって、これ一つ周囲と調子外れにかたいものに見えた。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
ロミオ 信仰しんかうかたこのまなこに、かりにも其樣そのやう不信心ふしんじんおこるならば
櫻木大佐さくらぎたいさある秘密ひみつをばそのむねたゝんでわたくしかたらぬとおもふと
おこしてもそれ折角せつかく同伴者つれかたあつさらきようすこともしないなら
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
後ろへさがって米友はまちかたに槍を構え直した。兵馬は敵の退いただけ、それだけ足を進めて槍もそれと合致して進む。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
とても次の晩からはその家へは寝られませんで、かたなしになりましたが、私あはじめてです、いまだに不思議に思いますがね。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
――以って、末森急援を果して、万死に一生を得、金沢表へ帰った当時の、利家のかれにたいする怒り方は想像するにかたくない。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しこうしてその智力は権衡けんこうもってはかるべきものに非ざれば、その増減を察すること、はなはだかたし。
学者安心論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
人をつたものゝ受くるばつは、られたひとにくからる血潮であるとかたしんじてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
縦令たとえ何事なにごとありともなみだすまい。』――わたくしかたくそう決心けっしんしました。
しばらくするとくまは、このときまで、まだ、うすぐらかたすみにじっとしているにわとりほういて、
汽車の中のくまと鶏 (新字新仮名) / 小川未明(著)
鉄風 もう、みんな年頃だから、少しずつ変なんだな。どれからでも、かたぱしから片をつけて行かなくちゃいかんよ。
華々しき一族 (新字新仮名) / 森本薫(著)
なまじいに商売気を出したのと、かの武士の愁嘆に同情したのとで、自分は二十五両という金をやみやみかたり取られたのである。
半七捕物帳:42 仮面 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
恩賞の偽地券にせちけんに、天皇の名をかたって、地方人の土地をあざむきとる悪党たちが横行しだして来たのである。
あんな処に杉など育つものでもない、底はかた粘土ねんどなんだ、やっぱり馬鹿は馬鹿だとみんなが云ってりました。
虔十公園林 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
玉露ぎょくろに至ってはこまやかなる事、淡水たんすいきょうを脱して、あごを疲らすほどのかたさを知らず。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この度の釣狐も、首尾よく化澄ばけすまし、師匠の外聞、女房の追善とも思詰おもいつめたに、かたのごとき恥辱を取る。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これとても、蜉蝣ぶゆを吸うような事ではござらん、かたのごとき大物をせしめるで、垂々たらたらと汗を流す。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一所に野茨のくさむらがあった。五月が来たら花が咲こう。今は芽さえ出ていなかった。ただきたならしくかたまっていた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
がその声は次の瞬間には消えて、細い露路の一所を埋めるようにして礫や丸太や火のついている棒が、うずたかいまでにかたまった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私は不運で御座りますとて口惜くやしさ悲しさ打出うちいだし、思ひも寄らぬ事をかたれば両親ふたおやは顔を見合せて
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
努力、死、自然の冷淡、生命(親と子)の矛盾と愛――これのものの関係を汝の墓ほど直截ちよくせつかたるものはほかにない。
愛は、力は土より (新字旧仮名) / 中沢臨川(著)
阿久はもと下谷したやの芸者で、めてから私の世話になって二年の後、かたばかりの式を行って内縁の妻となったのである。
深川の散歩 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
おなはなしかたかはつて、一ツは講釈師かうしやくしいたにかけて、のん/\づい/\とあらはす。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「向うの話ばかり聞いていても駄目、実地に行って様子を見て、それから抵当かたになりそうなものの目利めききをした上で……」
だから露西亜の俘虜は何時でも借金だらけで「霊魂たましひ」が抵当かたになるものなら、書入れに少しの躊躇ちうちよもしないが
かの狩衣などを紫黒色に染めこれをエビ染め、またその色をエビ色というのはこれらブドウの実の熟した色にかたどったものである。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
是より直にしたゝるものはその後滅びじ、これが自ら印をすとき、かた消ゆることなければなり 六七―六九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
