かた)” の例文
こぶしを握って見ている、人は人情でございますから、何うぞして娘にかたせたい、娘に怪我をさしたくないと見ず知らずの者も心配して、橋のたもとに一抔人がたまって居りますが
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これこそわれから死を求むる、火取虫ひとりむしよりおろかなるわざなれ。こと対手あいては年経し大虎、其方は犬の事なれば、縦令たと怎麼いかなる力ありとも、尋常にみ合ふては、彼にかたんこといと難し。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
人の凍死こゞえしするも手足の亀手かゞまる陰毒いんどく血脉けちみやくふさぐの也。にはか湯火たうくわねつを以てあたゝむれば人精じんせい気血きけつをたすけ、陰毒いんどく一旦いつたんとくるといへどもまつたさらず、いんやうかたざるを以て陽気やうきいたれ陰毒いんどくにくしみくさる也。
權「今日は大将がいるから此処で別れるとしよう、泣く子と地頭にゃアかたれねえ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)