怖い物から逃げるように、万吉は、道中笠を西日へかたげて、禅定寺峠ぜんじょうじとうげから江戸へ心を急がせて行った――。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「う、うふふ、うふふ、」とかたがって、戸をゆすって笑うと、バチャリと柄杓を水に投げて、赤目のおうなは、
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それは日頃から話に聞いてゐた、今日あすに来るべき筈の、遠くへかたづいて行つてゐる宿の娘が今日やつて来たのだと思つた。
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
「和田さんの家は器量統きりょうすじで、その人も美しかったという話や。おさむらいから町家へおかたづきなすった」
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そうしている間、例の後ろの高札場と、そのかたえなる歯の抜けた老女のような枯柳が、立派に三枚目の役をつとめました。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
お松としては、言句ごんくも出ないほど浅ましい感に堪えなかったので、かたえにいたムクをつかまえて、こんなことを言いかけてみました。
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
我曰ひけるは。望みとは未來の榮光のかたき期待にて、かゝる期待は神の恩惠めぐみと先立つ功徳より生ず 六七―六九
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
佃と生活できないと決心してから、伸子は、自分の精神と肉体とで得た経験をいたずらにしまいとかたく覚悟していた。
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「いざ児ども香椎かしひかたに白妙の袖さへぬれて朝菜みてむ」(巻六・九五七)は旅人の歌で憶良のよりも後れている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
あたかかたへ出口のところで、その一陣の風に、曇ると見るに、むらがりかさなる黒雲くろくも
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ところが、その時には、丘にも谷間にも豚群が呻き騒いで、かたい鼻さきで土を掘りかえしたり、無鉄砲に馳せまわったりしていた。
豚群 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
ち骨かたきものすら多くは「時」の潮流に巻かれて、五十年の星霜急箭きふせんの飛ぶが如くに過ぐ。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
是等悉皆同性質のものなりや否や斷言だんげんがたしと雖も、石器時代に屬するもの夥多かたなるべきは疑ひを容れず。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
また英国委員は諸国に向かいてその主義を宣布ししかして職工輩のうちよりことに夥多かたの賛成者を得たり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
いや、それと同時に長い睫毛まつげの先へ、涙を一ぱいためながら、前よりもかたく唇を噛みしめてゐるのでございます。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
が、大殿様はかたく唇を御噛みになりながら、時々気味悪く御笑ひになつて、眼も放さずぢつと車の方を御見つめになつていらつしやいます。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ひがんだ、いぢけた、かたくなな私も、真裸になつて彼等の胸に飛び込んで行くことが出来た。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
ドストエフスキーは牢獄でかたくなな野蛮な人々から排斥された時に、軽蔑けいべつと白眼とをもって孤立せずに、それを心から悲しきことに思いましたのでしたね。
青春の息の痕 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
二人は暫しかたみの顔を打瞶うちまもつてゐたが、『でヤ、明日盛岡さがねばならねえな。』と、お定が先づ我に帰つた。
天鵞絨 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
おんみの心をわれに与えんとならば、まずひそやかに与えよかし。われらかたみに持てる想いを、何人なにびともさとらぬぞよき。
當時たうじ醫學部いがくぶ有名いうめい教授けうじゆどのひとをもつてかたごとみしを
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
若しこの願かなはゞ、競馬の費、これに勝ちたるものに與ふる賞、天鵞絨の幟のしろ、皆かたの如くわきまへ候はんといふ。
同時に、包囲軍からの矢、おびただしくこの望楼に飛来して、避難民ら口々に絶叫し、一隅にかたまって顫えおののく。
五、六人の大官が、綺羅星きらぼしかためたように美々しい一団となって通りかかった。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
道学のかたまり仁義忠孝の化物ばけもののような馬琴すらも『仇討義理与犢鼻褌かたきうちぎりとふんどし』というような
九月一日の地震のあと、近所隣りと一つにかたまって門外で避難していると、大杉はルイゼを抱いて魔子を伴れてやって来た。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
小作米の代りに勞働を提供したり、借金の抵當かたに、一生奉公の約束で、子供を提供する例も、決して少なくはなかつたわけです。
「默れツ、借金の抵當かたに取つて行くのだ――其方は何者だツ、餘計な口を出すと、爲にならんぞツ」